■ 名誉ある大役2月16日(土)に埼玉スタジアム2002で行われたゼロックス・スーパーカップの川崎フロンターレと浦和レッズの試合は後半7分に川崎Fの新戦力のFWレアンドロ・ダミアンが左足で強烈なシュートを決めて先制に成功。1対0で勝利した川崎Fが2019年のゼロックス・スーパーカップを制覇した。川崎Fは2年連続出場だったが昨シーズンはC大阪に2対3で敗れている。クラブ史上初となるゼロックス制覇を達成した。
ゼロックスはJ1の開幕戦の約1週間前に行われるケースが多い。今シーズンのJ1は2月22日(金)に開催されるC大阪 vs 神戸がオープニングゲームになるがゼロックスは「新シーズンの到来を告げる大会」であると当時に「今シーズンのJリーグのジャッジ基準を示す大会」になる。「今シーズンのジャッジ基準はこうなる。」ということを分かりやすく示す必要があるので主審にとってはプレッシャーがかかる。
誤審など問題となるシーンを起こさないのは当然。その上で「基準」を示さないといけないので普段の試合と比べると求められることが多い。当然、能力が高くて、かつ、Jリーグから認められている主審がゼロックスの主審に任命されることになるので名誉な話になるが、今シーズンは家本主審が選出された。名誉ある大役だったが試合中は大きなトラブルもなくうまく試合をコントロールすることが出来たと言える。
■ 11年前のゼロックスのときは・・・。この試合の家本主審のパフォーマンスは軒並み高評価を受けているが家本主審にとってゼロックスというのは苦い思い出のある大会である。鹿島と広島の対戦となった2008年大会でゼロックスの主審を任されているが両チーム合わせて3枚のレッドカードと11枚のイエローカードが提示されるという大乱戦になった。「PKの判定」、「PKのやり直しの判定」も問題視されるなど前代未聞の大騒動になった。
結局、「判定ひとつひとつは大きく間違っていないが十分に試合をコントロールできなかった。」、「選手の信頼を得られなかった。」と審判委員長から評価されてJリーグの試合の無期限担当割り当て停止の措置が下された。「処分」というわけではなくて「冷却期間を置くための措置」とも言われているがいずれにしてもJリーグの試合で笛を吹くことが出来なくなった。(※ Jリーグでの復帰戦はその年の6月15日だった。)
家本主審にとってつらい経験になったのは言うまでもないところである。自著の中で
・もう辞めるつもりだった。
・もうサッカー界にいたくないと思った。
と記述しているがあれから11年。2010年には天皇杯の決勝、2012年と2015年にはルヴァン杯の決勝で笛を吹いているので、このあたりの時期から「Jリーグの主審の中ではトップクラスの評価」を受けていたと思うがなかなかゼロックスで笛を吹くチャンスはなかった。「いろいろあったので意図的にゼロックスの主審を任せることだけは避けていたのではないか?」と思うがようやくリベンジすることが出来た。
■ 昔のイメージのままで語る人が多い。2008年のゼロックスのときに大きな批判を浴びたので「家本主審=能力の低い主審」、「家本主審=誤審の多い主審」と認識している人は依然として少なくないがコアなサポーターの間では評価の高い主審の1人である。年間にたくさんのJリーグの試合を観ている人の中で近年の家本主審のことを悪く思っている人はほとんどいないだろうと思われる。現代のJリーグの主審としてはトップクラスである。
同様に自著の中で11年前のゼロックスの誤審騒動のことは
・ルール通りにやっただけ。
・自分は間違っていない。
・なぜ、こういう仕打ちを受けたのか理解できない。
とコメントしているので良くも悪くも正義感の強い人物である。周りの人に何と言われようとも「自分が正しい。」と思った道を進もうとするのが家本主審である。ただ、若い頃は頑なになり過ぎていて正義感がマイナスに作用することが多かったように思う。あれからいろいろな経験を積んで性格的にも丸くなったのだろう。精神的な余裕も出てきて11年前の家本主審と近年の家本主審は別人のようである。
大バッシングを浴びたゼロックスから11年。サポーターから酷評された家本主審は「トップレフェリーの1人」と認識されるようになった。リベンジの場だったゼロックスでも落ち着いたレフェリングを見せたが、一度、定まった評価は簡単には覆らない。依然として「今日の試合の担当が家本主審である。」ということが判明したら不平や不満を述べたり、誤審が起こるのでは?と心配する人は少なくない。
選手に対する評価というのは短いスパンでも大きく変動する。例えば川崎FのMF齋藤学は2016年にベストイレブンに選出されているが、その後、怪我の影響もあって思うような活躍は出来ていないので2016年の時と比べると評価はかなり落ちている。選手に対する評価というのは結構な頻度でアップデートされるが主審の評価はなかなかアップデートされなくて昔のイメージのままで語っている人は多い。
→ 2012/11/09 家本政明レフェリーについて考える。 (上)
→ 2012/11/10 家本政明レフェリーについて考える。 (下)
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