■ 育成力も日本屈指の名門クラブ言うまでもなく、鹿島アントラーズは「J1屈指の名門クラブ」であり、Jリーグのビッグクラブである。元ブラジル代表のMFジーコがチームの礎を築いており、「ジーコ・スピリット」はクラブに根付いている。数えきれないほどのタイトルを獲得しているJリーグの優良クラブになるが今シーズンもACLはベスト8に進出。J1のリーグ戦でも上位争いに絡んでいる。ACLを連覇するようだと「快挙達成」と言える。
日本代表にもたくさんの選手を送り出している。森保JAPANの軸になっているFW大迫とMF柴崎岳はクラブOB。鳴り物入りで鹿島に加入して紆余曲折ありながらも日本トップクラスの選手に育った。守備の要として活躍したDF昌子がロシアW杯で奮闘したのも印象深い。現・所属選手ではDF安西やFW鈴木優やMF安部裕やMF三竿健などが代表に絡んでおり、DF内田篤は日本代表として74試合に出場している。
「高校サッカーの名門校で活躍した高校サッカー界のスター選手を獲得して一流に育てる。」というのはMF本山やMF中田浩などの時代から続く鹿島の伝統になっているが、期待を受けて鹿島に入団した選手の多くが順調にプレーヤーとして成長しているので預ける側の監督や両親は安心して子供を鹿島に送り出すことが出来る。あらゆる面で鹿島は日本屈指のクラブであるが「育成力」も日本屈指と言える。
■ MF安部裕とDF安西の流出は決定的先日はFW染野(尚志高)の加入が内定した。C大阪入りが決まったFW西川潤(桐光学園高)、浦和入りが決まったMF武田英(青森山田高)とともに「今年度の高校ビッグ3の1人」であるFW染野の鹿島入りというのは規定路線と思われていたので驚きではなかったが年末年始に行われた冬の高校サッカー選手権を沸かせたU-18日本代表のストライカーが鹿島で順調に成長していく姿は容易に予想することが出来る。
さらには先日のコパ・アメリカで代表デビューを果たしたFW上田(法政大)の加入も決まっている。こちらは大学3年生。2021年度の新加入選手になるが五輪代表でゴールを量産している東京世代の有望株も「未来の鹿島のエース候補」になる。コパ・アメリカでは決定機を外す場面が目立ったのでバッシングの対象になったが「本気の南米勢を相手にたくさんの決定機に絡めた点」は高評価に値する。
FW上田とFW染野の獲得というのは「鹿島らしい補強」になるがここ最近の鹿島は所属選手の欧州進出が目立っており、需要と供給のバランスが大きく崩れている。昨夏はDF植田直(セルクル・ブルージュ)が欧州に移籍して、昨オフはDF昌子(トゥールーズ)が欧州に旅立ったが、今夏も所属選手の欧州移籍の噂がたくさん流れており、10番を背負っているMF安部裕はバルセロナへの移籍が確実な情勢になった。
さらに攻撃的なSBとして知られるDF安西もポルティモネンセSCへの移籍が決定的と報じられた。今シーズンは怪我のためプレーできていないFW鈴木優に対してもシントトロイデンが興味を示している。欧州のクラブから評価の高いストライカーなのでFW鈴木優も、今夏、欧州に旅立つ可能性がある。次代の鹿島を担うはずだったMF安部裕とDF安西とFW鈴木優がトリプル流出することも考えられる状況である。
■ 需要と供給のバランスが崩れている。過去にたくさんの日本人選手を欧州に送り出してきたクラブなので「ある程度以上のレベルに育った選手」を海外のクラブに送り出すことに関してはクラブもサポーターもそこまで大きな抵抗はないだろう。鹿島在籍時から日本代表の主軸クラスだったFW大迫やDF昌子の欧州進出に関しては「仕方がない。」と考えた人がほとんどだったと思うが、MF安部裕やDF安西やFW鈴木優あたりはそこまでの選手ではない。
「まだ日本でやり残したこと」がたくさんありそうな選手なので彼らの欧州移籍のニュースを複雑な思いで聞いている人は多いだろう。「有望株が次々に出てくる。」というのは鹿島の伝統であり、底力を感じる部分になるが、「次の次の時代の鹿島」の主軸を担うだろうFW染野やFW上田やMF名古やMF平戸やDF関川などが育つ前に「次の時代の鹿島の主軸候補たち」が移籍するようだとクラブは回らなくなる。
「高校や大学の名門校から加入した選手が多くて鹿島ユース育ちの選手は少ない。」という点も早い段階で欧州移籍を目指す選手が多い理由の1つと言えるのかもしれないが、報道通りに、今夏、MF安部裕とDF安西が抜けるようだとさすがの鹿島でも穴を埋めるのは難しいと推測できる。特にDF内田篤とDF伊東幸が怪我をしていてDF安西にかかる負担が極めて大きかったSBは大変なことになる。
■ 誰しもが欧州行きを夢見るが・・・。サッカー選手であれば誰しもが「欧州リーグでプレーしたい。」と考えているだろう。鹿島のような名門クラブで試合に出場して、日本代表の活動に絡めるようになった選手が欧州行きを希望するのはある意味では極めて自然なことだと思うが、在籍する選手に「押しも押されぬ鹿島の軸」になる前に欧州行きを希望されるとフロントとしては手の打ちようがない。一連の流れでフロントを責めるのは酷だろう。
「危機的な状況を迎えつつある。」と言えるが、MF安部裕に関しては「移籍金が2億5,000万円」と言われている。代表での実績がほとんどない日本人選手としては異例の移籍金になる。DF安西についても「それなりの額」の移籍金をクラブに残して旅立つことになると考えられるのでJリーグでは破格の好条件を提示して他のJリーグのクラブの有望株や国内外の大物外国人選手を獲得することも可能になる。
一方で「欧州のクラブからは目を付けられにくい選手」をターゲットに補強を進めることも考えられる。昨オフの鹿島はFW伊藤翔(横浜FM)やMF白崎(清水)を獲得したが「鹿島らしくない補強」だった。若くて将来性を高い選手は「J1でトップレベルの活躍をする前」から欧州のクラブに目を付けられてしまうが「20代中盤や30代の選手」はその対象にはなりにくくて、長きに渡って鹿島を支える選手になる可能性がある。
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