■ 新戦力のGK飯倉がデビューフライデーナイトJリーグのヴィッセル神戸とガンバ大阪の試合は0対2の状況から後半の終盤に連続ゴールを奪った神戸が2対2の同点に追いついて勝ち点「1」を獲得した。暫定ながら清水を抜いて14位に浮上したが1試合消化が少ない18位の鳥栖との差は「5」なので残留争いに巻き込まれている。24節の鳥栖戦(A)はFWフェルナンド・トーレスの引退試合になるが残留争いの行方を大きく左右する大事な試合になる。
残留争いに巻き込まれている神戸は今夏も積極的な動きを見せたが電撃移籍となったGK飯倉(横浜FM)が21節のG大阪戦(H)でデビューを飾った。2失点したものの決定機をいくつか防いだ。フィードの部分もそつなくこなしたので「まずまずのデビュー戦になった。」と言える。韓国代表のGKキム・スンギュのパフォーマンスが今シーズンは安定しなかったが正キーパー候補で経験豊富なGK飯倉にかかる期待は大きい。
ただ、夏の移籍市場で獲得した選手の中でスタメンでプレーしたのはGK飯倉のみ。DFジョアン・オマリ(アル・ナスル)とDFフェルマーレン(バルセロナ)はともにベンチ外。神戸デビューはお預けとなった。また、この日はFWダビド・ビジャがコンディション不良でベンチ外。外国人選手はDFダンクレー、MFイニエスタ、MFセルジ・サンペール、FWウェリントンの4人だったので、外国人枠は1つだけ余裕があった。
「たくさんいる外国人選手をどういう風に使うのか?」は今後の神戸のキーポイントになる。外国人選手はDFダンクレー、MFイニエスタ、FWウェリントン、FWダビド・ビジャの4人はほぼ決まり。MFセルジ・サンペール、FWポドルスキ、DFフェルマーレン、DFジョアン・オマリの4人の中から1人を選択する形になる可能性が高いが本格的に夏の季節に突入したのでMFイニエスタも適度に休ませる必要がある。
■ 右SBで起用されたのはDF藤谷壮外国人選手ならびにMF山口蛍など代表クラスの日本人選手にスポットライトが当たる状況になっているが、当然、ユース育ちの若手がこれからの神戸を引っ張っていかないといけない。バルセロナは莫大な資金力を生かして世界のスーパースターを獲得してきた歴史を持っているがカンテラからも定期的に超逸材が輩出される。魅力的なチームを作るためにはユース育ちの選手は不可欠。外様の選手だけでは厳しい。
幸いにして、神戸の下部組織は、近年、安定して能力の高い選手を輩出している。年代別代表の主力として活躍する選手も定期的に出てきているが、五輪代表の右SB/WBのレギュラー候補の1人に挙げられる22才のMF藤谷壮は伸び悩んでいる。この日は元・日本代表のDF西大伍を差し置いて右SBでスタメン出場。バルセロナ戦などの活躍が評価されてスタメンのチャンスを得たが持ち味を発揮できなかった。
しかも、後半8分の2失点目はDF藤谷壮の不用意なロストがきっかけ。後半34分にDF西大伍と交代することになったがDF西大伍は後半39分にMF増山の同点ゴールをアシストするなど格の違いを見せつけた。31才のDF西大伍は新天地の神戸で「鹿島時代に見せていたクオリティの高いプレー」をあまり見せられていないが「現時点ではDF藤谷壮との差は大きい。」ということをすべての人が感じる試合になった。
右SBながら圧倒的なスピードを持っているDF藤谷壮にかかる期待は大きかった。森保監督も「五輪代表のWBの1番手」としてDF藤谷壮を起用してきたが怪我もあって最近は五輪代表の活動に絡めていない。U-20W杯の本大会で活躍したDF菅原(AZ)、浦和では右WBでプレーする機会が多いDF橋岡(浦和)などがいるので「このままだとDF藤谷壮が東京五輪のメンバーに選ばれる可能性は低い。」と言える。
■ ここ数年の伸び悩みは顕著「同ポジションにDF西大伍がいるので、今夏、他クラブに期限付き移籍で修行に出た方がいいのでは?」という声もある中でDF藤谷壮は(現時点では)移籍の道は選択していない。再開初戦のG大阪戦(H)でDF西大伍を差し置いてスタメンで起用されたので「ここで大きなインパクトは残すことが出来たら定位置確保もあり得る。」という極めて大事な試合だったが持ち味を発揮するシーンはほぼなし。残念な試合になった。
DF藤谷壮はプロ2年目の2017年はJ1で16試合、プロ3年目の2018年はJ1で13試合に出場しているが、今シーズンはこれが2試合目の出場だった。五輪代表の試合でも大きなインパクトは残せていないので伸び悩みは顕著である。神戸のユース出身者の旗手だったDF岩波(浦和)が抜けてMF小川慶も怪我で伸び悩んだ中、DF藤谷壮に集まる期待は大きかったが、ここ2年ほどは完全に停滞している。
「Jリーグでは屈指の右SB」と言えるDF西大伍とはプレースタイルは大きく異なるが同じポジションの選手なのでいいお手本になるのは間違いない。DF西大伍のプレーをたくさん観て成長していくことが期待されたがこの日のG大阪戦(H)のプレーを観る限りでは厳しい評価を下さざる得ない。圧倒的なスピードというのはDF藤谷壮の一番の良さになるが現状では「良い部分」よりも「「悪い部分」が目立っている。
「クロスの質の低さ」というのは彼の最大の問題点になる。「持ち味であるスピードを生かしてサイドを突破したにもかかわらずクロスの精度を欠いてシュートチャンスにつながらなかった。」というケースが多々ある。攻撃力をウリにするSBにとって「クロスの質の低さ」というのは致命傷になる。本人は「クロスの精度の向上」を意識をして、日々、トレーニングを行っていると思うが、なかなかその成果が見られない。
「ユース出身者を中心とした生え抜きの若手がトップチームで主力として活躍できるのか?」は今の資金力にものを言わせた神戸の路線が成功するのか?否か?のキーになると個人的には考える。外様の選手が増えても自前の若手数名が出場機会を得て活躍していたらサポーターも「今の路線」を支持してくれるだろう。特大のポテンシャルを秘めながら伸び悩んでいるDF藤谷壮をどう育てるのか?に注目したい。
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