■ アウェイの広州恒大戦2019年のACLが開幕した。J1で2位となってACLのプレーオフの出場権を獲得したサンフレッチェ広島は2月19日(火)に行われたプレーオフのチェンライ・ユナイテッド戦はPK戦の末に辛くも勝利。ACLの本大会出場を決めた。中国の広州恒大、豪州のメルボルン・ビクトリー、韓国の大邱FCと同組となったが、3月5日(火)に行われたACLのGLの初戦はアウェイで広州恒大に0対2で敗れて黒星スタートとなった。
昨シーズンは秋以降に大失速してリーグ制覇を逃しているが天皇杯を含めると10試合勝ちなしで2018年を締めくくった。今シーズンもJ1のリーグ戦は開幕から2試合連続ドロー。プレーオフのチェンライ・ユナイテッド戦のPK勝ちは引き分け扱い。GLの初戦の広州恒大戦は0対2で敗れたので今シーズンも公式戦は4試合を戦って0勝1敗3分けと勝てていない。昨シーズンから続く未勝利記録は「14」まで伸びている。
これだけ未勝利の時期が続くのは珍しい。最後に勝利したのはJ1の25節の鹿島戦(H)になる。2018年9月1日の出来事なので半年以上、勝利から遠ざかっていることになる。14試合で0勝9敗5分け。14試合で7得点/21失点と散々な成績になる。J1の3節はC大阪戦(A)、4節は松本山雅戦(H)、5節は大分戦(A)、6節はG大阪戦(H)となるが、このまま未勝利の時期が続くようだと城福監督の立場は危うくなる。
■ 11人全員を入れ替えたが・・・。今の広島は怪我人が続出している。MF青山敏とMF稲垣のWボランチは揃って離脱中。キーパーのGK林卓人も戦列を離れている。19才のGK大迫がJ1のリーグ戦では2試合連続でスタメン起用されて好プレーを見せているのは数少ないポジティブな要素になるがどちらかというと「若手を使わざる得ない。」という状況である。高卒ルーキーのMF松本大やMF東俊希なども戦力の1人として開幕から出番を得ている。
結果が出ておらず、かつ、満身創痍の状態の中で広州恒大とのアウェイ戦を迎えたので「どんなメンバーで戦うのか?」は注目点だったが直近のリーグ戦の磐田戦(H)からスタメン11人をすべて入れ替えてきた。GK中林、DF荒木、MF森島司、FW皆川、FWドウグラス・ヴィエイラなどをスタメンで起用してきた。GLの初戦からいきなりターンオーバーを採用したが、先のとおり、結果にはつながらなかった。
J1のリーグ戦で主力を張っている選手の中でベンチに入ったのはMF野津田、MF松本泰、DF吉野恭の3人だけ。FWパトリックやDF佐々木翔やMF柏やMF川辺などは遠征に参加しなかったと考えられる。3月9日(土)にJ1の3節のC大阪戦(A)を控えているので「現時点での主力メンバー」はそちらに集中するために日本に残って調整を続けてきたようだ。C大阪戦(A)のスタメン11人はガラッと変わるだろう。
■ アウェイの広州恒大戦で勝ち点を得るのは難しい。公式戦で結果が出ていない状況で、かつ、中3日でのアウェイ戦になる。「メンバーを何人か変更する。」というのは当然の話である。広島のようなACLに出場するようなクラブになると「スタメンと控えの実力差がほとんどない。」というポジションもいくつかあるだあろう。戦い方も変わってくるのでスタメンの半数ほどを入れ替えるのはむしろ自然と言えるが「11人全員を代える。」というのは思い切った決断である。
GLの初戦の広州恒大戦の後、広島に対して批判の声が集まっているが、「アウェイの広州恒大戦」ということを考えると『サブ組中心のスタメンであわよくば勝ち点「1」を狙う。』というのは戦略としてはアリである。やはり、このグループの中では広州恒大の資金力や戦力が抜けていると考えられるので「広州恒大は捨てて2位でのGL突破を狙う。」というのは普通にあり得る選択肢の1つだと考えられる。
また、冷静に考えると(現時点での)ベストメンバーを送り出したとしてもアウェイの広州恒大戦で勝ち点を獲得できる確率は非常に低い。3月9日(土)にJ1の3節のC大阪戦(A)、3月12日(火)にACLのGLの2節のメルボルン戦(H)を控えていることを考えると「批判されることは覚悟した上で城福監督は現実的な道を選択した。」と言える。全否定されるような愚かな戦略ではなかったと個人的には考える。
■ 広州恒大戦の選手起用は批判されるべきものではない。理解できる選択の1つではあるが森保監督時代も広島はACLでベストメンバーを起用せずにGLで敗退するケースが多かったチームなので「またか!」と感じる人が多くなるのも仕方がない。ACLに出場するのは2010年・2013年・2014年・2016年に次いで5回目となるがGLを突破したのは2014年のみ。このときはベスト16に進出したが2013年と2016年はいずれもJリーグ王者として参加してGLで敗退している。
日本勢のACLでの結果が芳しくないと枠が減ることになる。今シーズンは鹿島と広島の2チームがプレーオフからの参戦となったが広島が結果を出せないと他のチームにもしわ寄せがくる。「Jリーグの代表としてACLに参加している以上、全力を尽くすべきなのでは?」という意見も理解できるが、今の広島のチーム状況を考えると「(J1のリーグ戦ではなくて)ACLの方に力を注ぐべき」というのはかなり酷である。
広島の現状ならびにこれからのことを考えると「広州恒大戦での広島の選手起用は批判されるべきものではなかった。」と思うが、サッカーは国内で完結する競技ではないのでJリーグで結果を出すことが出来たとしてもACLで勝てないと本当の意味で評価はされない時代になっている。「毎度、ACLで手を抜いているように見えること」は広島というクラブのイメージを悪くしているのは紛れもない事実である。
広島がACLに出場するたびに「ACLで手を抜いているのではないか?」と批判をされる。他クラブのサポーターからの批判の声は(基本的には)無視していいと思うがクラブとして発展していこうと考えるのであればACLに対する考え方をサポーターも含めたクラブ全体で見直さないといけない段階に入っているように感じる。「ACLで手を抜いているように見えること」で失い続けているものが多すぎるように感じる。
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