■ 2018年のシーズン途中の監督交代は6件今オフはJ1のクラブで監督交代を実施したクラブは少なかった。18クラブの中ではC大阪と鳥栖の2チームのみ。他の16クラブはいずれも監督続投となった。長期政権になっている監督も増えており、湘南の曹貴裁監督と松本山雅の反町監督は就任して8年目。仙台の渡邉監督と磐田の名波監督は6年目になる。曹貴裁監督と反町監督は2012年から、渡邉監督と名波監督は2014年の途中からチームを指揮している。
プロ野球あたりと比較するとJリーグの監督はクビを切られやすい。2018年を例に出すと浦和の堀監督、柏の下平監督と加藤望監督、G大阪のクルピ監督、神戸の吉田監督、鳥栖のフィッカデンティ監督がシーズン途中に成績不振で交代している。また、C大阪の尹晶煥監督や名古屋の風間監督もシーズン途中に成績不振から去就が大いに注目された。数ある職業の中でもサッカーの監督業は「最も不安定な職業」と言える。
「シーズン途中にJ1のクラブの監督が交代になった回数」を年度別に調べていくと2011年は3件、2012年は7件、2013年は2件、2014年は6件、2015年は3件、2016年は4件、2017年は8件、2018年は6件となる。平均すると4.88回。18クラブしかないことを考えるとかなりの高確率である。ハリルホジッチ監督の解任騒動で熱心な野球ファンなどサッカーに詳しくない人が過剰反応を示したのも致し方ない。
■ 「迷信だ。」と思われがちな監督交代ブーストサッカーの世界では高頻度で監督交代が発生するので「監督を解任された=監督としての能力やキャリアが否定された。」というわけではない。流れが良くないときに手っ取り早いのは、やはり、監督交代である。出遅れたり、波に乗り切れなかったり、チームの空気が悪くなったときは監督のクビを切って立て直そうとするチームが多い。海外には「解任された回数はむしろ勲章である。」と述べる指導者もいる。
そして、実際に監督交代が起爆になって「V字回復」を果たしたチームは少なくない。「監督交代ブースト」とも言われる。「気のせい」や「迷信」のように思われがちであるが、実際に「監督交代前の成績」と「監督交代後の成績」を比較すると監督交代によって成績が良くなるチームが多いのは明らかである。「監督交代ブーストは迷信にすぎない。」と言われることもあるが誤認識である。(※ リンク先にあるとおり。)
→ 2016/08/27 【J1】 名古屋グランパスの小倉監督の休養と監督交代ブーストについて■ 最初にクビを切られる監督は誰か?「開幕後、最初にクビを切られる監督は誰になるのか?」は、毎年、コアなサポーターの間では大きな話題になるが、今シーズンはどうなるだろうか?「真っ先に首を切られそうな監督の候補」は何人かいるが、やはり、昨シーズンの印象が良くなくて、マイナスからのスタートになる監督はかなり不利である。現時点では2018年の参入決定戦を制して何とか生き残った磐田の名波監督が最も危うい立場である。
「参入決定戦で東京Vに敗れてJ2に降格していたら辞めるつもりだった。」と本人はコメントしているがオフの補強は成功せず。名波監督に対する評価は急落している。カリスマ性のある人物なので「指導者としても有望」だと思うがリフレッシュが必要な時期に入っており、「昨シーズン限りで退くのが、クラブにとっても、本人にとっても、所属する選手にとっても、一番いい選択だったのでは?」と思われる。
「名波監督が大本命」になるが、昨シーズンの秋以降に大失速してJ1制覇を逃した広島の城福監督もマイナスからのスタートになる。辛うじて2位に食い込んだのでACLの出場権を獲得したが2月19日(火)に行われるACLのプレーオフで不覚を取って本大会出場を逃したり、ACLのGLで結果を出せなかったり、J1で開幕から未勝利が続いた場合は厳しい立場になるだろう。城福監督も危うい立ち位置である。
昇格組の松本山雅と大分はともに前評判はあまり高くない。降格候補に挙げられているので開幕から低迷することは十分に考えられるが松本山雅の反町監督、大分の片野坂監督はともに評価の高い指導者である。よほどのことがない限りは途中解任はされないと思われる。昨シーズンも昇格1年目の長崎が18位と低迷したが高木琢也監督は最後まで指揮を執った。実績のある指導者はクビを切られにくい。
■ 唯一のJリーグ未経験監督同じように「降格候補の1つ」に挙げられる鳥栖のカレーラス監督はJリーグ初挑戦になる。C大阪のロティーナ監督は昨シーズンまでは東京Vを指揮した監督なのでJリーグの経験は豊富。J1の18クラブの中で唯一のJリーグ初挑戦監督になるが開幕から思うような結果を出せないようだと早いタイミングで「監督交代」を求める声が大きくなるだろう。やはり、Jリーグで実績のない指導者はクビを切られやすい。
2018年はジェットコースターに乗っているかのような浮き沈みの激しいシーズンになった名古屋は大型補強を敢行。期待値が高まっているので仮に開幕から躓くようだと風間監督に対する批判の声は大きくなるだろう。ただ、過去2年間で何度も「風間監督を代えた方がいいのではないか?」と思われる時期が訪れながら、名古屋のフロントは風間監督を庇い続けてきた。監督とフロントの信頼関係は厚い。
同じように大型補強を敢行した神戸も期待値が高い分、開幕から低迷した場合は(その反動もあって)周囲は騒がしくなるだろう。当然、リージョ監督を早いタイミングで切ることは出来る限り避けたいが、超・大物助っ人が在籍したチームは高確率でシーズン途中に監督が交代しているという嫌なジンクスもある。FWフォルランのいた2014年のC大阪は2度もシーズン途中で監督が交代するなど17位に終わった。
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