■ Must winの試合約20年ぶりにコパ・アメリカに出場している日本代表は6月25日(火)にGLの3戦目のエクアドル戦が控えている。ここまで0勝1敗1分けの日本は「勝てば勝ち点「4」となってGL突破」が確定する。準々決勝の相手はブラジルになるが引き分け以下に終わった場合はGL敗退となるので「Must winの試合」になる。エクアドルも同様に勝たないといけない試合なので「分かりやすい状況」。生きるか死ぬかの大一番になる。
今回のコパ・アメリカは若手主体になっている。東京世代の選手が18名で、それ以外の選手は5名のみ。GK川島(ストラスブール)、DF植田直(セルクル・ブルージュ)、MF中島翔(アルドゥハイル)、MF柴崎岳(ヘタフェ)、FW岡崎慎(レスター)の5名は「東京世代ではない選手」になるが「五輪世代+α」というチーム編成は3人までのオーバーエイジの使用が認められている五輪の本番のレギュレーションとよく似ている。
中堅世代となるDF植田直とMF中島翔とMF柴崎岳は初戦のチリ戦でスタメン起用されたが「五輪の本番でもオーバーエイジで招集されても不思議はない3人」なのでいいシミュレーションの機会になっている。拘束力がない大会なので選手集めで日本サッカー協会は苦労したが「五輪の本番に近いメンバー構成になった。」というのは良かった。2020年の東京五輪の本番に向けて素晴らしい経験になるだろう。
■ 初めてオーバーエイジが採用されたのは1996年のアトランタ五輪五輪にオーバーエイジが初めて採用されたのは1996年のアトランタ五輪のときだった。このときは初戦でブラジルを撃破。「マイアミの奇跡」と言われているがブラジルがFWベベトとMFリバウドとDFアウダイールを招聘したのに対して日本はオーバーエイジを起用しなかった。当時の西野監督がオーバーエイジの選手を入れて新たにチームを作るよりも継続性やコンビネーションを重視した末の選択だった。
2000年のシドニー五輪以降はオーバーエイジを積極的に起用して来た。ベスト4に入った2012年のロンドン五輪のときはDF吉田とDF徳永を招聘。経験豊富な2人が最終ラインを安定させた。オーバーエイジの起用は大成功だったが2016年のリオ五輪のときはDF藤春とDF塩谷とFW興梠を起用したものの彼らの能力を生かしきれず。オーバーエイジの3人が入ったことでチームバランスは大きく崩れてしまった。
3人ともに(当時は)国際経験が豊富ではなかった点もマイナスに作用した。特にDF塩谷とDF藤春の2人は五輪という舞台に対して過度にプレッシャーを感じて力を出し切れなかった。足を引っ張る形になったので「国際経験の豊富な選手をオーバーエイジで召集すべきだった。」と言われたが、もっともな意見である。Jリーグで実績がある選手でも国際試合の経験が乏しいと世界大会で活躍するのは難しくなる。
■ オーバーエイジの候補に挙げられるのは・・・。いい教訓になったので東京五輪のときは「大舞台の経験が豊富な選手」や「外国人選手と対戦することに慣れている選手」をオーバーエイジで召集する可能性が高いと思うが、オーバーエイジの候補としてはGK中村航(柏)、GKシュミット・ダニエル(仙台)、DF酒井宏(マルセイユ)、DF吉田(サウサンプトン)、MF柴崎岳(ヘタフェ)、MF中島翔(アルドゥハイル)、FW大迫(ブレーメン)などの名前が候補として挙がってくる。
重要になるのは「五輪代表に不足しているポジションはどこなのか?」をしっかりと見極めることである。ロンドン五輪代表は「CBが弱点」と言われ続けてきたチームだったのでDF吉田の抜擢は的確だった。年齢にもロンドン世代の中で最年長となる学年(=1989年の早生まれの選手)とは同学年。主力のGK権田(ポルティモネンセ)やFW永井謙(FC東京)などと同じ学年だったのでチームに溶け込みやすかった。
東京世代は各ポジションにタレントを揃えているが強みはCBになる、DF冨安(シントトロイデン)を筆頭に大型CBが目白押しである。2列目も充実している。MF堂安(フローニンゲン)が中心になるがMF三好(横浜FM)やMF旗手(順天堂大)やMF岩崎(京都)やMF伊藤達(ハンブルガーSV)やMF三笘(筑波大)やMF安部裕(鹿島)などがいて、厳密に言うと東京世代ではなくてパリ世代になるがMF久保建(FC東京)もいる。
■ 理想的なオーバーエイジと言えるMF柴崎岳「CBと2列目が充実している点」が東京世代の特徴になるが、逆に弱みになっているのはボランチになる。MF松本大(広島)、MF渡辺皓(東京V)、MF板倉(フローニンゲン)に加えて、MF伊藤洋(名古屋)やMF齊藤未(湘南)といった下の世代の選手も候補に挙げられるが、「絶対的な存在」はいない。期待されているMF中山雄(ズヴォレ)が所属クラブで出場機会を得られずにやや伸び悩んでいるのは誤算と言える。
特に「ゲームメーカー系のボランチ」が不足していることを考えるとMF柴崎岳(ヘタフェ)をオーバーエイジで召集する可能性はかなり高いと考えられる。今回のコパ・アメリカにも召集されているが五輪世代中心のチームの中で早くも大きな存在感を発揮している。2018年のロシアW杯を主力として経験しているのも魅力。年齢的にも、実績的にも、プレースタイル的にも、MF柴崎岳は理想的なオーバーエイジになる。
同じボランチの選手ではMF遠藤航(シントトロイデン)という選択肢もある。「ドイツのシュツットガルトへの移籍が濃厚」と報じられているが森保JAPANでは主力のボランチとして活躍中。ボランチだけでなくCBや右SBなどでもプレーできるユーティリティー性とリーダーシップの高さも魅力と言える。ロシアW杯の時は出場機会がなかったがリオ五輪のときはキャプテンとしてチームを引っ張った経験を持っている。
先日、問題を起こしたことで好感度は激減しているが、実力やプレースタイルを考えるとMF守田(川崎F)という選択もあり得る。中盤を安定させることができるボランチは絶対に必要になってくる。「すでに代表を引退しているMF長谷部をオーバーエイジで招集してもいいのでは?」という声も上がってくると思うが、やはり、2022年のカタールW杯のときに日本代表の主力になるだろう選手に五輪の経験を積ませたい。
2019/06/25 【2020年の東京五輪】 オーバーエイジで選出される3人を予想してみた。 (前編)
2019/06/26 【2020年の東京五輪】 オーバーエイジで選出される3人を予想してみた。 (後編)
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