■ 準決勝の相手はイラクU-16アジア選手権の準決勝。準々決勝でUAEに1対0で勝利して2大会ぶりとなるU-17W杯の出場権を獲得した「00ジャパン」は準決勝でイラクと対戦した。決勝進出となると2012年大会以来となる。このときはMF杉本太(鹿島)、MF宮原(広島)などが主力として活躍した。準決勝のもう1つの試合はイラン vs 北朝鮮となった。日本・イラク・イラン・北朝鮮に加えて開催国のインドがU-17W杯の出場権を獲得している。
日本は「4-2-2-2」。GK谷(G大阪ユース)。DF喜田陽(C大阪U-18)、DF菅原(名古屋U18)、DF瀬古(C大阪U-18)、DF菊地健(JFAアカデミー福島U-18)。MF福岡(京都U-18)、MF平川怜(FC東京U-18)、MF鈴木冬(C大阪U-18)、MF谷本(C大阪U-18)。FW山田寛(C大阪U-18)、FW宮代(川崎U-18)。別メニュー調整が続いたMF久保建はベンチスタートとなった。CBのDF瀬古が唯一の全試合スタメンとなる。
ベンチスタートになったのはGK大内(横浜FCユース)、GK青木心(JFAアカデミー福島)、DF作田龍(神戸U-18)、DF監物(清水ユース)、DF桂(広島ユース)、MF松本凪(C大阪U-15)、MF上月(京都U-18)、MF久保建(FC東京U-18)、MF中村敬(三菱養和SCユース)、FW棚橋(横浜FMユース)の10名。怪我のDF小林友(神戸U-18)とMF瀬畠(JFAアカデミー福島)がチームを離れたので21名で準決勝を戦うことになった。
■ 後半に3失点でアジア制覇ならず。立ち上がりからやや劣勢の展開になった日本は前半18分にロングボールの処理のミスからシュートチャンスを作られると相手のシュートがCBのDF瀬古の体に当たってコースが変わってゴールイン。5試合目にして今大会初失点を喫する。先制された日本だったが前半30分にMF平川怜のパスを受けたFW山田寛が決めて1対1の同点に追いついた。このシュートが日本にとってのファーストシュートだった。
さらに前半42分には左サイドに流れたFW山田寛のグラウンダーのクロスがそのまま決まって2対1と逆転に成功する。ゴール前に入ってきたFW宮代の動きが相手をかく乱した。試合は2対1と日本がリードしてハーフタイムに突入する。迎えた後半はイラクが前掛かりになるがその裏を突いてストライカーのFW宮代が3度決定機を迎えるがそのうちの2つのシュートがバーに直撃するなど追加点を奪うことができない。
すると後半22分にセットプレーから決められて2対2の同点に追いつかれると後半36分にはカウンターを浴びるとエリア内で相手を倒したDF瀬古のプレーがPKを取られる。DF瀬古は2枚目のイエローカードで退場。このPKを決められて2対3と逆転を許すと後半49分にもPKで失点。結局、2対4の逆転負けでベスト4で姿を消すことになった。2006年以来で10年ぶりとなるアジア制覇を達成することはできなかった。
■ 不安定だったキーパーのGK谷(G大阪ユース)U-17W杯の出場権を獲得して今度はアジア制覇に目標を切り替えた日本だったが達成感があったのか、過去4試合と比べると勢いがなかった。とにもかくにもベスト4に入ってU-17W杯の出場権を獲得することが今大会の最大の目標だった。選手や監督やスタッフには大きなプレッシャーがかかっていたと思うので一息ついてしまうのは責められないが頂点に立てる力のあるチームだったので残念な結果になった。
敗因はいくつもあるが1つはキーパーのGK谷が不安定だった。イラクは単純にDFラインの裏を狙ってボールを蹴ってくるタイプのチームだったがミドルパスやロングパスの精度はまずまず高かった。最終ラインとキーパーの間の微妙なところにボールが飛んでくるシーンが多かったがこの日のGK谷は飛び出しの判断がまずかった。「飛び出して来たキーパーが処理できるだろう。」という場面はたくさんあった。
3失点目のPKにつながったプレーも飛び出しの判断が遅れているが、2失点目につながったセットプレーのDF瀬古のハンドの場面でも飛び出しの判断を誤っている。そして、後半41分にも空振りで大ピンチを招いている。他に2対1とリードを奪っていた時間帯にもキーパーが処理できそうな場面で躊躇する場面があったが最初のミスで臆病になってしまったのか、感覚が鈍ったのか、後半は不安定なままだった。
これまで出場した3試合は全く問題はなかったので「最初のミスを引きずってしまった。」と言えるのかもしれないが、まだ高校1年生なので精神的に不安定であったとしても仕方がないところはある。ただ、キーパーが安定したないチームは落ち着かない。フォワードの選手とは違って試合中のミスを自分の力で取り返すのはほぼ不可能なので精神的に難しいところもあるが、いい経験になったのではないか。
■ 3度の決定機を生かせなかったFW宮代(川崎U-18)もう1つの敗因としては「3点目のゴールを挙げられなかった点」が挙げられる。特に2対1とリードを奪っていた時間帯に訪れた3つの決定機をFW宮代が生かせなかったのが響いた。この3つのチャンスのうちのいずれかを決めていたら何の問題もなく日本が勝利していていただろう。2点ビハインドになるとイラクの選手は集中力が切れただろう。何度か訪れた決定的なピンチを防いだイラクは逆に元気が生まれた。
FW宮代は今大会は4試合に出場して2ゴールを記録した。初戦のベトナム戦で決めた左足の強烈なシュートはインパクトが大きかったが準々決勝のUAE戦のPK失敗などどちらかというと決定機を外す場面が目立った。パワフルな選手でドリブルで仕掛けてから独力で決定機を作るシーンが多かったのでいいプレー自体は多かったが「惜しいところでシュートが決まらない。」というシーンがたくさんあった。
もちろん、「決定機に絡めている点」は評価できる。それなりの選手であれば「何度か決定機に絡んだ。」と評価されることも多いがFW宮代はストライカーとして高いポテンシャルを持っている選手である。「(ゴールは奪えなかったが)決定機に絡めているのでOK」というレベルの選手ではなくてもっと上の選手になってもらいたい。特にドフリーで放った後半7分の決定機は決めなければいけないシュートだった。
GK谷とFW宮代の2人に関しては高いポテンシャルと将来性を考えると、数年先、フル代表に絡んでくる選手だと思う。言うまでもなく、中盤の選手やSBの選手も試合の中では重要な存在となるが、結局のところ、勝敗を左右することが多いのはキーパーとストライカーの2つのポジションである。日本の弱点とも言われているが、ともに可能性を感じる選手なのであえて敗因として名前を挙げたい。糧にしてほしい。
★ 現在の投票数 → 12票
→ 投票したい選手の名前を選択してから左下の「投票」のボタンをクリックしてください。
→ 最大で6人まで投票することができます。
→ 「コメント」のところは何も書かなくてもOKです。(投票可能です。)
はてなブックマークの多かったエントリー (2005年-2016年)
第01位 2008/08/14 凹んだときにはオシム語録 → 252users
第02位 2008/05/02 みんなKAZUが好きだった。 → 118users
第03位 2014/09/05 セルジオ越後さんの「Jリーグのレベルは下がった。」発言は何年連続なのか?を調べてみた。 → 84users
第04位 2014/05/16 「第1子はGK権田だけ。」興味深いW杯日本代表メンバーの兄弟構成 → 70users
第05位 2008/05/04 カリスマ:山本浩アナの名フレーズを堪能する。 → 50users
第06位 2009/02/19 サッカーを観る上で気をつけたい8箇条 → 49users
第06位 2012/01/23 松田直樹はもういない・・・。 → 49users
第08位 2011/09/29 韓国サッカーとは、どのように付き合っていくべきか? → 43users
第09位 2011/01/30 【アジアカップ決勝:日本×豪州】 ザック アジアを制する → 41users
第10位 2010/12/09 サッカー解説者やライターの順位予想はどのくらい当たっているのか? → 38users
第10位 2012/11/09 家本政明レフェリーについて考える。 (上) → 38users
第12位 2013/08/02 「識者」のレベルが高くない日本サッカー界 → 36users
第13位 2007/09/08 本当に「決定力不足」なのか? → 32users
第14位 2010/12/10 サッカーを伝えるメディアの怖さ → 31users
第14位 2012/02/21 【J1】 レフェリーによるレフェリングの傾向について → 31users
第14位 2013/09/29 Jリーグの観客動員数は本当に減っているのか? (下) → 31users
第14位 2014/02/25 ゼロックスでの広島批判に感じた強烈な違和感 → 31users
第18位 2008/08/13 ラモス瑠偉と日の丸への思い → 30users
第18位 2011/08/24 Jリーガーと兄弟構成に関して → 30users
第20位 2012/11/30 サッカーを観るとき・語るときに大事だと思うこと → 28users
第21位 2012/10/19 バルセロナの久保建英君のお話 → 27users
第22位 2010/06/19 【W杯:日本×オランダ】 悔しいが、しかし、立派な戦い → 26users
第22位 2011/01/30 日本 - 豪州戦 プレーヤー別採点 (日本代表編) → 26users
第22位 2012/10/08 柿谷曜一朗(C大阪)の波瀾万丈なサッカー人生 → 26users
第22位 2012/12/20 優秀な選手を輩出しているクラブ(ユース・高校)はどこか? (上) → 26users
第25位 2011/01/28 「信頼できるライター」と「信頼できないライター」 → 25users
- 関連記事
-