■ J1第13節ともに勝ち点「15」のヴィッセル神戸とアルビレックス新潟の対戦。
ホームの神戸は<4-4-2>。GK榎本。DF石櫃・北本・小林・内山。MF金南一・ボッティ・栗原・古賀。FW大久保とレアンドロ。DF北本が5試合ぶりに復帰。怪我のDF河本を除くと、ほぼベストといえるメンバーがようやく揃った。
新潟も<4-4-2>。GK北野。DF内田・千代反田・永田・松尾。MF寺川・千葉・マルシオ リシャルデス・松下。FWアレッサンドロと矢野。
■ 1対1のドロー試合は、前半から神戸が優勢。MF金とMFボッティのダブルボランチがうまく試合を作って、2トップのスピードを生かした攻めでチャンスを作る。前半31分には、新潟のMFマルシオ・リシャルデスのクリアミスを拾ったFW大久保が巧いコントロールから左足でシュートを決めて先制する。
一方の新潟は、好調のFWアレッサンドロを中心に反撃。すると、前半41分にDF内田のクロスからゴール前のFWアレッサンドロが神戸のDF石櫃をうまく外してフリーになると、最後は冷静にゴールに流し込んで同点に追いついた。
順位の近いチームとの対戦ということもあって、両チームともに勝利が欲しい試合だったが、後半はゴールが生まれず、そのまま1対1で終了した。
■ 引き分け地獄①シュート数は神戸が「16」で、新潟が「9」と、神戸が全体的には押し気味だったが、後半に勝ち越すことはできずに終わった。これで、神戸は13試合で7分けとドロー地獄に迷い込んでいる。その中には、ホームの浦和戦、アウェーの鹿島戦、アウェーの名古屋戦と価値ある引き分けも多いが、一方で下位に低迷するホームの札幌戦やアウェーの千葉戦でも引き分けに終わっており、取りこぼしも目立つ。
どの試合も内容は悪くなく、組織的なサッカーが出来ているが、勝ちきれない試合が多く、もどかしい展開になっている。
■ 引き分け地獄②これで、神戸は13位で中断期間に入るが、序盤が好調だったことを考えるとやや不本意な順位であるといえる。難しいのは、チームとして目指す方向性も固まっていて、かなりのレベルで自分たちの思い通りの戦い方が出来ているにもかかわらず、勝ち点が伸びてこないことである。
外国人枠はFWレアンドロ、MFボッティ、MF金何一ですでに埋まっており、中断期間に日本人のビッグネームを補強するのは難しい。したがって、現有戦力で戦う以外に策は無いが、どのポジションも、すでにハイレベルな選手が揃っていて、ノビシロはそれほど多くない。
ただ、現状でも、十分にJ1のトップ6あたりを狙える戦力はそろっており、松田監督の手腕にも疑いようは無い。今後は、1つ1つ、勝利を重ねていって、勝ち癖をつけていくしかない。
■ ダブルボランチの寺川と千葉一方の新潟は、アウェーということを考えると、勝ち点「1」は悪くない結果であるといえる。後半は神戸に決定的なチャンスが何度かあったが、守備陣が踏ん張って、引き分けに持ち込んだ。
MFマルシオ・リシャルデスが怪我の影響もあって本調子ではなく、MF松下の飛び出しはなかなか効果的だったが、ダブルボランチや両センターバックから前方に効果的なフィードが出来ずに、いい形で攻撃をスタートさせることができない。
今シーズンは、MF寺川とMF千葉がダブルボランチを組むことが多いが、MFシルビーニョやMF本間と比べると、パス能力ではかなり劣る。MFマルシオ・リシャルデスが万全であればボランチがつなぎ役に徹しても問題は無いが、MFマルシオ・リシャルデスが効果的に絡めない状況ではダブルボランチがゲームを作る必要があるが、この点はうまくいっていない。
■ アレッサンドロの落ち着き①なかなか攻撃がかみ合っていないが、それでも何とか勝ち点を拾っているのは、やはりFWアレッサンドロの活躍によるところが大きい。この試合も、チャンスはそれほど多くは無かったが、一瞬のすきをついて、同点ゴールを奪った。
神戸のDF石櫃の対応がややまずかったもといえるが、それでもしっかりとボールを保持しゴール前でフリーの状態を作ると、その後の落ち着き払ったシュートは、相手GKのタイミングを完全に外しており、セービングのチャンスを与えなかった。
これで、FWアレッサンドロは、ここ7試合の出場で7ゴール。通算7ゴールとなって、得点ランキングでもFWバレーとFWヨンセンと並んで2位につけている。
■ アレッサンドロの落ち着き②開幕から、FWアレッサンドロのプレーを何試合か見た中で似たタイプを探すと、ちょうど、この試合で対戦した神戸のFWレアンドロが頭の中に浮かんできた。177cmで体型も似た感じであり、ともにスピードがあって、一直線にゴールに向かうことも出来るストライカーらしいストライカーである。
もう少し細かく比較すると、FWレアンドロほどの運動量は無く、一瞬の加速度という意味ではFWレアンドロが上であるが、ゴール前のアイディアやシュート感覚という点では、FWアレッサンドロが上回っているように思える。
いずれにしても、このままの調子で行けば、20ゴール程度は十分に期待できる。
■ アレッサンドロの生かし方神戸と同様に、新潟も最終順位ととしては、思うようなものではなかった。ただ、開幕4連敗を喫したことを考えると、悪くないといえるかもしれない。神戸と比べると、攻守ともにスムーズに出来ていない部分が多いが、それでもタレントは集まっており、同じく中位以上を目指すことのできる選手が集まっている。
重要なのは、FWアレッサンドロの能力をフルに生かせるようにチーム作りを行っていくことであり、まだFWアレッサンドロの能力を完全に活用できているわけではない。チームとしてのノビシロという意味では、神戸の以上のものがあるだろう。
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