■ 「食野家」は豪商の一族プロ3年目となるG大阪のFW食野亮はJ3のG大阪U-23で8試合で8ゴールと活躍。トップチームでプレーするチャンスを得るようになるとJ1のリーグ戦では12試合で3ゴールを挙げている。韓国代表のFWファン・ウィジョがいて、FWアデミウソンもいる中、2トップの一角でプレーするケースも多かった。2018年はJ1で11試合に出場してノーゴール。結果を出せなかったが2019年はブレイクのシーズンになっている。
最大の武器はキレ味鋭いドリブルとシュート精度の高さになる。ドリブルに関してはユース時代から定評があったがJ3のG大阪U-23で試合に出続けて「ゴールを奪う。」という感覚を身に付けることが出来たのは大きかった。左45度からドリブルで仕掛けて右足でシュートを放つプレーを得意にしているが「ゴールへの形を身に付けることが出来た。」と言える。16節の湘南戦(H)の決勝ゴールも得意の形から生まれた。
「めしの」というのは変わった名前になるがwikipediaを見ると「食野家」というページがあって、「楠木正成の子孫の大饗(おおあえ)氏が食野家の出自。江戸時代中期から幕末にかけて和泉国佐野村(現在の大阪府泉佐野市)を拠点として栄えた豪商の一族。北前船による廻船業や商業を行うほか、大名貸や御用金などの金融業も行い、巨財を築いた。末裔にプロサッカー選手の食野亮太郎がいる。」と書かれている。
■ 代表クラスではない選手の海外移籍とにかく貪欲でハングリー精神を持った選手なので「名家の出身」というのには驚いたがイングランドの名門のマンチェスターCへの完全移籍が決定した。FWファン・ウィジョがボルドーに移籍して、MF中村敬はトゥウェンテに期限付き移籍となったが、FWパトリックとMF宇佐美が復帰。今夏のG大阪は選手の入れ替えが激しくなっているが夏の移籍市場が終盤戦に突入してまたしてもビッグニュースが飛び込んできた。
つい先日、MF井手口(グロイター・フュルト)の復帰も確定したので、「MF井手口をインサイドハーフで起用して、MF宇佐美を2トップの一角で起用する。」という方法で乗り切ることになると思うが、このタイミングでFW食野亮が抜けるというのはG大阪にとっては痛手である。G大阪への復帰戦となった20節の名古屋戦(A)の終了間際に値千金の同点ゴールを決めたMF宇佐美にかかる期待はさらに大きくなるだろう。
今夏のJリーグはとにかく若手の海外移籍のニュースが多い。これほどたくさんの日本人選手に海外のクラブからオファーが届いて海外移籍を決断する選手が続出したことは過去にはなかった。しかも、MF久保建(レアル・マドリー)、MF安部裕(バルセロナ)、GKシュミット・ダニエル(シントトロイデン)、FW北川航(ラピード・ウィーン)、MF前田大(CSマリティモ)など代表クラスの選手だけではないのも注目点になる。
さっそく移籍先で存在感を発揮しているDF菅原(AZ)やMF中村敬(トゥウェンテ)はU-20日本代表の選手である。DF小池龍(ロケレン)は代表歴の無い選手で、MF天野純(ロケレン)は元・日本代表になるが国際Aマッチは1試合の出場のみ。FW鈴木優(シントトロイデン)も代表のピッチでプレーした経験はない選手である。「欧州に挑戦できるのはフル代表の主力クラスのみ」という時期もあったが様相はガラッと変わった。
■ メガクラブ経由の日本人選手の移籍は・・・。年代別代表の主力クラスの選手にも欧州のクラブからオファーが届く時代に入っているがFW食野亮は五輪代表入りを期待されている選手ではあるがこれまで年代別代表でプレーした経験はない。U-20W杯の本大会など国際試合で活躍した若手の評価が上がって欧州のクラブが獲得に乗り出すケースはこれまでにもいくつかあったが全く年代別代表の経験がない若手の海外移籍というのはかなり珍しいと言える。
しかも、マンチェスターCである。「時代は変わった。」と言うしかないが、このタイミングでマンチェスターCに移籍するのがベターな選択なのか?というと個人的には「No」だと思う。このままマンチェスターCに合流してマンチェスターCでプレーすることはまずありなくてどこかのクラブに期限付き移籍することになるが、過去を振り返ってみても「日本人のメガクラブ経由の欧州移籍」はあまり成功していない。
同じマンチェスターCに移籍したMF板倉(フローニンゲン)はまだ数か月しか経過していないので結論を出すのは早すぎるがアーセナルに移籍したFW浅野拓はアーセナルでプレーすることは出来ずに今夏にパルチザン・ベオグラードへ移籍することになった。FW宮市亮(ザンクトパウリ)は怪我の影響が大きかったとは思うがこちらもアーセナルでプレーしたのはカップ戦のみ。思うように成長することは出来なかった。
■ 青田買い的な補強「マンチェスターCほどのクラブに日本人選手が目を付けられる。」というだけでも凄い話になるが、無邪気に「マンチェスターC行きは凄い。」、「FW食野亮は凄い。」と称えるのはそろそろ止めにしないといけないだろう。莫大な資金力を持つマンチェスターCにとっては「青田買い的な補強」で獲得した選手の1人であり、こういう形で獲得した(無名の)選手の何人かに1人が大化けしてくれたら十二分に元が取れる。
マンチェスターCに限らず、「活躍できずに終わる選手がたくさん出てくることは承知の上で若手を乱獲して一獲千金を狙う。」というのがトレンドの1つになっており、「それなりに能力が高い選手でも、比較的、安く買える選手が多い。」と言われる日本人の若手に欧州のクラブが目を付け始めているというのが現状である。欧州のクラブが日本人の若手を乱獲し始めている状況は「素晴らしい話」とは言えない。
仮にFW食野亮が欧州で目立った活躍が出来ずに終わってもマンチェスターCには大したダメージにはならないが日本サッカー界やG大阪にとってFW食野亮という選手は「大きな期待が集まる若手の1人」であり、「期待通りに育ってくれないと困る選手」である。今、欧州に旅立つこと自体は悪くないと思うがもっと大事に扱ってくれそうなクラブに移籍した方が幸せなサッカー人生になる可能性は高まると個人的には思う。
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