■ J2の開幕戦2019年のJ2がいよいよ開幕した。圧倒的な攻撃力を武器に2018年のJ3を制覇して初のJ2昇格を達成したFC琉球はホームのタピック県総ひやごんスタジアムでアビスパ福岡と対戦した。FC琉球は金鍾成監督が退任して昨シーズンまではY.S.C.C.横浜の監督を務めていた樋口監督を招聘した。一方の福岡も井原監督が退任してイタリア人のペッキア監督が就任。ともに監督交代を実施して新しいスタートを切った。
ホームのFC琉球は「4-2-3-1」。GKカルバハル。DF西岡大、増谷、岡崎亮、徳元。MF上里、風間宏希、田中恵、中川風、富所。FW鈴木孝。新戦力はGKカルバハル、DF岡崎亮、MF上里、MF風間宏希、MF田中恵、FW鈴木孝の6人がスタメンで起用された。熊本から加入したMF上里は宮古高出身で沖縄県出身のJリーガーになる。GKカルバハルはコスタリカ代表として4試合に出場した経験を持っている。
対するアウェイの福岡は「4-2-2-2」。GKセランテス。DF石原広、實藤、三國ケネディエブス、輪湖。MF田邉草、鈴木惇、松田力、木戸。FW城後、石津。冬の高校選手権で活躍した青森山田高出身のDF三國ケネディエブスが高卒ルーキーながら開幕スタメンを飾った。192センチのサイズは大きな武器となる。C大阪に復帰したGK圍に代わって正キーパーを務めるのはスペイン出身のGKセランテスになる。
■ 競り合いを制したのはFC琉球試合の序盤はFC琉球が主導権を握った。前半23分に左SBのDF徳元の楔のパスをMF中川風がうまくつないで1トップのFW鈴木孝がフリーでボールを受けると左足で放ったループシュートが鮮やかに決まってホームのFC琉球が先制に成功する。しかし、前半36分にセットプレーの流れからMF鈴木惇のクロスを右SHのMF松田力がヘディングシュートを決めて福岡が1対1の同点に追いついた。前半は1対1で折り返す。
同点ゴールが生まれた後はどちらかというと福岡ペースになった。福岡は何度か2点目を奪えるチャンスを作ったがGKカルバハルの活躍もあってゴールは生まれず。すると後半26分にMF中川風のスルーパスを受けたMF田中恵がPKを獲得。ファールを受けた位置はエリア外のようにも見えたがFC琉球にPKが与えられるとこれをFW鈴木孝が決めて2対1と勝ち越しに成功する。FW鈴木孝は2ゴールの活躍だった。
さらに後半37分には途中出場したMF小松駿が放ったシュートがゴール前にいたMF富所の体に当たってコースが変わってゴールイン。福岡の選手はオフサイドをアピールしたがリプレーを見る限りでは「オンサイド」。判定は正しかったと言える。ラッキーな形で3点目を奪ったFC琉球が3対1で勝利してJ2での初戦を白星スタートで飾った。敗れた福岡は昇格組のFC琉球を相手に3失点。黒星発進となった。
■ 昇格組の2チームがいずれも勝利ホームで徳島に勝利した鹿児島に続いてFC琉球もホームで福岡に勝利して白星スタートを切った。今シーズンのJ2は残留争いの予想が難しくて「このチームは確実に残留争いに巻き込まれるだろう。」と思えるチームが無かった。なので残留争いの行方を予想するのは相当に難しいが昇格組の2チームがいずれも開幕戦で勝利したことでさらに混沌とした状態になった。両チームにとっては大きな勝利になった。
FC琉球の前・監督の金鍾成監督は「3対1で勝つサッカー」を理想に掲げていた。先制ゴールを奪った後も守りに入ることなく2点目と3点目を目指すサッカーで注目を集めたがJ2でのデビュー戦は3対1という理想的なスコアになった。苦しい時間帯もあったがGKカルバハルを中心に2点目を許さなかったことが勝利につながった。新戦力のGKカルバハルはキャッチミスもあったがいくつか光るプレーを見せた。
FC琉球はオフに主力数名が流出したのでスタメンの半数ほどが入れ替わっている。雰囲気がガラッと変わる可能性もあったが樋口監督はうまくチームを作ってきた。ベースを壊すことなく新戦力をチームに融合させることに成功したようだ。2018年のJ3でMVP級の活躍を見せたMF中川風にとってはJ2でのデビュー戦となったが随所に持ち味を発揮。1点目と2点目はMF中川風のパスがチャンスの起点になった。
ヒーローになったのは新エース候補のFW鈴木孝だった。J2やJ3で実績のあるストライカーを獲得できたのはFC琉球にとっては大きかった。1点目は18才のDF三國ケネディエブスとのマッチアップになったが意外性あふれるループシュートを決めてプロの洗礼を浴びせた。近年のFC琉球はCFを固定しきれずにいるがFW鈴木孝の加入で悩みが解消されるかもしれない。初戦から大きなインパクトを残した。
■ DF三國ケネディエブスがいきなりスタメン一方の福岡は黒星スタートとなったが内容的には悪くなかった。2失点目のPKはややアンラッキーで、3失点目もアンラッキー。この日の福岡は運に見放された。いきなり出だしで躓いてしまったがペッキア監督になって「いいサッカーをするチーム」になりそうな予感はする。井原監督のときはどちらかというと堅実なサッカーでしぶとく勝ち点を積み上げてきたがペッキア監督になって攻撃に移ったときの迫力が出てきた。
MF田邉草がボランチで起用されて、左SHには大卒2年目のMF木戸が起用されたが、FW城後とFW石津とMF鈴木惇とMF松田力は昨シーズンも在籍した選手である。中盤から前目のポジションについてはメンバーはあまり変わっていないが躍動感のあるサッカーを見せた。ゴール前に入っていく人数が昨シーズンと比べるとかなり増えているので「観ていて面白いチーム」になるのは間違いなさそうだ。
得点数はかなり増えると思うが「失点数の増加をどこまで少なくできるか?」がポイントになるだろう。期待が集まるのは、やはり、GKセランテスとDF三國ケネディエブスの2人になる。青森山田高出身のDF三國ケネディエブスは「冨安2世」とも言われているがいきなりスタメンで起用されたということはペッキア監督の評価は相当に高いと思われる。FW鈴木孝に決められたループシュートはいい経験になっただろう。
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