■ 首位のC大阪がゴールラッシュを見せる。ルヴァン杯王者の浦和がスルガ銀行チャンピオンシップに出場する関係で前倒しで開催されたJ1の22節のC大阪 vs 浦和は3万人を超える大観衆が集まった中で開催された。J1はこの1試合のみだったので大きな注目が集まったがホームのC大阪の攻撃陣が爆発。ストライカーのFW杉本健が2ゴールを挙げる活躍を見せて4対2で勝利を飾った。首位のC大阪は1試合消化が少ない2位の鹿島との差を「4」まで広げた。
前半だけで両チーム合わせて6ゴールが生まれる乱戦になったが後半はどちらのチームにもゴールは生まれず。前半だけで6ゴールが生まれたのでこういうときは「最終スコアはいったいどうなるのか?」とハーフタイム中に言われるが一転して静かな展開になることはサッカーの世界ではよくある話である。C大阪は後半15分あたりからMF山村和を最終ラインに下げて3バックにシフトチェンジ。堅いサッカーを見せた。
尹晶煥監督によってトップ下にコンバートされたMF山村和は得点力ならびにテクニックの高さがクローズアップされるケースが多くなっているが本職がCBあるいはボランチの選手なので選手交代を行わなくても4バックから3バックに変更することができる点も今シーズンのC大阪の大きな強みになっている。19試合を戦った時点で「後半30分以降の失点」がわずか1。逃げ切り体制に入ったときのC大阪は安心感がある。
■ 「1試合平均の得点数と失点数」はJリーグ史上2番目試合前の時点で首位のC大阪と8位の浦和の差は「9」。勝てば「6」まで縮まるが、敗れると「12」に広がる。浦和にとってはアウェイとは言っても勝たなければいけない試合だったが「勢いの差」をまざまざと見せつけられる試合になった。BS1で解説を務めた木村和司さんもDAZNで解説を務めていた副島博志さんも浦和の守備のルーズさに呆れていたが前半の浦和の守備の甘さはどうしようもないほどのレベルだった。
これで浦和は19試合で45得点/34失点となった。得点数は2位のC大阪の39得点を大きく上回ってリーグ最多となるが失点数はワースト1位で39失点の新潟、ワースト2位で35失点の仙台に次いでワースト3位。2016年はリーグ最少の34試合で28失点だったので約半分の段階で昨シーズンの失点数を上回ってしまった。ここ6試合で18失点。守備が崩壊しており、あっさりと失点するシーンが目立っている。
今シーズンの浦和は得点も失点も非常に多いが、1試合平均の得点数は「2.37」。これは1998年の磐田、2006年の川崎F、1997年の鹿島、2005年のG大阪、2002年の磐田に次いでJリーグ史上6番目。得点力に関してはJリーグ史上でも屈指と言えるが、その一方で1試合平均の得点数+失点数は「4.16」。これは1998年の磐田の「4.29」の次いで史上2位となるが、このときの磐田は3.15得点/1.15失点だった。
つまり、この時の磐田は驚異的な得点力が数字を引き上げていたことになるので今シーズンの浦和とは事情が異なる。今シーズンの浦和は「Jリーグ史上でも屈指の得点力を誇る攻撃陣」よりも「脆弱な守備陣」の方がはるかに目立っている。ピッチ外でも、つい先日、上西議員に絡まれるなど揉め事に巻き込まれるケースが多くて、サポーターにとってはフラストレーションの溜まるシーズンになっている。
■ ペトロヴィッチ監督の解任はあるのか?優勝候補と言われながら9勝8敗2分けで9位。しかも、ここ11試合では3勝7敗1分けと大失速している。ペトロヴィッチ監督の辞任騒動は18節の新潟戦(H)と天皇杯の3回戦の熊本戦(H)に勝利したことでひとまずおさまったがC大阪に完敗。19節はアウェイで札幌、20節はホームで大宮、21節はアウェイで甲府と対戦するが、下位3連戦の結果次第によって「辞任論や解任論」が再浮上することは十分に考えられる。
今シーズンは鹿島が8勝5敗という成績で石井監督の解任を決断して大岩監督に後任を託した例があるので何が起こっても不思議はない状況になっているが、森保監督が退任してヤン・ヨンソン監督の就任が決まった広島と同様で「ミシャ式のサッカー」というかなり特殊なサッカーを志向して結構な時間が経過しているので他の大多数のクラブと比べて簡単にはペトロヴィッチ監督のクビを切ることはできない事情がある。
同じような立場の広島と比較すると浦和の方がオーソドックスなサッカーにも対応できる選手が揃っていると思うが、それでも監督交代を決断するときは「ミシャ式のサッカー」を捨てるのか?否か?という大きな問題の答えを用意する必要がある。3位→6位→2位→3位→2位とずっとJ1で上位の成績を残して来た実績も加味すると今の時点でフロントがペトロヴィッチ監督の解任の決断を下すのはなかなか難しい。
言うまでもなく、守備陣にタレントがいないわけではない。GK西川、DF槙野、DF遠藤航の3人は日本代表のクラスの選手である。Wボランチ、特にMF柏木の守備力を問題視する声が大きくなっているのでMF青木拓やDF遠藤航のような選手をボランチで起用してMF柏木を1列前で起用することは1つの解決策になり得るが、下がり目の位置でプレーするMF柏木から多くのチャンスを作っているのも事実である。
とにかく失点数を減らさないとチームは安定しないが、ペトロヴィッチ監督は攻撃がウリの監督で、これまでのJリーグキャリアを振り返ってみてもこういう状況に陥った時に何かしらの策を打てる指導者には見えない。例えば、名古屋のように「CBの個の力」が不足しているが故に失点数が増えているのであれば「補強」で改善する可能性があるが、今の浦和は「1人の選手の加入」で状況が良くなる気配は感じられない。
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