■ 依然として降格圏のサガン鳥栖サガン鳥栖は開幕9試合で1勝7敗1分けと低迷した。10節から金明輝監督が指揮を執っており、監督交代後は11試合で4勝6敗1分けとなる。カレーラス体制のときは9試合でわずか1得点のみだったが、監督交代後は11試合で12得点を奪っている。11試合で勝ち点「13」を獲得しているので「監督交代によってチームは蘇った。」と言えるが依然として自動降格圏となる18位。「初のJ2降格の危機」を迎えている。
残りは14試合。鳥栖・松本山雅・磐田・神戸・清水あたりが残留争いの中心になっているが20試合で13得点のみという攻撃陣に問題を抱えているのは明らかである。FWフェルナンド・トーレスの引退も確定しているので「攻撃の中心になれる選手」を必要としているが2017年に清水でプレーしたFWチアゴ・アウベスの獲得に成功した。清水では17試合に出場して4ゴールを挙げているが能力の高いアタッカーである。
精度の高いパスとシュートでチャンスを演出できるので「いい補強が出来た。」と言えるがさらにMF金森(鹿島)を獲得した。「博多のネイマール」と呼ばれたMF金森は2016年まで福岡の主力として活躍。2016年にはJ1で33試合に出場して4ゴールを挙げている。この年、福岡はJ2降格となったので「個人残留」という形になったが2017年はJ1で5試合の出場のみ、2018年も14試合で2ゴールと苦労した。
今シーズンはここまで7試合に出場しているがトータルのプレー時間は23分のみ。意外にも1節と3節以外はすべてベンチ入りを果たしているが「ベンチスタートでそのまま出番なし」というケースが多かった。鹿島に加入して2年半が経過したが福岡時代に見せていた輝きを放つ機会は少なくて「期待外れ」と言われることが多かったが古巣の福岡に戻るのではなくてその隣の鳥栖への移籍というのは驚きだった。
■ 苦しんだ鹿島での2年半鹿島はMF安部裕とFW鈴木優が今夏に退団した。FW上田(法政大)の正式加入が発表されたものの攻撃的な駒は不足している。そんな中でもMF金森を出したので「さらなる補強に動いている。」と推測できるが「期限付き移籍」とは言っても鹿島に戻る可能性は低い。「常勝軍団」と言われる鹿島でたくさんのいい経験を積んでいるとは思うが普通に考えると「鹿島への移籍は失敗だった。」と言わざる得ない。
鹿島ほどのクラブになると選手の質が高いので「期待されながらもほとんど活躍が出来ない。」という選手は一定の割合で出てくる。これは仕方がない話であるが「主場機会に恵まれないままであれば他クラブに移籍した方がいいのでは?」と思う選手が鹿島にとどまるケースが多い。アタッカーのMF中村充も京都時代の輝きを放つことができずにいるがピークの時期を勿体ない形で過ごしてしまう移籍選手は多い。
「このクラブで力を示したい。」、「今の難しい環境から簡単に逃げたくない。」というのはサッカー選手として必要なメンタリティだと思うが、鹿島ほどのクラブになると常に即戦力の選手や有望なルーキーが加入してくるのでMF金森やMF中村充のようなある程度以上の年齢の選手で最初の段階でいい評価を得られなかった選手が巻き返すのはなかなか難しい。「至難の業」と表現するのが適切かもしれない。
■ 「移籍するとしたら福岡」だと思っていたが・・・。「少なくとも昨オフには鹿島を離れるべきだった。」と個人的には思うので遅すぎた移籍だと考えるが移籍先が鳥栖というのは驚きだった。福岡県出身のMF金森は「アビスパ福岡で育った選手」である。昨今のJリーグは「元クラブに戻る」というケースが非常に多いので完全移籍で福岡から鹿島に移籍したMF金森も「鹿島を離れるとしたら福岡への復帰だろう。」と思っていたのでまさかの展開になっている。
福岡は初のJ3降格の危機を迎えているがMF石津が長期離脱中。右膝前十字靭帯損傷など大怪我を負ったので「今シーズン中の復帰は絶望的」である。しかも、夏の補強の目玉だったFWペドロ・ジュニオールは契約に不備があったので試合に出場する前に契約解除となった。仕掛けられるアタッカーを必要としている福岡にとってMF金森は打ってつけの存在に思えたがライバルクラブに移籍することになった。
もちろん、「福岡がMF金森の獲得に興味を示している。」という情報は流れていないので、このタイミングで福岡に復帰するという選択肢があったのか?否か?は分からないが、MF金森の復帰を期待していた福岡のサポーターは少なくないはず。ペッキア監督の就任から始まって今シーズンの福岡は散々な出来事が多くなっているが「下に落ちるチーム特有の負のオーラ」を感じてしまう人は多いだろう。
今さら言うまでもないが福岡市と鳥栖市は比較するのがおこがましいほどあらゆる面で福岡市が上回っている。福岡市は日本屈指の大都市なので当然の話であるがJリーグのクラブとしても福岡の方が先に頭角を現した。鳥栖が初めてJ1に昇格したのは2012年の話。かなり最近の出来事になる。「街的にもクラブ的にもはるかに格下」と思っていたはずの鳥栖にプリンスを取られるというのはツライ話になる。
福岡時代は人気者だったので「彼の復帰」が決まったら福岡は取り巻く雰囲気が幾分かは良くなったと思うが「鳥栖入りのニュース」はさらに空気を悪くする話になる。一方、鳥栖も仕掛けられる選手が必要なので「悪い補強ではない。」と言える。MFクエンカの個人技頼みのサッカーになるケースが多くなっていることを考えるとキレのあるドリブルを武器とするMF金森を獲得できたのは良かったと言える。
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