■ 天皇杯の2回戦で仙台を撃破明治大で実績を残して日本代表のDF長友を育てたことで知られる神川監督が就任して1年目となるJ3のグルージャ盛岡は9月3日(土)に行われた天皇杯の2回戦でJ1のベガルタ仙台と対戦したが5対2で大勝。3回戦に進出した。基本的にJ3のクラブは都道府県大会から出場しているので盛岡は岩手県代表という形になるが岩手県勢として初の3回戦進出となった。3回戦ではJFLのHonda FCと対戦することになった。
2回戦は仙台のホームのユアテックスタジアムに乗り込んだが前半13分にMF安楽のクロスから右SHのMF牛之濱のゴールで先制に成功すると1対1の同点に追いつかれた後の前半26分にはMF牛之濱のクロスからFW梅内が合わせて2対1と勝ち越しに成功する。そして前半32分にはFW梅内のパスを受けたMF安楽が利き足ではない右足で決めて3点目。3対1とアウェイの盛岡がリードしてハーフタイムに突入する。
迎えた後半も盛岡ペースは変わらず。後半19分にカウンターからMF益子のスルーパスを受けたFW梅内が決めて4点目を挙げると後半29分にはMF森英次郎のクロスから右SBのDF鈴木達が決めて5点目を挙げる。仙台は後半35分にMF茂木駿のゴールで1点を返したが焼け石に水。FW梅内は2ゴール1アシスト、MF牛之濱とMF安楽は1ゴール1アシストの活躍で、2トップの一角のFW谷口堅のポストワークも光った。
■ ありがちなパターンではない形のジャイアント・キリング神川監督が指揮していたときの明治大は天皇杯で何度かジャイアント・キリングを起こしている。2007年は2回戦でJ2の京都に勝利した。(※ このときのチームには3年生のDF長友がいた。)2009年は2回戦でJ2の湘南に勝利すると3回戦では当時はJ1だった山形に勝利した。大学のクラブがJ1のチームに勝利したのは史上初ということで大きな話題になったが、盛岡でまたもジャイアント・キリングを起こした。
2回戦でJ2の松本山雅を下したJFLのHonda FCと並んで今年の天皇杯の主役になっているが、「なぜ、ジャイアント・キリングを起こせるのか?」と質問された神川監督は『反骨心があるからです。』と答えている。5対2で大勝した仙台戦(A)は立ち上がりからエンジン全開。仙台に押し込まれる時間帯もあったが「ほぼベスト」と言えるスタメンを組んできた仙台を相手にひるむことなくチャレンジし続けた。
ゴールライン上でクリアをして失点を阻止した場面も2つほどあったので仙台も多くのチャンスを作ったがそれ以上に盛岡が多くのチャンスを作った。「引いて守ってカウンターやセットプレーからゴールを奪って1対0で勝利する。」という展開がジャイアント・キリングが起こるときの典型的なパターンと言えるが、ありがちな展開とは真逆の展開でのジャイアント・キリングだったことがさらに価値を高めている。