■ W杯の出場権がかかった運命のUAE戦U-16アジア選手権の準々決勝。GLを3戦全勝で突破してU-17W杯出場に王手を賭けた「00ジャパン」はUAEと対戦した。A組を2勝1分けの2位で突破したUAEは言うまでもなく9月1日(木)に行われたロシアW杯のアジア最終予選の初戦でハリルJAPANがホームで1対2で敗れた因縁の相手である。勝つと日本は2大会ぶりのU-17W杯出場が決定するが敗れると「00ジャパン」の活動自体が終了することになる。
日本は「4-2-2-2」。GK谷(G大阪ユース)。DF喜田陽(C大阪U-18)、DF菅原(名古屋U18)、DF瀬古(C大阪U-18)、DF菊地健(JFAアカデミー福島U-18)。MF平川怜(FC東京U-18)、MF福岡(京都U-18)、MF久保建(FC東京U-18)、MF中村敬(三菱養和SCユース)。FW宮代(川崎U-18)、FW棚橋(横浜FMユース)。右SBでプレーする機会が多かったDF菅原がCBで、左SBでプレーすることが多かったDF喜田陽が右SBとなった。
ベンチスタートになったのはGK大内(横浜FCユース)、GK青木心(JFAアカデミー福島)、DF小林友(神戸U-18)、DF桂(広島ユース)、DF作田龍(神戸U-18)、DF監物(清水ユース)、MF松本凪(C大阪U-15)、MF瀬畠(JFAアカデミー福島)、MF鈴木冬(C大阪U-18)、MF谷本(C大阪U-18)、MF上月(京都U-18)、FW山田(C大阪U-18)の12名。体調を崩して豪州戦はベンチ外だったFW山田寛もベンチ入りを果たした。
■ 前半31分のDF瀬古(C大阪U-18)のゴールが決勝点試合は序盤から日本が圧倒的にボールを支配して攻め込む展開になる。いい試合の入り方が出来たがフィニッシュが不正確でなかなか先制ゴールを奪えない。嫌な雰囲気になりかけたが前半31分に右サイドのCKを獲得するとMF久保建が左足でゴール前に上げたボールを相手キーパーがファンブル。素早く反応したDF瀬古が押し込んで待望の先制ゴールを奪った。CBのDF瀬古は今大会初ゴールとなった。
1対0で迎えた後半も同様に日本が攻守に圧倒する展開になる。途中出場したFW山田寛が2度もキーパーと1対1のチャンスを得るなど「決めなければいけない。」という決定機をたくさん作ったが過去3試合と違って2点目が遠い。後半35分にはFW宮代がエリア内で倒されてPKを獲得。絶好の追加点のチャンスを迎えたが自ら蹴ったPKは右ポスト直撃で2点目とはならず。試合は1対0のままで終盤戦に突入する。
今大会は延長戦は行われずに即PK戦に突入するので「同点に追いつかれてPK戦に持ち込まれる。」という展開は避けたかったが最後の力を振り絞って同点のチャンスを作ろうとしたUAEの攻撃は単調で危ないシーンはほとんどなかった。結局、最後まで追加点を奪うことは出来なかったが1対0で勝利した日本は見事に2大会ぶりのU-17W杯出場を果たした。準決勝はウズベキスタンとイラクの勝者と対戦する。
■ スコアこそ1対0だったが内容的には完勝!!!最終スコアは1対0だったのでこれまでの3試合と比べると苦しんだ印象もあるが30本近くのシュートを放った日本に対してUAEは5本ほど。UAE側がゴールの可能性を感じさせる攻撃を見せたのはエリア内でボールをキープされてシュートを打たれた後半30分のシーンくらい。日本が多くの決定機を外したので嫌な流れだったのは間違いないが失点する可能性は限りなくゼロに近かった。苦戦とまでは言えないだろう。
この年代の選手は精神的に不安定なので2点目や3点目を取られるとモチベーションが下がってくる。GLの3試合のように早い段階で「2点目のゴール」を奪うことが出来たならばそのままの勢いに乗って3点目や4点目を問題なく奪えていたと思う。試合後のインタビューで森山監督も「完勝だった。」とコメントしているが「スコアこそ僅差だったが攻守に圧倒していたので安心してみることが出来た試合」と言える。
これで2大会ぶりにU-17W杯の出場権を獲得することができたがU-16やU-19のアジア予選は準々決勝がヤマとなる。ここで勝てると世界大会の切符を手にすることができるがここで負けるとチーム自体が解散となる。前回大会でW杯出場を逃していることもあって選手たちはプレッシャーを感じていたと思うが大きなヤマを乗り越えて「ノルマ」であるU-17W杯出場を決めた。見事な勝利だったと言える。
■ 文句なしのMOMと言える決勝ゴールのDF瀬古シュート精度を欠いたMF久保建やMF中村敬ら攻撃陣に関しては要反省と言えるが0対0で進んだ前半31分に貴重な決勝ゴールを奪ったのはDF瀬古だった。この日は右SBでプレーする機会が多かった177センチのDF菅原がCBの位置に入ったので高さのある選手はフィールドプレーヤーの中では182センチのDF瀬古くらい。唯一のターゲットと言えたが、相手のキーパーがボールをこぼした隙を見逃さなかった。
結局、CB陣に怪我人が出ていることもあってDF瀬古のみが4試合連続スタメンとなる。他の選手と比べるとやや負担がかかっているが攻守の軸として森山監督から高い評価を得ている。攻め込まれる機会自体が少ないとは言ってもこれまでの4試合で守備に回ったときの対応は完璧に近い。空中戦に強くてカバーリング能力も高くてボールを奪った後の最初のパスも正確。満場一致のMOMと言えるだろう。
その他では右SBでプレーしたDF喜田陽の出来も非常に良かった。前半には惜しいミドルシュートも放ったが持ち味のボール奪取力のみならず効果的な楔のパスでもチームに貢献した。これまでは左SBで出場することが多かったが右利きの選手なので右SBの方がはるかにスムーズにプレー出来ている。MF久保建がボールを持ったときの追い越しもタイミングが良かった。攻守両面で貢献度が非常に高かった。
残念ながら追加点となるはずだったPKをポストに当ててしまったがFW宮代もプレーの質は高かった。中央のエリアでプレーする機会が多くなっているが力強さがあるので相手CBに激しくチャージされても持ちこたえることが出来る。ボールのおさまりはかなりのレベルで強引なプレーから自らシュートチャンスを作ることもできる。この試合に限った話ではないが前線のキーマンとして質の高いプレーが出来ている。
U-17W杯の出場権を獲得したことで1つの大きな目標を達成したがこのチームに関しては「U-17W杯の出場権を獲得するだけでは満足することは出来ない。」と言える。仮に次の準決勝で敗れてベスト4止まりであったならばがっかりするほどのタレント軍団である。出場権を確保したことで選手が背負っていた重荷は取れたと思うので残り2試合も良い内容で勝利して五輪代表に続く2階級制覇を成し遂げてほしい。
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