■ 夏の移籍市場でも話題の中心になっている。「Jリーグの銀河系軍団」と言われて開幕前から特大級の注目と期待を集めた神戸だったが21節を終えた時点で6勝11敗4分けで勝ち点「22」。残留争いに巻き込まれている。「3度目のJ2降格」の危機を迎えているが今夏の移籍市場でも話題の中心になっており、GKキム・スンギュ(→蔚山現代)やMF三田(→FC東京)が退団した一方でDFフェルマーレン(バルセロナ)やDFジョアン・オマリ(アル・ナスル)などを獲得した。
GK川島(ストラスブール)やDF酒井高(ハンブルガーSV)などの獲得にも動いたので積極的な動きを見せているが新戦力の中でチームの助けになっているのはGK飯倉(横浜FM)になる。今シーズンは外国人枠の問題もあってキーパーを固定できていなかったが移籍後初出場となった21節のG大阪戦(H)ではGK飯倉が何度か好セーブを見せてチームを救った。0対2から2ゴールを奪ってのドローに大きく貢献した。
GK飯倉はビルドアップ能力の高さに定評がある。もちろん、過信をしてビルドアップのミスから失点に絡むシーンは横浜FM時代は少なくなかったがGKキム・スンギュやGK前川などと比べるとはるかに足元の技術が高いキーパーなのでバックパスのときも安心感はある。「日本人で、かつ、ビルドアップ能力が高くて、かつ、経験が豊富」というキーパーは少ないのでGK飯倉を今夏の移籍市場で獲得できたのは大きい。
■ 快進撃を続ける大分のストライカー目下の注目点はCBになる。U-20W杯のときに主力のCBとして活躍したDF小林友(→町田)を修行に出して、さらには、つい先日の試合まで主力のCBとしてプレーしていたDF宮大樹(→水戸)も期限付き移籍となった。直近のG大阪戦(H)ではDFダンクレーとDF大崎玲がCBコンビを組んでベテランのDF渡部がサブに回ったが新戦力のDFフェルマーレンとDFジョアン・オマリがどこまで活躍できるのか?である。
注目が集まるのは元・ベルギー代表のDFフェルマーレンになる。欧州でここまでの実績があるCBがJリーグにやって来るのは珍しい。Jリーグにやって来た欧州人のCBの中では過去最高クラスの実績を持っている選手である。バルセロナに移籍してからは怪我もあって思うような活躍が出来ていないのでコンディション面は心配されるが経験豊富な選手なので最終ラインに落ち着きをもたらすことが期待される。
「8月10日(土)に行われる22節の大分戦(A)でのデビューなるか?」が目下の注目点になるがまだまだ補強の動きは止めていない模様。次節の対戦相手である大分のエースストライカーのFW藤本憲(大分)の獲得が確実視されている。JFLのSP京都でキャリアをスタートさせたFW藤本憲は今シーズンがJ1初挑戦だったが開幕戦でいきなり2ゴールの活躍。名門クラブである鹿島相手の2ゴールは衝撃的だった。
その後もコンスタントにゴールを重ねた。2016年と2017年はJ3の鹿児島でプレーしているがいずれも得点王に輝いている。得点感覚の鋭さは当時から折り紙付きだったがJ1の舞台でも問題なく通用している。JFLからスタートして、J3の鹿児島に個人昇格を果たして、J2の大分に個人昇格を果たして、今度はJ1の神戸に移ることになるので「日本人のサッカー選手としては稀な大出世ストーリー」と言える。
■ 典型的な成り上がりストーリー昨今のJリーグは下から這い上がって来た選手が多い。ロケレンへの移籍が決まったDF小池龍(柏)もキャリアのスタートはJFL時代の山口だった。MF福満(水戸)はC大阪時代の2018年にACLでゴールを決めているがキャリアのスタートは九州サッカーリーグになる。専門学校である九州総合スポーツカレッジでプレーしてその後にJFLのHOYO AC ELAN大分に移籍して2015年と2016年は山口で躍動した。
2016年のC大阪のJ1復帰の立役者になったMF清原(金沢)もサクセスストーリーを歩んでいるが「ストーリーの派手さ」ではDF小池龍とFW藤本憲が現役のサッカー選手の中では双璧と言える。DF小池龍は右SBの専門家になるがFW藤本憲は典型的なストライカーなので「点を取ることで自らの道を切り開いてきた選手」と言える。漫画のようなストーリーを歩んできてついに神戸までたどり着いたことになる。
昇格1年目ながら上位争いに絡んでいる大分としては当然のことながら痛手である。今シーズンの大分は「攻撃的なサッカーを展開している。」と言われるがシュートの数自体は非常に少ない。チャンスの数もそこまで多くないがFW藤本憲ならびにMFオナイウ阿道の決定力の高さに助けられて勝ち点を積み上げてきた。今後はMFオナイウ阿道がCFの位置でプレーすると思うが「戦力ダウン」は必至と言える。
■ タイプ的にはFWダビド・ビジャと似ている。夏の移籍市場もそろそろ終盤戦に突入している中、得点源となる選手に出ていかれると大変である。オフの移籍市場でも同じことが言えるが早い段階で移籍を決めてくれると代わりとなる選手は探しやすくなる。あっさりと移籍を決断されると出ていかれる側はそれはそれでショッキングであるが後釜探しはやりやすくなる。精神的なダメージは大きいが戦力的なダメージは何とかカバーできるケースが多い。
対して移籍市場の終盤戦に突入した段階での移籍となると後釜探しは難しくなる。2018年に横浜FMから川崎Fに移籍したMF齋藤学が大きなバッシングを浴びたのも「移籍を決断した時期が遅かったから」というのが一番の理由だったと記憶しているが獲得する神戸に対しては「FWダビド・ビジャとFWウェリントンがいる中でFW藤本憲を獲得してどうするのか?」という声が出てくるのは当然の話である。
ストライカーとしての系統はFWダビド・ビジャとFW藤本憲はよく似ている。FW藤本憲が意識をしているのか?否か?は分からないが動き出しの良さに優れており、並外れたシュートテクニックを持っている点も共通項になる。「間近で世界トップクラスのストライカーになった選手のプレーを観ることが出来るチャンスがある。」という点は神戸への移籍の決め手になったと思うが同時にポジション争いのライバルになる。
FWダビド・ビジャは左ふくらはぎを痛めているので「2~3週間ほど離脱する。」と報じられているが重症ではない。彼がいないときに同じタイプのストライカーであるFW藤本憲を起用できると「戦い方を大きく変えなくてもOK」になるが大分で不動の地位を築いた旬のストライカーが神戸でFWダビド・ビジャの控えに回るようだとかなり勿体ない。神戸からのオファーを本人が拒むのは難しいと思うが・・・。
→ 2018/12/03 【移籍市場】 「お断りされた回数」のランキング ~4位はC大阪、2位は浦和と横浜FM、1位は・・・。~
→ 2018/12/12 DF初瀬亮(ガンバ大阪→ヴィッセル神戸?)は過大評価されているのでは?と思う。
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