■ 勝たなければならない試合3位のベガルタ仙台と5位のセレッソ大阪の対戦。好調の続くC大阪だが、ここに来て上位陣が取りこぼすことなく勝利をおさめており、当面のライバルである仙台に敗れると3位以内に食い込む可能性が少なくなる。
C大阪は、この試合で攻撃の軸である左MF香川が警告累積で出場停止。ここ数試合、C大阪のゴールシーンのほとんどにからんできたMF香川の代役には、MF酒本やFW森島の起用も考えられたが、17歳の柿谷曜一朗を先発で起用してきた。
前節、J2で2点目のゴールを挙げたFW柿谷は、5ヶ月ぶりの先発出場。さらに、MF濱田を外してDF羽田をボランチで起用。<4-3-3>に近い布陣で、GK吉田。DF柳沢・前田・江添・カルロス。MF羽田・ジェルマーノ・アレー。3トップに、柿谷・古橋・小松。五輪代表の森島はベンチスタート。
対するホームの仙台は、<4-4-2>。GK林。DF菅井・木谷・岡山・磯崎。MF千葉・永井・梁勇基・ロペス。中島と萬代の2トップ。
■ 上位対決にふさわしい攻防試合は序盤から、上位チーム同士の戦いということもあって、見ごたえのある攻防が続いた。そんな中、前半28分に仙台がFW中島がPKを獲得。先制の大きなチャンスだったが、そのPKをMFロペスが失敗する。
しかし、このPKを境に流れは仙台に傾く。すると、前半38分にスローインからMFロペスが右サイドからセンタリング。そのボールに対してDF菅井がゴール前でヘディングであわせて先制する。右サイドバックながら、非常に得点能力の高いDF菅井が大きな仕事をした。
右サイドからのスローインからの流れであったので、普通であれば菅井があのポジション(ゴール前の中央)に入っていることはありえないが、菅井の独特の嗅覚がもたらしたポジショニングとそれに伴うゴールだった。
先制を許したC大阪は、前半終了間際に、DF羽田が相手FW萬代との競り合いで負傷。FW森島を投入する。
■ 萬代の決勝弾後半は、FW森島を投入して4トップに近い布陣となったC大阪が攻勢に出る。仙台は、前線の選手へのマークがややルーズになり始める。すると、後半11分に左サイドのFW柿谷の高精度のクロスをDF前田が合わせてC大阪が1対1の同点に追いつく。
これで勢いはC大阪かと思われたが、後半16分に仙台がDF菅井のクロスをFW萬代が頭で決めて2対1と勝ち越しに成功。簡単なクロスではなかったが、FW萬代が高い潜在能力を発揮した。
その後、C大阪はMF酒本を投入し、同点・逆転を狙いに来るが、仙台が守備の強いMFジェ二ウソンらを投入し逃げ切りに成功。そのまま、2対1で仙台が勝利して、3位を守った。
■ 菅井の活躍で3位死守仙台は、右サイドバックの菅井が1ゴール1アシストの活躍。特に先制ゴールにつながったゴールシーンは、菅井にしか出来ない芸当だった。あの場面でゴール前のあの位置に入ってこられたら、C大阪としては対応は出来ないだろう。
これで、菅井は、今シーズン6得点。後半戦になって守備重視の戦法のためか、スタメンを外されるケースも増えていたが、ここに来て大きな仕事をした。菅井の得点感覚は独特のものがあり、J1の舞台でも見てみたい選手である。
■ 粘り強い守備仙台は粘り強い守備を見せた。やはり、柏から獲得したDF岡山一成の存在が大きいだろう。
今シーズンの仙台は、開幕から右サイドバックの菅井のプレーに代表されるように自由にポジショニングを取って、チーム全員で崩す流動的なサッカーを志向してきたが、ここに来て、守備に重きを置いたスタイルにモデルチェンジしている。
東京Vや京都といったライバルチームと比べると、得点力という意味では見劣りするが、その分、守備の安定は光っている。今後、福岡・湘南・東京V・京都と上位陣の対戦が続く中では、守備の安定はアドバンテージとなるだろう。
■ 痛いロペスのレッドカードしかしながら、後半ロスタイムにMFロペスがラフプレーで退場となり、福岡戦と湘南戦の2試合の出場停止が濃厚である。
ここ最近のロペスは本調子ではないとはいえ、相手のマークを集中させることの出来るタレントであり、攻撃力ダウンが懸念される。
どのチームも警告累積で出場停止を受ける選手が増えてきたが、どのタイミングで出場停止になるかどうかは、今後を左右する大きな問題である。2位の東京Vや4位の京都戦で無かったというのは救いではあるが、その下の順位につける福岡と湘南という難敵との対戦でロペスを欠くというのは非常に痛い。
■ 痛い敗戦となったC大阪C大阪は、これで3位の仙台との差が「7」に広がった。1試合消化数が少ないとはいえ、非常に痛い黒星となった。2失点ともサイドからクロスを上げられて中央で合わされたものであるが、完全に崩されたというよりは一瞬の隙をつかれた状態での失点だけに悔いは残る。
ただ、まだ可能性がなくなったわけではないので、あきらめずに戦っていかなければならない。J1昇格を巡る争いは、順位が決定するまで何が起こるかわからないのでは、これまでの歴史が証明している。
■ 「救世主」とはいかなかった柿谷曜一朗注目された17歳のFW柿谷は左サイドを中心にプレーし、後半11分にDF前田のゴールをアシストした。利き足ではない左足のクロスであったが、スピード・軌道ともにパーフェクトなクロスで、チームの勝利には結びつかなかったが、結果を残したことは評価できる。
とはいえ、試合全体を通してみると、ミスも少なくはなく、MF香川の穴を埋めるまでには至らなかった。
現時点の印象では、キープ力やイマジネーションといった部分はJ2でも十分に通用する。が、得意のドリブル突破は仙台のDFに食い止められるシーンが目立ち、また、守備面では、寄せが甘く、相手選手を自由にさせすぎた面もあった。
本来は、フォワードあるいはトップ下の選手であり、守備は得意ではないのは仕方ないが、C大阪でレギュラーポジションを獲得するには、守備力の向上は不可欠である。
■ CFの不振C大阪は6連勝の後の4試合で1勝1敗2分とやや失速。これは、CF小松とCF森島の不振の影響が大きい。
第3クールの躍進の立役者だった小松は5試合ゴールが無く、森島は9試合ゴールが無い。その代わりに古橋が5試合連続ゴールとコンスタントにゴールをマークしていたので目立ちはしなかったが、彼らが確実にゴールを決めていれば勝ち点を拾えていたかもしれないという試合もあった。
ともに、フルシーズン戦うのは初めてなので仕方が無いとはいえ、残念であった。
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