■ 残留圏ギリギリの15位オフの移籍市場でFWダビド・ビジャ、MF山口蛍、DF西大伍などを獲得した神戸は「Jリーグの銀河系軍団」と言われて開幕前の話題を独占した。MFイニエスタ、FWポドルスキ、FWダビド・ビジャの「VIPトリオ」にも大きな注目が集まったが4月17日にリージョ監督が退任。吉田孝行監督を復帰させたが公式戦での連敗が続いた。6月8日に吉田孝行監督も退任して今度はフィンク監督に再建を託す形になった。
フィンク監督になってから最初の3試合は2勝1分け。名古屋に5対3で大勝するなど状態が上向いた時期もあったが18節から3連敗中。20節を終えた時点では6勝11敗3分けで勝ち点「21」となる。残留圏ギリギリの15位に位置するので残留争いに巻き込まれている。2005年と2012年に次いでクラブ史上3度目となるJ2降格の危機を迎えているが今シーズンの神戸がこういう感じになることを予想できた人は少なくないだろう。
ネームバリューだけを考えると「J1最強」と言えるが世界中の誰もが知っているようなビッグネームがいるとチーム作りが難しくなることもよく知られている。FWフォルランが加入したC大阪やFWフェルナンド・トーレスが加入した鳥栖もビッグネームの扱いに苦労したが気を使わないといけないビッグネームは1人でも大変である。ましてや今シーズンの神戸のように3人になるとバランスを取るのは難しくなる。
■ 軽率なミスから失点するケースが多い。ただ、攻撃陣は20試合で30得点を奪っている。3億3,000万円とも言われる高額年俸のFWダビド・ビジャは早くも10ゴールをクリア。37才の選手とは思えないほど元気なプレーを見せている。シュートテクニックの高さとシュート精度の高さは別格と言える。MFイニエスタも数試合を欠場しているがピッチ上でプレーしたときは明確な違いを出せる。FWポドルスキは苦しんでいるが2人のスペイン人は力を見せている。
問題は守備陣になる。開幕前は「最終ラインの軸になれるCBがいない。」という点が不安視されていたが開幕直後にDFダンクレーを獲得。高さがあって、フィード力があって、地上戦にも強いDFダンクレーは「神戸のラストピース」になるかに思えた。DFダンクレーは前評判通りのプレーを見せているので彼を獲得できたのは大きかったが20試合で36失点を喫しており、「一緒や!打っても!」状態になっている。
当然、攻撃的なチームであり、MFイニエスタやFWポドルスキやFWダビド・ビジャの運動量は多くないことを踏まえるとボランチのMF山口蛍ならびに最終ラインの選手にかかる負担は極めて大きい。「守備的なポジションの選手だけの責任」とは到底言えないがキーパーやCBやSBの軽率なミスから失点するケースが多くなっている。軽率なミスから失点をして試合の流れを失うケースが非常に多くなっている。
■ 固定されないキーパー「DFダンクレーの相方がなかなか見つからない。」という点も悩みの種になっている。相方候補としてはDF渡部、DF大崎玲、DF那須、DF宮大樹、DF小林友などの名前が挙げられる。DF渡部とDF那須は経験豊富な選手で、DF宮大樹とDF小林友はポテンシャルの高さを評価されている若手のCBで、DF大崎玲は中堅世代になる。DFダンクレーがいることを考えるとCBの顔ぶれ的には決して脆弱ではない。
どうにかなりそうなメンバー構成になっているがなかなか安定しない。吉田体制の末期から大卒2年目のDF宮大樹がCBの定位置を確保して試合に出続けているが彼のところでやれるケースは多々ある。若くて経験の少ない選手なので「一定の確率でミスが起こるのは仕方がない。」というしかないが前評判が高くて、かつ、注目度の高いチームのレギュラーとしてプレーしていると批判の声も大きくなる。
さらに深刻なのはキーパーになる。リージョ監督は昨シーズンの終盤戦はGKキム・スンギュではなくてGK前川を起用。ポジション争いが注目されていたが開幕から数試合はGKキム・スンギュが起用された。その後、MFセルジ・サンペールが加入して外国人枠の余裕がなくなったのでGKキム・スンギュはベンチ外となってGK前川を抜擢。吉田体制の末期の時期は同じく若手世代のGK吉丸にチャンスが回ってきた。
■ 安定しなかった起用法フィンク監督になってからは、再び、GKキム・スンギュが起用されたが、ここ2試合はGK前川が起用されている。「シーズン途中に監督が2度も代わっている。」とは言ってもこれだけキーパーが固定されないのは珍しい。韓国代表のGKキム・スンギュはアジアでも有数のキーパーなので本来であれば「キーパーのポジションは神戸の強み」と言えるが今シーズンのGKキム・スンギュは著しく精彩を欠いている。
なのでGK川島(ストラスブール)の獲得に乗り出したことについては一定の理解が出来たが「ストラスブールと2年契約を結ぶことで合意した。」と発表されたので今夏の神戸移籍の可能性は消滅した。「キーパーで外国人枠を使いたくない。」という神戸の事情を考えるとGK川島というのは打ってつけの存在だったが「神戸との移籍交渉は詳細の詰めを残している段階」と報じられたGK川島を取り逃がす形になった。
しかも、「古巣である蔚山現代などがGKキム・スンギュに興味を示している。」と報じられているので、「GK川島を取り逃がしてGKキム・スンギュが移籍する。」という最悪の事態になる可能性も出て来た。今シーズンのGKキム・スンギュの出来が良くないのは間違いないがこれだけの実績と実力を持ったキーパーが出場機会に恵まれない状況になると獲得に乗り出すクラブが出てくるのは当然である。
今シーズンはGKキム・スンギュのミスがいくつか失点をしているので「全幅の信頼を置けなくなっている。」というのは間違いない。実力の世界なので「ポジションを約束されている選手は誰もいない。」というのはチーム作りにおける原則になるがそもそもとして彼のプレーが不安定になったのは起用法が安定しなかったことが主要因の1つに挙げられるので「彼を責めるのは酷である。」と個人的には考える。
もちろん、韓国代表では常に高いレベルのポジション争いを強いられてきたと思うが「所属クラブでここまで競争させられる状況になった。」というのは一人前のキーパーと認められた後はなかっただろう。先日、MF三田のFC東京への復帰も発表されたが、近年の神戸はごく一部の選手に気を使うあまり、「その他の大半の選手の扱いがやや雑になっているのではないか?」と感じずにはいられない状況である。
→ 2019/07/11 【移籍市場】 ヴィッセル神戸にGK川島永嗣(ストラスブール)は必要なのか?
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