■ 21試合で15得点のみJ2はちょうど半分の日程が消化した。折り返し地点を迎えたが栃木SCは3勝10敗8分けで勝ち点「17」。20位と残留圏ギリギリに位置する。オフに主に守備的なポジションの主力がたくさん抜けたので「降格候補の1つ」に挙げられていたがここまで3勝のみ。3勝というのはJ2最少になる。21位の福岡は4勝12敗5分けで勝ち点「17」なので栃木SCと福岡の勝ち点は全く同じ。得失点差で辛うじて栃木SCが残留圏になる。
先のとおり、守備的なポジションの流出が目立つオフになったので開幕前は守備陣が不安視されていた。ただ、元韓国代表のGKユ・ヒョンが神がかり的なスーパーセーブを連発してチームを助けている。新加入のDF藤原広やDF森下怜なども奮闘しており、21試合で29失点。決して少ない失点数ではないが相手にボールを支配される展開になることが多かったことを考えると「守備陣は奮闘している。」と言える。
誤算は攻撃陣になる。21試合で15得点というのはJ2最少になる。各種のスタッツを見ると「シュート数」、「枠内シュート数」、「30mライン進入回数」、「ペナルティエリア進入回数」、「ボール支配率」はいずれも22位。J2ワーストになる。パス数も21位になるが攻撃に関する主要スタッツの多くが良くない数字なので21試合で15得点というのも納得できる。ここ8試合勝ちなしと長いトンネルに入っている。
高さのあるDF服部康やDFパウロンなどが抜けた影響は、むしろ、「セットプレーでの得点減少」という形で表れている。昨シーズンも42試合で38得点だったがセットプレーから何と15得点を奪っている。ロングスローを含めたセットプレーは大きな武器になったが今シーズンは1得点のみ。DF藤原広は176センチ、DF森下怜は180センチ。ともに高さのある選手ではないのでセットプレーではターゲットになりにくい。
■ FWキム・ヒョンは救世主になれるか?セットプレーの威力が激減した点が得点力不足ならびに低迷の大きな理由に挙げられるが「フォワードの軸になれる選手」を必要としているのは明らか。39才になったFW大黒に多くを求めるのは厳しくなっているので夏の補強で頼りになるストライカーを獲得したかったが、先日、韓国の年代別代表経験があるFWキム・ヒョンの獲得に成功。2016年のU-23アジア選手権のメンバーだったいい選手を獲得できた。
「救世主になることが期待される。」というよりは「救世主になってもらわないと困る存在」と言えるが、田坂監督の去就も注目点になる。過去には大分や清水や福島を率いた経験を持っている実績のある指導者であるが大分や福島のときに見せていたパスサッカーを栃木SCで披露できていない。防戦一方の展開になるケースが少なくないので栃木SCのサポーターはフラストレーションを溜めているだろう。
栃木SCにとって痛恨だったのは20節の愛媛FC戦(H)の逆転負けになる。MF西谷和のPKで先制に成功したが後半28分に得たPKはMF浜下が失敗。2対0にする絶好のチャンスを逃すると後半40分と後半49分に失点。まさかの逆転負けとなった。前半に得たPKを蹴ったのはMF西谷和だったが後半に得た2本目のPKを蹴ったのはMF浜下だった。「なぜ、2本目もMF西谷和が蹴らなかったのか?」も話題になっている。
試合前の時点で愛媛FCとの差は「2」だった。栃木SCがホームで勝利した場合は愛媛FCを順位で上回ることができたが直接対決で敗れたことでその差は「2」から「5」まで広がった。なかなか勝てそうな展開にならないのが今シーズンの栃木SCなのでこういう展開になったときは何が何でも勝ち点「3」を獲得しないといけなかったが勝ち点「0」に終わった。21節を終えた時点で愛媛FCとの差は「6」まで広がっている。
■ 監督交代にはリスクはあるが・・・。20節の愛媛FC戦(H)の負け方が最悪だったので「このタイミングで田坂監督の退任のニュースが流れても不思議はない。」と思っていたが監督人事に関するアナウンスはなかった。21節はFC琉球とのアウェイ戦だったが0対3で大敗。幸いにして21位の福岡も3連敗中と勝てていないので順位は変わらなかったが直接対決で福岡に勝利したFC岐阜の勝ち点が「15」になって栃木SCとの差が「2」まで接近した。
まだJ2のリーグ戦は半分が終わった段階になるが「今、J3降格の危険性が最も高いのは栃木SC」と言えるだろう。順位的には福岡やFC岐阜よりも上に位置するが福岡は力のある選手は多い。最下位のFC岐阜は連敗を「8」で止めて雰囲気はガラッと変わった。MF塚川(松本山雅)の獲得にも成功してMF川西の存在感が急速に増してきた。ポジティブな要素は福岡ならびに栃木SCと比べるとはるかに多そうだ。
当然、シーズン途中での監督交代には一定以上のリスクが伴う。契約状況によっては多額の違約金が発生する可能性もあるので栃木SCのような規模の小さいクラブの場合、簡単には監督交代を決断することはできない。後任監督としてよりよい監督を招聘できるとも限らないので危険度は高いが開幕からこれまでの栃木SCの戦いぶりを考えると「監督交代を決断してもいい状況」になっているのは確かである。
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