■ シュート数の少なさが課題となるヴァンフォーレ甲府J1に復帰して4年目となるヴァンフォーレ甲府。毎年のように開幕前は「降格候補の1つ」と言われてきたが、過去3シーズンはいずれも「J1残留」を果たしている。今シーズンも年間順位で15位。残留圏ギリギリと際どい位置にいるが16位の名古屋との差は「4」なので1試合では逆転されない差である。仮に4年連続で「J1残留」を果たすことができたならば「プロビンチャのクラブ」としては快挙と言えるだろう。
28試合で29得点/49失点。「堅守が持ち味」と言われる甲府にしては失点が多くなっているが、その一方で得点に関しては甲府にしては多い数字である。2013年は34試合で30得点、2014年は34試合で27得点、2015年は34試合で26得点と過去3シーズンはいずれも年間の平均得点が0点台だったことを考えると「1試合平均で1点以上」を記録している攻撃陣に関しては例年以上の頑張りを見せているといえる。
ただし、シュート数自体は非常に少ない。2ndステージの11節が終了した時点で28試合で211本というのはJ1の18クラブの中でワーストの数字となるが、90分あたりのシュート数は7.54本。これは1999年以降では2014年の徳島の6.00本、2007年の横浜FCの7.47本に次ぐ少なさとなる。「なかなかシュートまで持ち込めない点」は近年の課題の1つになっており、歴代4位となる2015年の甲府の7.65本も下回っている。
表1. 90分あたりのシュート数のランキング (1999年-2016年)
順位 | チーム名 | 年度 | 試合 | 時間 | シュート | シュート/90分 |
1 | 徳島ヴォルティス | 2014年 | 34 | 3,060 | 204 | 6.00 |
2 | 横浜FC | 2007年 | 34 | 3,060 | 254 | 7.47 |
3 | ヴァンフォーレ甲府 | 2016年 | 28 | 2,520 | 211 | 7.54 |
4 | ヴァンフォーレ甲府 | 2015年 | 34 | 3,060 | 260 | 7.65 |
5 | コンサドーレ札幌 | 2012年 | 34 | 3,060 | 268 | 7.88 |
6 | コンサドーレ札幌 | 2008年 | 34 | 3,060 | 269 | 7.91 |
7 | モンテディオ山形 | 2009年 | 34 | 3,060 | 271 | 7.97 |
8 | サガン鳥栖 | 2016年 | 28 | 2,520 | 224 | 8.00 |
8 | モンテディオ山形 | 2011年 | 34 | 3,060 | 272 | 8.00 |
10 | アビスパ福岡 | 2016年 | 28 | 2,520 | 228 | 8.14 |
11 | ヴァンフォーレ甲府 | 2013年 | 34 | 3,060 | 277 | 8.15 |
12 | 清水エスパルス | 2002年 | 30 | 2,835 | 269 | 8.54 |
13 | 大宮アルディージャ | 2005年 | 34 | 3,060 | 292 | 8.59 |
14 | サガン鳥栖 | 2015年 | 34 | 3,060 | 293 | 8.62 |
15 | 大分トリニータ | 2013年 | 34 | 3,060 | 294 | 8.65 |
16 | FC東京 | 2015年 | 34 | 3,060 | 296 | 8.71 |
17 | 大宮アルディージャ | 2014年 | 34 | 3,060 | 298 | 8.76 |
18 | 湘南ベルマーレ | 2010年 | 34 | 3,060 | 299 | 8.79 |
19 | 清水エスパルス | 2012年 | 34 | 3,060 | 300 | 8.82 |
20 | 大宮アルディージャ | 2007年 | 34 | 3,060 | 303 | 8.91 |
■ CKを獲得した回数はJ1の中で最少流れの中からチャンスを作ることは難しい時代になっていることも相まってセットプレーに活路を求めようとするチームが昨今は増えている。MF岩上という優秀なプレイスキッカー&ロングスローワーを擁して「得点シーンの約半分がセットプレーから」という状況だった昨シーズンの松本山雅がその典型的なチームと言えるが、甲府の場合は過去を振り返ってみてもセットプレーからのゴールが多いチームではない。
「スタメン11人の平均身長があまり高くないこと」というのも近年の甲府のセットプレーからの得点数が伸びなかった1つの理由と言えたが、背の高い選手が増えた今シーズンもセットプレーからのゴールは決して多くない。優れたプレイスキッカーであるMFクリスティアーノが夏に柏に引き抜かれたこともあって現時点では相手の脅威となるプレイスキッカーは見当たらず、オフの補強ポイントの1つに挙げられる。
さらに言うと「セットプレーの機会を得る回数自体が非常に少ない。」という点もセットプレーでの得点が増えてこない大きな理由と言えるだろう。CKを獲得した回数は28試合で91回。90分換算では3.25回。ワースト2位の名古屋が4.18回で、ワースト3位の福岡が4.25回であることを考えると飛び抜けて少ない数字になっている。1位の浦和は186回なので、浦和と比較すると半分以下の数字になってしまう。
表2. コーナーキックの獲得回数 (2016年)
チーム名 | 試合 | 時間 | 得点 | CK | CK/90分 |
浦和レッズ | 28 | 2,520 | 47 | 186 | 6.64 |
横浜F・マリノス | 28 | 2,520 | 39 | 153 | 5.46 |
サンフレッチェ広島 | 28 | 2,520 | 50 | 152 | 5.43 |
鹿島アントラーズ | 28 | 2,520 | 46 | 151 | 5.39 |
アルビレックス新潟 | 28 | 2,520 | 28 | 147 | 5.25 |
FC東京 | 28 | 2,520 | 30 | 145 | 5.18 |
ガンバ大阪 | 28 | 2,520 | 39 | 135 | 4.82 |
川崎フロンターレ | 28 | 2,520 | 58 | 134 | 4.79 |
サガン鳥栖 | 28 | 2,520 | 25 | 132 | 4.71 |
柏レイソル | 28 | 2,520 | 43 | 132 | 4.71 |
ジュビロ磐田 | 28 | 2,520 | 34 | 131 | 4.68 |
ベガルタ仙台 | 28 | 2,520 | 31 | 129 | 4.61 |
大宮アルディージャ | 28 | 2,520 | 29 | 128 | 4.57 |
湘南ベルマーレ | 28 | 2,520 | 24 | 124 | 4.43 |
ヴィッセル神戸 | 28 | 2,520 | 44 | 121 | 4.32 |
アビスパ福岡 | 28 | 2,520 | 21 | 119 | 4.25 |
名古屋グランパス | 28 | 2,520 | 28 | 117 | 4.18 |
ヴァンフォーレ甲府 | 28 | 2,520 | 29 | 91 | 3.25 |
■ CKの獲得本数の少なさは歴代でも屈指1999年以降のJ1における「90分あたりのCKの獲得回数」は表3のようになる。ワーストは2014年の徳島で2.82回となるが、今シーズンの甲府の3.25回というのは歴代でワースト2位となる。もちろん、CKを多く獲得することがサッカーの目的ではないが、どちらのチームが攻め込んでいるのか?を測るときの目安の1つになる。単独で仕掛けてCKを獲得できる選手が不足しているのは間違いないところである。
表のとおり、ワースト1位となる2014年の徳島は34試合で96回だった。甲府はここまで28試合で91回。残り6試合でCKを6回獲得できると歴代ワーストとなることは避けられる。ここまでの平均値が3.25回なのでほぼ間違いなく徳島の数字は上回ることが出来ると思うが、ワースト3位タイとなる2009年の山形や2011年の福岡を上回るためには6試合で27回が必要。歴代ワースト2位となる確率は非常に高くなっている。
表3. 90分あたりのCKの獲得回数 (1999年-2016年)
チーム名 | チーム名 | 年度 | 試合 | 時間 | 得点 | CK | CK/90分 |
1 | 徳島ヴォルティス | 2014年 | 34 | 3,060 | 16 | 96 | 2.82 |
2 | ヴァンフォーレ甲府 | 2016年 | 28 | 2,520 | 29 | 91 | 3.25 |
3 | モンテディオ山形 | 2009年 | 34 | 3,060 | 32 | 117 | 3.44 |
3 | アビスパ福岡 | 2011年 | 34 | 3,060 | 34 | 117 | 3.44 |
5 | ヴァンフォーレ甲府 | 2014年 | 34 | 3,060 | 27 | 121 | 3.56 |
5 | 京都サンガF.C. | 2009年 | 34 | 3,060 | 35 | 121 | 3.56 |
7 | 大分トリニータ | 2004年 | 30 | 2,700 | 35 | 108 | 3.60 |
8 | ヴィッセル神戸 | 2009年 | 34 | 3,060 | 40 | 123 | 3.62 |
9 | 名古屋グランパス | 2013年 | 34 | 3,060 | 47 | 126 | 3.71 |
10 | 湘南ベルマーレ | 2010年 | 34 | 3,060 | 31 | 128 | 3.76 |
10 | ジェフユナイテッド千葉 | 2009年 | 34 | 3,060 | 32 | 128 | 3.76 |
12 | FC東京 | 2001年 | 30 | 2,911 | 47 | 122 | 3.77 |
13 | 大分トリニータ | 2008年 | 34 | 3,060 | 33 | 129 | 3.79 |
14 | セレッソ大阪 | 2003年 | 30 | 2,700 | 55 | 114 | 3.80 |
15 | 大宮アルディージャ | 2007年 | 34 | 3,060 | 24 | 130 | 3.82 |
16 | 名古屋グランパスエイト | 2006年 | 34 | 3,060 | 51 | 132 | 3.88 |
17 | コンサドーレ札幌 | 2012年 | 34 | 3,060 | 25 | 133 | 3.91 |
17 | ヴァンフォーレ甲府 | 2013年 | 34 | 3,060 | 30 | 133 | 3.91 |
17 | 大分トリニータ | 2013年 | 34 | 3,060 | 31 | 133 | 3.91 |
17 | ジェフユナイテッド千葉 | 2008年 | 34 | 3,060 | 36 | 133 | 3.91 |
17 | 大宮アルディージャ | 2012年 | 34 | 3,060 | 38 | 133 | 3.91 |
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