■ 快進撃を支える守備陣J2はあと少しで折り返し地点を迎える。一時と比べると勢いが落ちてきているが今シーズンの前半戦のJ2の主役になったのはモンテディオ山形と水戸ホーリーホックの2チームだった。山形は19節を終えた時点で首位に立っており、水戸は開幕から12試合負けなしと突っ走った。オフにFWジェフェルソン・バイアーノやMF伊藤涼やFW岸本などが抜けたものの、FW黒川やMF茂木駿やMF浅野雄など若手が奮闘している。
攻撃的なポジションの若手の頑張りも目立つが19試合で20得点なので得点力は決して高くない。やはり、快進撃の要因は守備陣である。19試合で10失点というのは驚異的である。複数失点をした試合は17節の福岡戦(H)のみ。この試合も4対2で勝利している。このままの失点ペースで行く可能性は低いとは思うがJリーグの「1試合平均の失点数」の年間記録を狙えるペースである。失点の少なさは驚異的である。
守護神のGK松井の頑張りも目立つ。1試合の中で何度かはビッグセーブを見せてチームを救っている。これまで磐田やC大阪や徳島や川崎Fや大宮でプレーした経験を持っているが「キャリア最高のシーズンを送っている。」と言える。磐田U-18の頃から注目を集める大型キーパーだったが32才にしてビッグシーズンになっている。ベテランのGK本間、新加入のGK村上もいるので、キーパーのレベルは高い。
■ J2でMVP級の活躍を見せる。最終ラインは新加入のDF岸田が右SBのレギュラーに定着。左SBも新加入もDF志知が起用されているが彼はもともとはアタッカーの選手である。J3の福島では2列目として活躍した。「コンバート前提での水戸入り」だったと思うが、不慣れなポジションである左SBをうまくこなしている。突破力が最大の武器となるが守備面でも全く穴にはなっていない。むしろ、気の利いた守備を見せてチームに貢献している。
GK松井、DF岸田、DF志知などの活躍も目立っているが、やはり、最も目立っているのはDF伊藤槙になる。「前半戦のJ2でMVP級の活躍を見せた。」と言える。CBの相方は固定されておらず、ベテランのDF細川もしくは若手のDFンドカ・ボニフェイスとCBコンビを組んでいるが、どちらと組んでも問題なし。水戸の守備の要として絶大な存在感を発揮しており、今シーズンの活躍で評価を劇的に高めた。
183センチなのでサイズ的にもまずまずである。大型化が進む昨今のJリーグにおいて「183センチ」というのはCBとしては標準レベルになる。際立つレベルではないが空中戦は強い。昨シーズンの自陣での空中戦勝率は68.9%。J2の守備的なポジションの中では15位なのでかなり優秀な成績を残している。身体能力が高くてポジショニングにも優れている。「空中戦の強さ」というのが大きな武器の1つになる。
■ 万能型のCBと言える。「高さ」だけの選手ではないのがDF伊藤槙の魅力になる。183センチの選手にしてはスピードがあって基本的な技術もまずまず高い。CBの選手にもスピードが求められる時代になっているがスピードがあるので誰とCBコンビを組んでも大丈夫。「判断力が課題」と言われてきたがJ3の藤枝MYFCやJ2の水戸で試合経験を積んだことで洗練されてきた。DF伊藤槙も今シーズンは大飛躍のシーズンになっている。
前半戦のJ2でこれだけの活躍を見せたので「夏の移籍市場で獲得に興味を示すJ1のクラブがたくさん出てくること」は容易に予想することが出来たがJ1の優勝争いに絡んでいる横浜FMが目を付けた。水戸もJ2では優勝争いに絡んでいるが、やはり、名門クラブからのオファーを拒むのは難しい。6月29日(土)に「水戸から横浜FMに完全移籍すること」が正式に発表された。J1のクラブへの電撃移籍となった。
余談になるがDF伊藤槙というと「元日本代表の山口素弘さんによく似ている。」ということで有名である。1997年のフランスW杯のアジア最終予選の3戦目の日韓戦で「伝説のループシュート」を決めた日本サッカー界のレジェンドと顔がよく似ている。山口素弘さんが水戸の試合を解説したときに本人もコメントしていたので本人たちも知っている話だと思うが、「顔だけでなく声もよく似ている。」という話である。
■ 横浜FMでポジションを確保する可能性は低いが・・・。絶大な存在感を発揮していた守備の要が抜けることになったので水戸は大変である。先のとおり、これまではDF伊藤槙が中心。DF細川 or DFンドカ・ボニフェイスが相方として起用されてきたが、これからはDF細川&DFンドカ・ボニフェイスのCBコンビになるだろう。ベテランのDF細川が最終ラインを統率することになると思うが今後はオフにFC琉球から加入したDF瀧澤にも多くの出場機会が与えられるだろう。
一方、DF伊藤槙はJ1初挑戦になる。千葉・水戸・藤枝MYFCでプレーしてきたが26才にしてついにJ1でプレーする機会を得た。当然、横浜FMのCBコンビはDFチアゴ・マルチンスとDF畠中で固定されている。どちらも「J1屈指のCB」なのでDF伊藤槙がCBのポジションを確保する可能性はかなり低いとは思うが、3番手のCBだったDFドゥシャンが怪我で離脱中。DFドゥシャンがいない時期に存在感を発揮しておきたい。
昨今のJリーグは「J2からJ1への個人昇格」が増えている。昨夏はMF古橋(FC岐阜→神戸)やFW小野瀬(山口→G大阪)などが個人昇格を果たしてJ1でも活躍。ブームになっているが「J2で力を示した選手がJ1のクラブに引き抜かれてより高いレベルでプレーするチャンスを得る。」というのは自然な話である。DF伊藤槙を含めた個人昇格組はJ2ならびにJ3の選手の代表である。彼らのためにも頑張らないといけない。
★ 現在の投票数 → 320票
→ 最大で20個まで選択して投票することができます。
→ 「コメント」のところは何も書かなくてもOKです。(投票可能です。)
クラブ別の人気エントリー・ベスト10 (横浜Fマリノス編)
01位 2012/01/23 松田直樹はもういない・・・。
02位 2007/08/12 【横浜FM×横浜FC】 横浜の一番熱い夜 (生観戦記 #15)
03位 2018/04/22 GK飯倉大樹(横浜Fマリノス)の走行距離が物凄いことになっている件
04位 2018/01/12 【移籍市場】 男を下げるMF齋藤学の移籍 (横浜Fマリノス→川崎フロンターレ?) (前編)
05位 2018/01/12 【移籍市場】 男を下げるMF齋藤学の移籍 (横浜Fマリノス→川崎フロンターレ?) (後編)
06位 2018/02/07 【順位予想】 「横浜Fマリノスが過小評価されすぎている。」という話
07位 2014/10/19 最強時代の岡田マリノスの主役の1人 ~奥大介さんの訃報に寄せて・・・~
08位 2017/08/23 【Jリーグ】 「サポーターの平均年齢の低いクラブはどこか?」を調べてみた。
09位 2017/09/15 【Jリーグ】 横浜Fマリノスの歴代ベストイレブンを考える。 (1993年-2017年)
10位 2018/05/06 【暴力行為】 MF喜田拓也(横浜Fマリノス)に非は無いのか? (vs ジュビロ磐田)
00位 2019/06/30 クラブ別エントリー (横浜Fマリノス)
- 関連記事
-