■ J3降格の危機を迎えているザスパクサツ群馬J2の28節を終えた時点で4勝22敗2分けで勝ち点「14」。最下位の22位と苦しむザスパクサツ群馬はクラブ史上初となる「J2降格」の危機を迎えている。残りは14試合。現時点では讃岐・山口・群馬の3チームによる熾烈な残留争いが繰り広げられているが、群馬は極めて苦しい状況に追い込まれている。17節以降は12試合で0勝11敗1分け。12試合勝ちなし中であるが監督交代などのテコ入れは図られていない。
崖っぷちに追い込まれているが、2017年シーズンのJリーグの「第2登録期間(ウインドー)」の最終日にあたる8月18日(金)に群馬に所属するMF志村、MF佐藤遵、MF中村俊、MF早坂、GKハン・ホドン、DF藤原雅の6人が同じ群馬県内で活動するtonan前橋に移籍することが発表されて大きな話題になっている。tonan前橋は関東2部に所属するクラブでFC東京で活躍したアマラオ監督がチームを率いている。
今年の天皇杯は1回戦で東京国際大に勝利。2回戦でJ1の大宮と対戦したときはかなり注目を集めたが、2015年と2016年に讃岐でプレーしたMF韓昌柱、ザスパ草津でCBとして活躍。C大阪のサポーターにもお馴染みのDF田中淳などが所属しており、さらには昨年の途中に「クラブの秩序風紀を乱す行為」で甲府ならびに長崎との契約を解除された快速アタッカーのMF松本大などもtonan前橋でプレーしている。
■ 6人の選手がtonan前橋に移籍これだけJリーグを経験している選手がいながら関東2部でも3勝5敗4分け。10チーム中で8位と低迷しているのは不思議な気もするが、今回、群馬からtonan前橋に移籍する6人の中でJ2で出場機会を得ていた選手はゼロ。クラブの公式サイトのリリースを見ても分かりにくいが、MF中村俊とDF藤原雅は2018年1月31日までの期限付き移籍で、MF志村とMF佐藤遵とMF早坂とGKハン・ホドンの4人は完全移籍のようだ。
MF志村とMF佐藤遵とMF早坂については菅原GMが「選手の強化・育成において、公式戦における実戦経験が最も意義のある事と考え、昨年に引き続き今回の移籍を決定いたしました。関東リーグ2部公式戦で経験を積み、ザスパの戦力として復帰させる予定です。」とコメントしているが、『tonan前橋とはいったい・・・。』と感じる人は多いだろう。6人が一挙に群馬からtonan前橋に移るというのは異例である。
MF志村は群馬U-18出身でプロ2年目。下部組織から群馬のトップチームに昇格を果たした3人目の選手となる。プロ1年目の2016年にJ2デビューを済ませている期待の大きい左利きのアタッカーである。大卒2年目のMF中村俊は昨シーズンもtonan前橋でプレーしているので2度目の移籍となる。DF藤原雅は流通経済大出身の大卒ルーキー。FW南野やMF秋山やMF小暮とはC大阪U-18のときに同期だった。
MF佐藤遵は千葉U-18出身で専修大から群馬に加入したドリブラー。MF早坂は明治大出身の出身。2016年に群馬で活躍したMF瀬川祐(大宮)の1年後輩にあたる。ともに大卒ルーキーとなるが2人ともアマチュア契約だった。J1やJ2のトップチームで出場機会に恵まれない選手が下部リーグに移籍するのは決して珍しい話ではないが、ザスパクサツ群馬とtonan前橋の関係はやや歪。不信感を抱いているサポーターは多い。
■ ザスパクサツ群馬の菅原GMとはいった何者なのか?昨今の群馬のクラブ運営を語る上で外せないのは菅原GMである。2014年に群馬のGMに就任した菅原GMの人となりを知ることができるサイトは以下である。
【ザスパクサツ群馬】 菅原宏GMに聞く―。「サッカーで地域を元気にする」群馬から発信するfootball (前編)
【ザスパクサツ群馬】 菅原宏GMに聞く―。「サッカーで地域を元気にする」群馬から発信するfootball (後編)簡単にまとめてみると
・高校からサッカーを始めた。前橋商高でプレーして全国大会でベスト16。
・父は土木建設業の会社を経営。菅原GMは長男で跡取りだった。
・体育教師になりたかったが父の病気の関係で断念。足利工業大に進学。
・前橋商のOBクラブを創りたいという想いから図南(となん)クラブを18歳の時に作った。
・大学時代からジュニア年代の育成にも携わる。(服部浩紀、米倉誠など。)
・図南クラブはJリーグ百年構想クラブの1つ。
・「一番大好きなサッカーを通じて地域を元気にしたいと思っていた。」
・ザスパ草津が誕生。図南クラブを通り越す形で成長していく。
・「重点を置いている場所もやり方も在り方も全く違ったのでライバルとは思わなかった。」
・たくさんの肩書き(会社の代表取締役、図南クラブ代表取締役、群馬県サッカー協会の専務理事など)
・2014年にザスパのGMに就任。「正直、好きではなかったよ。」
・群馬サッカー史を無視して突き進んできたザスパの道には賛同はできなかった。
・「それでも、頼まれたんだから。群馬のサッカーなんだから、仲間。やるしかないでしょ。」
・クラブの赤字解消。クラブハウスの建設。新たな練習グラウンドの着工→J1ライセンスを取得。
・図南クラブへの期限付き移籍は公使混合だと非難する声もあるが・・・。
・図南クラブに期限付き移籍するという道を選手に強要するわけではなく選択させている。
・群馬でサッカーをすると決断した選手には兄弟や息子同等の愛情と責任を持るのが当然。
・全員がファミリーとして手を取り合うことがクラブにとって必要な絆となる。
となる。結局、二進も三進もいかない状況になった2014年当時のザスパが「群馬県のサッカー界を牛耳るドン」に助けを求めたというのが真相のようだ。このインタビューは菅原GMにとってネガティブな話は一切出てこないので話半分で聞く必要があるが、いきなり出て来たザスパ草津に対して嫉妬心の様なものは間違いなくあったと思われる。GMに就任する前は相当にザスパの足を引っ張ってきたのでは?と思う。
ここ10年ほどでJリーグのクラブは増えてきたが、高校サッカーを中心にある程度の土台がある中、どのようにして地域と融合を図るのか?は非常に大事になってくる。ザスパ草津は独自に突っ走ってしまったために反感を買って総スカンのような状況になってしまったと想像できる。(※ そもそもとして群馬県内は県庁所在地のある前橋市を中心に1つにまとまっているわけではない。県民が一帯になりにくい。)
tonan前橋を作ったのが菅原GMなので一部では『GMの目指すところはザスパの没落→tonan前橋に吸収合併すること』とも言われている。このインタビューを読むと「群馬県のサッカーを強くしたい。」という強い思いは伝わって来るので、「さすがにそこまでは・・・。」と思うがあり得ない話ではなさそうだ。「敵方のトップ」に頭を下げて助けを求めざる得なくなった時点で「ザスパは投了だった。」という気もする。
2017/08/20 【J2】 ザスパクサツ群馬は盗難されてしまうのか・・・。
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