■ すでに首位通過を決めている「00ジャパン」U-16アジア選手権のGLの3戦目。2連勝で早くもGLの首位通過を決めた「00ジャパン」が3戦目でオーストラリアと対戦した。「B組の中で最大のライバル」と言われていたオーストラリアだったがキルギスとベトナムに敗れて2連敗。すでに決勝トーナメント進出の可能性が消滅している。結局、B組の首位は日本で確定。2位の座をGLの3戦目で直接対戦するベトナムとキルギスの2チームが争う形になっている。
日本は「4-2-2-2」。GK青木心(JFAアカデミー福島)。DF桂(広島ユース)、DF瀬古(C大阪U-18)、DF監物(清水ユース)、DF菊地健(JFAアカデミー福島U-18)。MF松本凪(C大阪U-15)、MF瀬畠(JFAアカデミー福島)、MF鈴木冬(C大阪U-18)、MF谷本(C大阪U-18)。FW上月(京都U-18)、FW宮代(川崎U-18)。3試合連続スタメンとなったのはCBのDF瀬古のみ。MF松本凪とMF谷本とFW上月の3人は大会初出場となった。
ベンチスタートはGK谷(G大阪ユース)、GK大内(横浜FCユース)、DF菅原(名古屋U18)、DF小林友(神戸U-18)、DF作田龍(神戸U-18)、MF平川怜(FC東京U-18)、MF喜田陽(C大阪U-18)、MF福岡(京都U-18)、FW久保建(FC東京U-18)、FW棚橋(横浜FMユース)、FW中村敬(三菱養和SCユース)の11名。初戦のベトナム戦でスタメン出場して7点目のゴールを決めたFW山田(C大阪U-18)は体調不良でベンチ外となった。
■ 後半に5ゴールを挙げてオーストラリアを下す。試合は開始4分に日本が先制に成功する。高い位置でFW宮代がプレスをかけて相手のミスパスを誘発するとFW上月が落ち着いて決めて先制に成功する。その後も圧倒的に攻め込んだ日本は何度も決定機を作るがMF谷本やFW宮代らが決定機で決められず。前半20分あたりを過ぎると日本の攻撃にやや慣れてきたオーストラリアがペースを取り戻して逆にオーストラリアがゴール前のチャンスを多く作る時間帯になった。
1対0で迎えた後半開始から日本はDF菅原を投入。早く2点目を奪いたい流れだったが後半9分にMF鈴木冬のパスからFW宮代が決めて2点目を挙げると直後の後半12分にもMF鈴木冬の折り返しをボランチのMF瀬畠が合わせて3点目を奪った。勢いに乗る日本は後半19分に中学3年生のMF松本凪がドリブル突破から左足で強烈なシュートを決めて4点目。オーストラリアの戦意を喪失させるゴラッソだった。
後半37分にFW上月が決めて5点目を挙げると後半41分には途中出場のFW棚橋が決めて6点目を挙げた。2トップの一角で起用されたFW上月が2ゴールで、MF鈴木冬は2アシストの活躍だった。オーストラリアもいくつか決定機を作ったがキーパーのGK青木の頑張りもあってゴールは奪えず。6対0で勝利した日本は3連勝でいよいよ決勝トーナメントに突入する。準々決勝の相手はA組の2位のUAEとなった。
■ 控え組中心のメンバー構成で6対0の大勝オーストラリアは格下と思われていたキルギスとベトナムを相手に連敗。早々に決勝トーナメント進出の可能性が消滅した。ここまでの2試合は思うように出場機会を得られずにベンチでうずうずしていた選手がスタメンに名を連ねた日本に対してオーストラリアの選手はモチベーションを上げにくい状況だった。過去2試合と同様のゴールラッシュが期待されたが試合の立ち上がりは非常に良かった。
あっさりとミスを突いて先制ゴールを奪ったときは苦労することなく日本がゴールを積み重ねる展開を予想したがなかなか2点目を奪えなかった。決定機はたくさんあったのでチャンスシーンに決められなかったことがやや試合を難しくしたが、終わってみると6対0。「00ジャパン」は相手が少しでも隙を見せたら一気に畳みかけて試合を決めてしまうパワーを持っており、この日も2点目と3点目が立て続けに決まった。
(途中で停滞したが)過去2試合と比べると試合の入り方は格段に良かったが、左SHで起用されたMF谷本がキーになった。168センチ/55キロなのでサイズのある選手ではないが運動量が多くて隙間でボールを受ける技術が高くていいポジションを取ってパスの受け手になった。シュート精度を欠いて自らゴールを奪うことは出来なかったが「ボールの受け方に関してはチームでもトップクラス」と言えるのではないかと思う。
MF谷本はC大阪U-18に所属しているが「いかにもセレッソ」という感じのアタッカーである。中盤は右SHがC大阪U-18のMF鈴木冬、左SHがC大阪U-18のMF谷本、WボランチがC大阪U-15のMF松本凪とJFAアカデミー福島のMF瀬畠。良く知っている選手が近くにいたことは大きかったと思うがいいプレーを見せた。後半の中盤以降は守備面で貢献できなくなったのでスタミナ面が課題と言えるのかもしれない。
■ 8番を背負えるような選手になれるか?今大会のメンバーはC大阪の下部組織でプレーする選手が非常に多くなっており、DF瀬古、MF喜田陽、MF谷本、MF鈴木冬、FW山田寛の5人はC大阪U-18でプレーする選手で、中学3年生のMF松本凪はC大阪U-15でプレーする選手となる。1チームからこれだけ大量に年代別代表の選手が選ばれるのは相当に珍しいが、勝手知ったる選手がたくさんいる状況というのはプラスに働く部分は多いはずである。
6人の選手はいずれもGLで持ち味を発揮することができたのでC大阪のサポーターには楽しすぎる大会になっていると思うが、3戦目のオーストラリア戦でMOM級の活躍を見せたMF鈴木冬はクラブから大きな期待を寄せられている選手である。2戦目のキルギス戦ではPKで6点目のゴールを決めているが、2試合に出場して1ゴール2アシスト。左利きのテクニシャンでドリブルもできて決定的なパスを出すこともできる。
左利きのアタッカーというと何と言ってもMF久保建がいるので陰に隠れる形になっているが彼がいなかったら「00ジャパン」の攻撃の中心を担えるだけのポテンシャルを持っている。ドリブルでボールを持ち運ぶ推進力も大きな魅力と言えるが、守備での貢献度の高さも見逃せない。アタッカーなので攻撃力に注目が集まるがボールを奪取する場面が頻繁に見られる。この年代でこれだけ守備力の高いアタッカーは珍しい。
C大阪というとMF森島、MF香川、MF清武、MF乾、MFキム・ボギョン、FW柿谷、MF南野など優秀なアタッカーがチームの顔となって引っ張って来たチームであるが、中でも「8番」は特別な番号になっている。簡単には背負うことは出来ない重い番号になっているが、C大阪U-15のときに「8番」を背負って高円宮杯U-15でチームを日本一に導いたMF鈴木冬には「8番を背負える選手」になることが期待されている。
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表1. GLの1戦目 (vs ベトナム)
【U-16アジア選手権】 ベトナム戦で出来が良かったと思う選手は誰ですか? (2016年9月16日) |
順位 | 名前 | 票数 | (%) |
1 | MF 久保建英 (FC東京U-18) | 34 | 21.9% |
2 | MF 平川怜 (FC東京U-18) | 26 | 16.8% |
3 | FW 宮代大聖 (川崎フロンターレU-18) | 23 | 14.8% |
4 | MF 福岡慎平 (京都サンガU-18) | 22 | 14.2% |
5 | DF 瀬古歩夢 (セレッソ大阪U-18) | 17 | 11.0% |
6 | MF 中村敬斗 (三菱養和SCユース) | 8 | 5.2% |
7 | DF 小林友希 (ヴィッセル神戸U-18) | 6 | 3.9% |
8 | GK 谷晃生 (G大阪ユース) | 4 | 2.6% |
8 | DF 菊地健太 (JFAアカデミー福島U18) | 4 | 2.6% |
10 | DF 喜田陽 (セレッソ大阪U-18) | 3 | 1.9% |
10 | DF 監物拓歩 (清水エスパルスユース) | 3 | 1.9% |
12 | FW 山田寛人 (セレッソ大阪U-18) | 2 | 1.3% |
12 | MF 瀬畠義成 (JFAアカデミー福島) | 2 | 1.3% |
14 | DF 菅原由勢 (名古屋グランパスU18) | 1 | 0.6% |
表2. GLの2戦目 (vs キルギス)
【U-16アジア選手権】 キルギス戦で出来が良かったと思う選手は誰ですか? (2016年9月19日) |
順位 | 名前 | 票数 | (%) |
1 | FW 棚橋尭士 (横浜Fマリノスユース) | 50 | 23.6% |
2 | FW 久保建英 (FC東京U-18) | 48 | 22.6% |
3 | MF 平川怜 (FC東京U-18) | 39 | 18.4% |
4 | MF 中村敬斗 (三菱養和SCユース) | 21 | 9.9% |
5 | GK 谷晃生 (G大阪ユース) | 16 | 7.5% |
6 | DF 瀬古歩夢 (セレッソ大阪U-18) | 9 | 4.2% |
6 | MF 喜田陽 (セレッソ大阪U-18) | 9 | 4.2% |
8 | MF 鈴木冬一 (セレッソ大阪U-18) | 6 | 2.8% |
9 | MF 福岡慎平 (京都サンガU-18) | 5 | 2.4% |
10 | DF 菅原由勢 (名古屋グランパスU18) | 3 | 1.4% |
11 | DF 桂陸人 (サンフレッチェ広島ユース) | 2 | 0.9% |
11 | DF 菊地健太 (JFAアカデミー福島U18) | 2 | 0.9% |
13 | DF 監物拓歩 (清水エスパルスユース) | 1 | 0.5% |
13 | DF 小林友希 (ヴィッセル神戸U-18) | 1 | 0.5% |
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