■ 2024年にJ2で戦う20クラブが確定横浜FCのJ2降格が正式に決定。2024年にJ2で戦う20クラブが確定したが来季も清水が話題の中心になるのは間違いない。東京Vと対戦したプレーオフの決勝戦はあと数分のところまで1対0とリードを奪っていたがまさかのPKで同点に追いつかれてしまった。悲劇的な結末になったが資金力で図抜けている清水が昇格争いに絡めないことはまずあり得ない。2023年と同様で「優勝候補の筆頭」になる可能性は高い。
注目は「どこまで戦力を維持できるか?」である。幸いにして12月6日(水)の時点では主力や有望株の流出の話は出ていないが評価の高い選手はたくさんいるので草刈り場になっても不思議はない。MF乾、GK権田、FWチアゴ・サンタナなどは年俸が相当に高いと思われるのでJ1のクラブであっても手を出せるクラブは限られるがDF山原、DF原輝綺、MF中山克、DF鈴木義、MF岸本などは人気を集める可能性が高い。
2023年の清水の平均年齢は29.44歳。J2の22クラブの中で最も高かった。2000年1月1日以降に生まれた選手の総プレー時間はわずか514分のみ。514分の中に含まれるFW鈴木唯は夏に退団しており、MF松岡大もブラジルのクラブにレンタル移籍した。「若手の台頭はほぼ無かった。」と言えるほど。FW森重やGK梅田やFW郡司(市立船橋高)など期待の持てる若手はたくさんいるが極めて危険な状況になっている。
DF山原、DF原輝綺、MF中山克、DF鈴木義、MF岸本あたりが流出して「残ったベテラン数名+実績の乏しい若手の組み合わせ」でJ1復帰を目指さないといけない状況になった場合、他のクラブにもJ2優勝のチャンスが出てくる。清水の対抗馬に挙げられるのはJ1から降格してきた横浜FC、プレーオフに進んだものの準決勝で敗退した千葉と山形、ACLに挑戦している甲府など。このあたりが2番手グループになる。
1人目 : DF 宮原和也 (東京ヴェルディ) 1996年3月22日 172センチ/68キロ→ 広島ユース出身で年代別代表でも活躍した守備のユーティリティー。プロ入り後は右SBが主戦場になった。「96ジャパン」の時に主力として活躍したが広島では出番に恵まれず。2017年に名古屋に移籍して主力に定着した。昨シーズン限りで契約満了。J2の東京Vへの完全移籍はサプライズだったが絶対的な主力として活躍。J2でベストイレブン級の活躍を見せて「16年ぶりのJ1復帰」に大きく貢献した。評価は大きく高まっているがクレバーで基本的な技術が高い選手。再獲得に成功したら大きな戦力になるだろう。
2人目 : MF 長沼洋一 (サガン鳥栖) 1997年4月14日 178センチ/70キロ→ 広島ユース出身のアタッカー。広島では出番に恵まれず。レンタル移籍先の愛媛FCで試合経験を積んで頻繁に東京五輪代表チームのメンバーに選ばれた。2022年の夏に広島から鳥栖に移籍したが鳥栖では主に右SHで起用されて覚醒。2023年は32試合で10ゴール4アシスト。Jリーグの優秀選手に選出されてもおかしくないほどの活躍を見せた。愛媛FCのときはWBでプレーする機会が多かった。WBにコンバートされて出場機会を得るようになったが鳥栖に移籍してサイドハーフに再コンバートされて結果を残している。
サンフレッチェ広島→ 広島は最終節(=34節)の後半51分にDF荒木が劇的な決勝ゴールを挙げて3位に滑り込んだ。有終の美を飾ったが2023年は好不調の波の激しいシーズンになった。ターニングポイントになったのは12節の福岡戦(H)のMF満田の負傷になる。DF小田との接触で右膝前十字靭帯部分損傷という大怪我を負った。MF満田を欠いた影響は大きくて彼が離脱していた13節以降の11試合は2勝7敗2分けだった。
順位も急降下してスキッべ監督の解任を主張するサポーターも出始めていたが23節で彼が復帰するとチームも調子を取り戻した。MF満田の復帰に加えて夏の移籍市場でMFマルコス・ジュニオールとFW加藤陸の獲得に成功。この2人がすぐにチームに馴染んで結果を残したのも大きかった。結局、23節以降は8勝1敗3分けと絶好調。終盤にライバルクラブが軒並み失速したこともあって3位まで浮上した。
「シュート数」、「枠内シュート数」、「クロス数」がJ1で1位、「30mライン進入回数」は3位、「ペナルティエリア進入回数」は2位となる。攻撃に関するスタッツの多くはJ1屈指だった。MF満田が離脱していた時期は極度の得点力不足に苦しんだこともあって34試合で42得点。総得点は少なかったが28失点のみ。守備陣は年間を通して安定していた。GK大迫は日本代表に定着。代表の正キーパーになりつつある。
1人目 : MF 山下諒也 (横浜FC) 1997年10月19日 164センチ/54キロ→ Jリーグ屈指のスピードを持つスピードスター。2020年に大卒で東京Vに加入したが当初は練習生だった。ここからプロ契約を勝ち取ったが1年目から大活躍。初年度は41試合で8ゴールを記録。2年目の2021年も38試合で7ゴール4アシストと活躍して横浜FCに完全移籍したが同じJ2の横浜FCへの移籍はサプライズだった。スピード系の選手でありながらシュート技術が高くて点が取れるところは大きな魅力と言える。札幌はFW小柏に移籍話が浮上しているがMF山下諒を獲得できるとその穴は幾分かは埋まるだろう。
2人目 : DF エドゥアルド・マンシャ (ヴァンフォーレ甲府) 1995年11月24日 187センチ/80キロ→ 2022年の夏に甲府に加入した187cmの大型CB。登録名になっている「マンシャ」というニックネームは「頭部の左側にあるあざ(痣)」に由来しているという。来年2年目となる2023年はJ2で30試合に出場した。身体能力が高くてスピードもあるのでCBとしてはかなりの万能型と言える。甲府は4バックを採用しているが3バックのクラブであれば「3バックの中央」もしくは「3バックの左」として活躍するだろう。攻撃力の高いCBなので最終ラインの選手にも高い攻撃力を求める札幌のサッカーにはまる可能性は高い。
コンサドーレ札幌→ J1は全日程が終了したが札幌は10勝14敗10分けで勝ち点「40」。12位だった。2017年にJ1に再昇格した後、7年連続でJ1残留を達成している。J2生活が長く続いた時期があったことを考えると「J1に居続けることが出来る。」というのは幸せな話である。すっかりJ1の常連チームになったが大躍進した2018年の4位を除くといずれもJ1では2桁順位。ここ5年間の成績は10位→12位→10位→10位→12位となる。
順位は安定しているがチームが安定しているとは言い難い。ほぼ毎年、浮き沈みの激しいシーズンになっており、「得点は多いが失点も多い。」というシーズンがほとんど。「安定感があるチーム」とは到底言えない。「振り幅が大きい点」は近年の札幌の最大の魅力とも言えるがペトロヴィッチ監督の続投は確実。来シーズンが早くも7年目のシーズンになるが就任1年目だった2018年以来の上位進出が期待される。
「ミシャ以後のこと」もそろそろ考えないといけない状況になった。ペトロヴィッチ監督は66歳。足と腰の状態があまり良くないのは良く知られているところ。後継者として期待していた四方田氏は現在は横浜FCで監督を務めている。横浜FCはJ2に降格したので監督交代の話が出てくる可能性はあるが現時点では未定。「数年先にミシャが勇退→後釜として四方田監督が復帰する。」というのがベストな道になる。