■ ホームタウン・鳥栖市J2に所属するサガン鳥栖のホームタウンである鳥栖市は、佐賀県の東端に位置し、九州を代表する交通都市の1つとして知られている。市の中心地にある鳥栖駅は鹿児島本線と長崎本線の分岐点であり、市内にある鳥栖ジャンクションは九州自動車道・長崎自動車道・大分自動車道のジャンクションである。
特急電車に乗ると、博多駅まではわずかに30分足らず。福岡都市圏の一角であり、鳥栖市の総人口の約5%が福岡市へ通勤 or 通学している。
有名人も多く輩出しており、緒方孝市(プロ野球選手) 、小山慶一郎(NEWS)、権藤博(プロ野球選手) 、孫正義(実業家・ソフトバンク創業者)、松雪泰子(女優)が鳥栖市の出身である。
■ 日本一のスタジアムサガン鳥栖のホームスタジアムは「鳥栖スタジアム(ベストアメニティスタジアム)」である。ベストアメニティという会社は福岡県久留米市に本社を置く食品メーカーで、2008年から年間3150万円(3年契約)で命名権を取得した。
この鳥栖スタジアムを日本一のサッカースタジアムと評する人は少なくない。
前述のように鳥栖駅は九州の交通の要所で、しかもJR鳥栖駅の目の前にスタジアムがそびえたつ。プラットホームから、サッカー専用スタジアムが見られるのは、日本ではここだけではないだろうか?
#1 プラットホームからの眺め①
#2 プラットホームからの眺め②
#3 プラットホームからの眺め③
また、サッカー専用スタジアムらしくピッチと観客席が非常に接近しており、選手の息遣いが伝わってくる。天然芝のピッチも常時、整備されていて、非の打ちどころは無い。収容人数は、約20000人。中規模スタジアムとしては、理想的なスタジアムである。横浜FCのFW三浦知良も、このスタジアムを、「日本でも3本の指に入る素晴らしいスタジアムだ」と絶賛する。
#4 スタジアム周辺①
#5 スタジアム周辺②
#6 スタジアム周辺③
#7 スタジアム周辺④
#8 スタジアム周辺⑤
#9 スタジアム周辺⑥
#10 スタジアム周辺⑦
#11 スタジアム周辺⑧
■ フロント vs サポーターその鳥栖スタジアムに乗り込んできたのはアビスパ福岡。ここまでの成績は4勝8敗3分。九州ダービーということもあって、多くのアビスパサポーターも駆けつけて、ダービーの雰囲気を盛り上げるが、いかんせん、スタートダッシュに躓いた。前節の第16節のベガルタ仙台戦に勝利し、連敗を5でストップさせたが、J1昇格の可能性を残すには、もう1つも落とせない。
ただ、フロント(社長)とサポーターの確執は相当のもののようで・・・。
#12 横断幕①
#13 横断幕②
#14 横断幕③
#15 横断幕④
#16 横断幕⑤
#17 横断幕⑥
■ 超変則布陣ホームのサガン鳥栖は、韓国人ストライカーFW金信泳が警告累積のため出場停止。10試合ぶりに19歳のFW谷口を2トップの一角で起用。<4-4-2>でGK赤星。DF日高・飯尾・柴小屋・谷田。MF高橋・衛藤・高地・レオナルド。FW藤田・谷口。MF高橋と衛藤のダブルボランチで、右MFにMFレオナルド、左MFに高地。
アウェーのアビスパ福岡はGK神山。DFルダン・布部・長野・山形辰。MFタレイ・久永・久藤・田中佑・中島。FW大久保。DFルダンがFW藤田、DF長野がFW谷口にマンマークで付いて、DF布部がスイーパー役。左サイドバックがDF山形辰。その前にMF中島。右サイドバックが不在で、右ウイング気味に田中佑。超変則布陣である。
■ 福岡がダービーで連勝試合は、前半15分、福岡のMF久永が倒されて得たPKをMFタレイが決めて先制。一方の鳥栖は、前半26分にパスカットからMF高橋がドリブルで持ち込んで、FW谷口にラストパス。FW谷口が落ち着いて決めて同点に追いつく。FW谷口は今季3ゴール目。
押し気味の鳥栖だったが、前半41分に福岡のDF長野にミドルシュートを決められて、再びリードを許す。鳥栖は2失点とも、バイタルエリアをフリーにして喫した失点だった。前半は、福岡が2対1のリードで折り返す。
後半に入ると、鳥栖がセットプレーから数多くのチャンスを作る。しかしながら、キック精度を欠くシーンが多く同点に追いつくことはできない。1点リードの福岡はカウンターで攻撃を仕掛ける。試合終了間際には、福岡がFW大久保のパスからMFタレイがダメ押しのゴールを決めて追加点。
結局、アビスパ福岡が3対1で勝利。2連勝を飾った。
#18 アビスパ①
#19 アビスパ②
#20 アビスパ③
#21 アビスパ④
■ 理想的な試合運び福岡は、理想的な試合展開で勝利を勝ち取った。先制点・勝ち越し点・追加点の3ゴールのいずれもが非常に効果的な時間に生まれて、試合を優位に進めた。特に、前半終了間際のDF長野のゴールは、後半の戦いで主導権を握る上でも大きかった。
ストッパーのDFルダンとDF長野が鳥栖の2トップを密着マークし、その後ろのエリアをカバーしたDF布部のプレーも非常に落ち着いていて、隙を見せなかった。セットプレーでピンチを招いたが、流れの中では鳥栖をほとんど決定的なチャンスを作らせることは無かった。
■ 奮闘するFW大久保哲哉1トップの福岡はFW大久保がハイパフォーマンスを見せた。190cmの長身で空中戦にも強く、足元のプレーも悪くない。大柄な割には機動力も十分で、16試合中13試合でスタメン出場しているのが頷けるプレーぶりだった。
この試合はゴールは無かったが、これまで5ゴールをマークしておりチームトップ。FW黒部、FWグリフィス、FWハーフナー・マイクらライバルが多い中で、完全にポジションをつかんだ。ロングボール主体の福岡としては、非常に重要な選手である。
#22 勝利のダンス
#23 勝利の歓喜
■ 先の見えない戦い方①この試合は九州ダービーという燃える要素も十分で、選手たちは与えられた仕事を十二分にこなして3対1という勝利をつかんだ。最近のごたごたを見る限り、相手チーム以外にも戦うべき存在がいる難しい中、選手たちは非常によく頑張っている。
しかしながら、次につながる勝利かといったら、やや疑問である。1つ負けると、土台がまた崩れてなくなってしまいそうな危うい中での勝利であるといえる。
アビスパ福岡がJリーグ(J1)に昇格したのは1996年。ただ、J1では2000年の1stステージの6位が最高で、それ以外は散々な成績に終わっている。2006年には5年ぶりにJ1に復帰したが1年で降格。2007年はJ1再昇格に失敗。2008年もスタートダッシュに失敗した。未来は見えず、強化方針も一定しない。
■ 先の見えない戦い方②福岡のサポーターがリトバルスキー監督を支持しない最大の理由は、彼にビジョンがないからだろう。昨シーズン中盤の好調の次期は、MFアレックスやMF久永、MF久藤らを中心に、中盤で丁寧につないでサイドから仕掛けるサッカーを見せたが、一端、負けが込むと、突如、放り込み戦術に変更。その結果、チームは機能不全に陥って、大失速した。
この試合も、前半から攻撃はひたすらロングボールを1トップのFW大久保に向けて放たれるだけで、敵陣内でフリーキックを獲得しても、素早くリスタートすることは皆無。ゆっくりを時間をかけてセットしてから、ロングボールを前線に蹴り込む。まさしく、サム・アラダイスのサッカーである。
怖いのは、昨オフからこういうサッカーをするために戦力補強を行ってきたことである。昨オフ、FWハーフナー・マイク、FWグリフィス、FW黒部、FW大久保といった高さがあって、前線のターゲットマンタイプを次々に獲得した。シーズン前からのプラン通りのサッカーができているというと聞こえはいいが、結果は伴っておらず、MFアレックス、MF宮崎光平、MF山形恭平らがチームを去った状況では、後戻りをしたくても出来ないほどに、リトバルスキー監督が望むようなチーム構成に改造してしまった。
確かに、この試合で1トップを務めたFW大久保の出来は非常に良かった。ただ、今年・来年・再来年とずっとこういうロングボールに頼るサッカーをしていくわけではないだろうし。それならばリトバルスキー監督以上に適任者がいるはずである。彼にこだわる理由は無い。
#24 リトバルスキー監督
#25 横断幕⑦
#26 横断幕⑧
■ 金信泳不在の影響一方の鳥栖は、やはりFW金信泳の不在の影響が大きかった。代役の19歳のFW谷口が同点ゴールをマークするなど健闘を見せたが、高さに強い福岡のセンターバックに対して、正攻法でしか勝負できなかったのは痛恨だった。
エースFW藤田の動きが重くほとんどチャンスに絡めなかったのも痛かったが、仮に、FW金信泳がいれば、FW金の動きの量の多さやドリブルが威力を発揮したことだろう。ダービーという舞台で、彼の存在の大きさが浮き彫りになった。
■ ミスを繰り返した後半試合展開で言うと、前半終了間際に福岡に勝ち越しゴールを奪われたことが大きかった。前半に不運な形でPKを取られて先制を許したが、その後はペースを握り、FW谷口のゴールで追いつくことに成功。一気に逆転!!!というムードが高まった時間帯に、予想外のDF長野にゴールを奪われてプランが大きく狂った。
後半に入ると、焦りもあって、鳥栖はミスを連発した。ハードワークして戦うのがチームのスタイルだが、これだけミスが多いと、勝負にならない。
流れを変えようと試みた選手交代もうまくいかなかった。後半15分に左サイドバックのDF谷田に代えてDF野崎を投入したが、本来は攻撃的MFの野崎をサイドバックで起用する作戦は成功せず、対面の福岡MF田中佑のスピードを警戒するあまり引き気味になって、サイドの引っ張り合いで劣勢に立った。
#27 試合終了後
■ 強さを増すMF高橋義希全体的には低調だった鳥栖だったが、キャプテンのMF高橋義希のプレー振りはチーム内では際立った。23歳の北京五輪世代だが、すでにJ2では172試合の出場経験があって、同年代では随一。2006年からはチームのキャプテンを任されており、まさしく鳥栖の大黒柱である。
キャラクター的には守備能力の高いバランサータイプのボランチであるが、MF衛藤とダブルボランチを組むときは、もっと攻撃的なスタイルになる。この試合でも、右サイドを中心に積極的に前に飛び出していってFW谷口のゴールをアシストした。
特筆すべきはフィジカルの強さで、J2のミッドフィールダーの中ではトップクラス。その体の強さは攻撃でも守備でも威力を発揮している。同世代のボランチで、昨シーズンまで水戸に所属したMF小椋も人に強いタイプであるが、彼の場合は体の使い方が非常にうまく、サッカーセンスを感じさせるプレースタイルであるが、MF高橋の場合は、純粋に当たりに強い。
■ いつかの夢に向かって・・・サガン鳥栖は2003年頃のどん底の状態から這い上がって、2006年にはJ2で4位に食い込むなど、J2リーグの中では見逃せない存在となっている。
ただ、J1昇格の大きなチャンスを迎えながら、2007年は8位。松本育夫監督就任以降、上昇気流にあったチームはやや停滞感を見せており、飛躍的に上昇した観客動員も減少傾向で、チームとしては正念場を迎えつつある。
近年、J2に昇格した徳島や愛媛、草津の現状を考えれば分かるように、JFLとJ2には大きな差があるし、J2の下位と中位にも大きな差があるし、J2の中位と上位にも明確な差がある。鳥栖は、ここ数年間で、J2の下位チームから中位チームまで上り詰めて、今、中位チームから上位チームにステップアップしようとしている。
稀にジャンプアップするチームもあるが、ほとんどのチームにとって、一歩、一歩、確実に進んでいくしか道は無い。2005年のヴァンフォーレ甲府、2006年の横浜FCの例を見ればわかるように、適切なクラブ運営をすれば、規模の小さなクラブでもJ1に昇格することができるということは、実証されている。
#28 サガンサポーター①
#29 サガンサポーター②
#30 松本育夫GM
#31 岸野靖之監督
#32 サガンサポーター③
#33 サガンサポーター④
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仙台スタジアムも駅から見えた気がします。
でも地下鉄だし、スタジアムは厳密には
ラグビー兼用ですから
あてはまらないかもしれませんが
>>> ルイージさん
どうもコメントありがとうございます。内から見ている人は、もっとおかしなフロントだと思うかもしれませんね。ちょっと異常な状況です。
>>> あさん
鹿島スタジアムもそうでしたか・・・。どうも、情報ありがとうございます。
鹿島も駅からスタジアム見れるよ
名前も鹿島サッカースタジアム駅だし
全然主要な駅じゃないけど;
去年の試合でチームを去った選手のうち2人が当日になって試合に出たくないということがあったと聞きました。それだけリトバルスキー監督に対する信頼度が無かったのだと思います。
それにしても外から見ても福岡のフロントは何かがおかしい気がするのですが…
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