■ ベトナムに勝利してベスト4入り準々決勝でベトナムと対戦した日本代表は後半12分にMF堂安が自ら得たPKを確実に決めて1対0で勝利した。中国に3対0で大勝したイランと準決勝で対戦することになったが日本はここまで5試合連続で1点差の勝利である。初戦のトルクメニスタン戦など危うい試合もいくつかあったがとにもかくにも5連勝。「徹底的に勝負にこだわる。」という森保監督らしい戦い方を見せており、ついに頂点まであと2つに迫った。
勝ち進んだ場合、決勝の相手がUAEになるのか、オーストラリアになるのか、韓国になるのか、カタールになるのかは分からないが、残った6チームの中で最も充実したサッカーを展開しているのが元名古屋のケイロス監督率いるイラン代表である。5試合で12得点/無失点。ラウンド16がオマーン戦、準々決勝が中国戦ということで組み合わせに恵まれたところもあるが現時点では「優勝候補の筆頭」と言えるだろう。
日本にとってイランとの試合は厳しい試合になる可能性が高いが中心選手のMFタレミが中国戦で2枚目のイエローカードを受けて日本戦が出場停止になるのはラッキーである。中国戦でも先制ゴールを挙げるなどここまで3ゴール。攻撃の中心の1人だったので日本にとっては朗報である。決勝Tに入ってからの日本は2試合連続で90分で決着をつけることが出来たが今度のイラン戦は総力戦になるだろう。
■ アジア全体のレベルは上がっているのか?日本とイランが生きるか死ぬかの大一番で対戦するのは久しぶりになる。アジアの盟主をかけた決戦になるが日本に敗れたベトナムの戦いぶりは称賛に値する。ややアンラッキーな判定からPKを献上して0対1で敗れたが最後まで日本に食らいついた。前半38分にはDF吉田とGK権田のミスからベトナムが大チャンスを作ったが「このシュートが決まっていたら・・・。」とベトナム国民は残念に感じているだろう。
「アジア全体のレベルが上がっている。」と言われて久しいが「その通りなのか?」というと微妙である。記憶している限りでは20年以上前から「アジア全体のレベルが上がっている。」、「アジアの中で強豪国と中堅国の差が小さくなっている。」、「日本も油断はできない。」といつの時代も言われてきたが現実にはアジアの勢力図は大きくは変わっておらず、世界の中でのアジアの地位はまだ低いままである。
「中国はこれから強くなる。」、「タイはこれから強くなる。」、「ベトナムはこれから強くなる。」と言われてもピンと来ないところもあったが中国のクラブは近年のACLで日韓と同じかそれ以上の結果を残しており、タイはMFチャナティップやFWティーラシンやDFティーラトンなどスター選手がJリーグで存在感を発揮。札幌のMFチャナティップに至っては2018年のJ1のベストイレブンに選出される働きを見せた。
■ 2016年には水戸でプレーしたが・・・。ここ数年で流れが大きく変わってきたような気もするがベトナムも最近は若年層の代表がアジアの大会で結果を残している。今回の試合を観ても「以前のベトナムとは異なる。」と言わざる得ない。もちろん、高さや身体能力の部分はアジアのトップクラスと比較してもかなり見劣りするので改善しないといけない部分は多いがキーパーのGKダン・ヴァン・ラムのようなハーフの選手が台頭してくると面白くなる。
躍進著しいベトナムの顔と言えるのは「ベトナムのメッシ」と言われるFWグエン・コンフォンである。今大会もベトナムの10番を背負っているが2016年にはJ2の水戸でプレーしたので日本のサッカーファンにもお馴染みの選手である。日本戦では1トップの位置でプレーしたが持ち味であるキレ味鋭いドリブルで日本の守備陣を大いに苦しめた。特に前半はFWグエン・コンフォンのドリブルを止められなかった。
日本戦では大きなインパクトを残したが本人がコメントしているように「もう一度、Jリーグでプレーしたい。」と考えているのであれば是非とも再挑戦してほしいと思う。水戸でプレーしたときは21才。運動量の少なさや守備意識の低さを指摘されてJ2でもわずか5試合の出場にとどまった。スタメンで出場したのはわずか1試合だけ。年間のプレー時間は80分のみ。ベトナムのスター選手にとっては屈辱的な1年になった。
■ 再チャレンジを期待したいが・・。J2で放ったシュートは1本のみ。パスは18本のみ。ドリブルも、クロスも、スルーパスもゼロだった。ほとんどというよりは全く攻撃的な良さを出せなかったがあれから2年が経過していろいろな部分でパワーアップしている。ベトナム国内ではスーパースターなのでMFチャナティップの例を出すまでもなく経済効果も大きい。もともと注目しているJリーグのクラブはいくつかあると思うが注目度はさらに高まっただろう。
まだ23才なので成長する余地はたくさんある。ベトナムのスーパースターがJリーグで活躍するようだとベトナムにとっても、日本にとっても意味は大きい。「再チャレンジ→Jリーグでの成功」を期待したいが難しいのは「強いチームだと出場機会を得るのは難しくて、そうではないチームだと守備の負担が大きくなってしまう点」である。水戸のような規模のチームだと標準レベルの守備力がないと出番は得られない。
このあたりのことはFWグエン・コンフォンだけでなく日本人が欧州のクラブに移籍するときも同じことが言える。守備の負担が少なくて攻撃的な良さを出しやすいチームに加入して出場機会を得られたらドリブルやスルーパスなどを駆使して存在感を発揮できると思うが強豪クラブは当然のことながらポジション争いが激しい。「ちょうどいいクラブ」を移籍先として選択しないと力を発揮できない可能性が高まる。
ポジティブな要素を挙げるとMFチャナティップらの活躍によって東南アジアの選手をリスペクトする空気が日本国内で出来上がった点である。当時は東南アジアの選手がJリーグで成功した例がなかったので懐疑的な見方をする人が多かったが空気は変わった。一方、「本気でJリーグで成功したい。」と考えるのであれば1年間の期限付き移籍だと難しい。「しばらくの間は日本でプレーする。」という覚悟が必要になる。
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