■ 2013年から負けなしの日本高校サッカー選抜Jリーグの開幕の約1週間前に開催されるゼロックス・スーパーカップの前座試合であるネクストジェネレーションマッチは2月16日(土)に埼玉スタジアムで開催された。この大会は2010年にスタートして最初の3年間はU-18・Jリーグ選抜が2勝1分けと優勢だったがその後は日本高校サッカー選抜が6試合負けなし中。ここ6試合で4勝2分けと圧倒している。U-18・Jリーグ選抜が勝利したら7年ぶりの勝利となる。
U-18・Jリーグ選抜は「4-2-3-1」。GK山田大(鹿島ユース)。DF奥田(G大阪ユース)、DF井上樹(甲府U-18)、DF馬場(東京Vユース)、DF井出(柏U-18)。MF松本凪(C大阪U-18)、MF土肥(広島ユース)、MF松田(横浜FMユース)、MF山田楓(京都U-18)、MF青島(清水ユース)。FW櫻川ソロモン(千葉U-18)。U-18・Jリーグ選抜は例年通りで高校2年生が主体となる。何人かはU-18日本代表に選出されている。
対する日本高校サッカー選抜は「4-1-2-3」。GK飯田(青森山田高)。DF松尾(市立船橋高)、DF白井(矢板中央高)、DF大石(山梨学院高)、DF豊島(青森山田高)。MF鈴木(市立船橋高)、MF岡井(市立船橋高)、MF武田英(青森山田高)。FW西川潤(桐光学園高)、FWバスケス・バイロン(青森山田高)、FW宮崎(山梨学院高)。青森山田高の選手が中心となったが札幌入りを果たしたMF檀崎(青森山田高)は出場辞退。
■ 終了間際に追いついてドロー40分ハーフの試合は年齢的には下になるU-18・Jリーグ選抜がやや優勢となる。即席のチームになるが年代別代表で一緒にプレーしている選手が多いのでコンビネーション等は悪くなかった。前半11分に横浜FMユースのMF松田の仕掛けからCKを獲得すると190センチのFW櫻川ソロモンがヘディングシュートを決めてU-18・Jリーグ選抜が先制に成功する。京都U-18のMF山田楓のボールも精度が高かった。
1対0で迎えた後半はどちらもメンバーを大きく変えてきた。追加点が欲しいU-18・Jリーグ選抜は後半15分にボランチのMF松本凪のスルーパスから途中出場した横浜FMユースのFWブラウンノア賢信が決定機を迎えたが決められず。後半17分にも途中出場したC大阪U-18のFW藤尾が惜しいシーンを作ったがシュートはキーパーの正面に飛んでしまう。2点目を奪うチャンスがありながら生かせなかった。
すると後半の終了間際に高い位置でボールを奪った日本高校サッカー選抜がカウンターを仕掛けると桐光学園高のFW西川潤が個人技からシュート。こぼれたボールをゴール前にいたFWバスケス・バイロンが押し込んで土壇場で1対1の同点に追いついた。U-18・Jリーグ選抜は目前まで迫っていた勝利を掴むことは出来なかった。これで日本高校サッカー選抜は7試合負けなし。通算では4勝2敗4分けとなった。
■ チリ国籍のFWバスケス・バイロンネクストジェネレーションマッチは日本サッカー界の未来を担う高校生同士の試合になる。今年はCSのG+で生中継されたので選手たちのモチベーションは例年以上に高かったと思うが最後の最後に日本高校サッカー選抜が意地を見せた。昨秋に行われたU-16アジア選手権でMVPに選出されたFW西川潤の個人技から最後はFWバスケス・バイロンが押し込んだが高い位置でボールを奪うことができた守備が光った。
同点ゴールを決めたFWバスケス・バイロンはチリ国籍になる。日本国籍ではないので年代別の日本代表でプレーすることはできない。本人はチリ代表入りを目指しており、東北1部リーグのいわきFCへの入団が内定している。いわきFCは2012年に創設された新しいクラブであり、サッカー界の新興勢力と言えるが、今年の高校サッカー界の主役の1人になったFWバスケス・バイロンを獲得できたのは大きい。
冬の高校選手権を制した青森山田高はタレント軍団だった。札幌に加入したMF檀崎、福岡に加入したDF三國ケネディエブスの2人が選手権の前は注目を集めていたがキーパーのGK飯田、ボランチのMF天笠、トップ下で2年生のMF武田英、ストライカーのFW佐々木などタレントが多い。個性的な選手たくさん擁したスーパーチームだったが、中でも、チリ出身のFWバスケス・バイロンの活躍は目立ちに目立った。
Jリーグに内定したMF檀崎やDF三國ケネディエブスよりも可能性を感じる選手である。スピードがあってキレもあるドリブルを止めることはかなり難しいが独特のリズムを持っている点も魅力と言える。「外国人枠の問題もあってJリーグ入りはならなかった。」とも報道されているがJリーグの外国人枠が緩和されたことは彼によってはプラスに作用するだろう。大きな舞台で活躍できるスター性も魅力と言える。
■ 190センチのFW櫻川ソロモン(ジェフ千葉U-18)一方のU-18・Jリーグ選抜は高校2年生が中心だった。高校年代での1学年差という大きいので「ネクストジェネレーションマッチでの通算成績が奮わないのは仕方がない。」と言えるがタレント力では負けていない。右サイドから果敢にドリブルで仕掛けた横浜FMユースのMF松田、ボランチの位置で気の利いたプレーを見せたC大阪U-18のMF松本凪あたりは目立った。将来性の高さを感じさせるプレーを見せた。
その中でも最もインパクトを残したのは190センチのFW櫻川ソロモンになる。ひときわ大きな体で、かつ、櫻川ソロモンといういかにも強そうな名前である。ネクストジェネレーションマッチを観戦した全ての人の記憶にFW櫻川ソロモンの名前とプレーは残っただろう。前半11分に決めたヘディングシュートはどちらかというと「ポジショニングの勝利」と言えるが見事な動きからフリーになることができた。
FW櫻川ソロモンはU-18日本代表に選出されている。2月上旬に行われたU-18日本代表のスペイン遠征の3試合(U-18カナリア諸島選抜戦、セルビア戦、スペイン戦)もフルマッチを観ることが出来たので短期間で4試合もFW櫻川ソロモンのプレーを観ることができたがサイズがあってスケールの大きな選手であることは明らかである。大柄な割には足元の技術が高くて前線でしっかりと起点になる場面は少なくない。
気になるのは高さやパワーやスピードが生きるシーンはあまり見られなかった点になる。「身長が高いだけでなく身体能力も相当に高い選手」と聞いているがこの4試合ではそういうシーンは限られた。高さや強さや速さよりも上手さの方が印象に残ったが、今後、自らの高さや身体能力を生かすプレーが増えてくると面白くなる。素材型の選手なのでどう転ぶのか?は分からないが高い将来性に期待したい。
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