18位 : モンテディオ山形 0勝1敗2分け 3得点/4得点→ 1年でJ2に戻ってきた山形はここまで0勝1敗2分け。開幕からの3試合がいずれもアウェイ戦だったことが大きく影響しているとは思うがスタートでやや躓いた。初戦の北九州戦(A)は後半31分にFW小松塁に決勝ゴールを許して0対1で敗れると、2節の愛媛FC戦(A)は移籍後初出場となるFW大黒のゴールで先制したが後半43分にFW阪野に決められて1対1のドロー。目前まで迫っていた勝ち点「3」を取り逃した。
迎えた3節の徳島戦(A)は前半にMFディエゴが2ゴールを奪って2対0とリードして折り返したが後半に連続失点して2対2のドロー。2節の愛媛FC戦(A)と3節の徳島戦(A)はいずれも先制ゴールを奪いながら逃げ切りに失敗した。特に2点リードを奪いながら追いつかれた3節の徳島戦(A)は非常に残念な試合だった。「1年でのJ1復帰」を目指しているので開幕3試合で勝ち点「2」というのは大きな誤算と言える。
期待の新戦力のFWディエゴ・ローザはまだチームにフィットしていない。FW大黒が電撃加入して1トップの位置で起用されていることもあって2節以降はベンチスタートが続いている。「30クラブが関心を寄せた。」とも言われており、前評判が極めて高かったので力を出し切れていないのは残念に感じる。ただ、J2の中で上位クラスのスピードがあるのは間違いない。しなやかさもあるのでポテンシャルが高いのは確か。
注目のFW大黒は2節の愛媛FC戦(A)で初先発。いきなり前半7分に先制ゴールを奪った。「点を取れる選手」を必要としていた山形にとっては実績抜群のFW大黒が加入したのは相当に大きい。京都時代は「守備での貢献度が低い。」と言われることが多くて石丸監督になってからはベンチスタートが多かったが山形では守備のときも献身的。「京都からの期限付き移籍」となるが高いモチベーションでプレーできている。
「3-4-2-1」が基本で「3-1-4-2」になるときもあるが、前の3枚 or 4枚の組み合わせは様々に考えられる。MFディエゴが中心になるのは間違いない。FW大黒もフォワードの軸に収まりつつある中、FWディエゴ・ローザがいて、MF川西がいて、MF鈴木雄がいて、FW林陵平もいる。タイプの異なる魅力的なアタッカーが多くいるのは今シーズンの山形の一番の武器になるだろう。MF汰木のブレイクにも期待したい。
15位 : 東京ヴェルディ 1勝2敗0分け 2得点/3失点→ 冨樫監督になって3年目となる東京Vは1勝2敗。開幕戦はホームで札幌に1対0で勝利して好スタートを切ったが2節の讃岐戦(A)は1対2の敗戦で、3節の熊本戦(A)は0対1の敗戦。熊本戦(A)についてはPKを献上したシーンとDFウェズレイが退場になったシーンを含めて「このジャッジはどうだったのか?」と思えるシーンがいくつかあったので判定に泣かされたところもあるが数的不利で苦しい試合になった。
勝利した開幕の札幌戦(H)も決していい内容の試合ではなかったのですっきりしない試合が続いている。痛いのは攻守の要であるMF中後を欠いている点。MF中後とMF三竿健のWボランチが20位→8位と大躍進した2015年の東京Vの心臓部分だったが揃って使えなくなると厳しい。新加入のMF船山貴とMF高木純がWボランチで起用されているが、早い時期のMF中後の復帰は巻き返しのためには不可欠と言える。
注目すべきは新戦力のFWドウグラス・ヴィエイラ。フォワードの軸候補の1人だった20歳のFW高木大が離脱していることもあって開幕から3試合連続でスタメン起用されている。前評判はそれほど高くなかったが足元の技術が高くてキープ力が高い。189センチの高さは東京Vの新しい武器になりつつあるが東京Vというと伝統的にパスサッカーのチームである。長身のターゲットマンを置くサッカーには慣れていない。
なのでぎくしゃくした感じは否めない。ここまでの3試合でFWドウグラス・ヴィエイラの出来が悪いないわけではない。むしろ、期待以上の働きを見せているとは思うが分かりやすいターゲットマンが前線にいる弊害なのか、東京Vらしい攻撃はほとんどできていない。彼が箸にも棒にもかからないレベルの選手であったならば議論をする必要もないが「ある程度以上のレベル」で使えそうな選手なだけに使い方は難しい。
平面だけのサッカーでは限界があったので違うやり方にチャレンジするのは悪くないが周りの選手が全く生きていない。さらなる飛躍が期待されたMF杉本竜、MF南、MF澤井あたりは全く力を出せておらず、勿体ない感じは否めず。守備に関しては不安視されていたGK佐藤優の穴はベテランキーパーのGK柴崎貴が頑張って埋めている。最終ラインは今シーズンもDF井林が中心になるがパートナーは定まっていない。
17位 : FC岐阜 1勝2敗0分け 1得点/8失点→ ラモス監督が就任して3年目。「3年契約の3年目で集大成のシーズン」と言われているが開幕から2試合連続で0対4の敗戦。開幕の群馬戦(A)は大卒ルーキーのMF瀬川祐の引き立て役に回って「残留争いのライバル」と言われていた群馬にまさかの0対4の大敗。ホーム開幕戦となった2節の札幌戦(H)も前半だけでFW都倉にハットトリックを食らって同じく0対4の敗戦。これ以上ないほどの最悪のスタートを切った。
ノーマルな立場の監督であれば「開幕から2試合連続で0対4の大敗」となった時点でクビを切られていてもおかしくはないがラモス監督は特殊な事情があるのでよほどのことがない限りは「監督解任」とはならない。不信感Maxの状態でホームの北九州戦を迎えたがスタメンに抜擢したベテランのGK高木義の活躍もあって1対0で勝利。10番を背負うMFレオナルド・ロシャが後半終了間際に劇的な決勝ゴールを奪った。
FC岐阜にとってはとてつもなく大きな勝利となった。J2は3節が終了した時点で未勝利のチームが7チームもある。順位も一気に22位から17位にジャンプアップした。CBの一角で起用していたMF田森をアンカーの位置に置く「4-1-2-3」がまずまず機能。決勝ゴールが生まれたのは後半44分とゴールを奪うまでにかなりの時間がかかったが内容的にはFC岐阜の方がはるかに良かった。内容の伴った勝利と言える。
2試合連続で大敗したこともあって開幕前に想定していたプランは大きく狂った。「誰を軸に据えて戦うのか?」もゼロから考え直す必要が出てきたが、FWエヴァンドロとMFレオナルド・ロシャとMFレオ・ミネイロの3人を併用するのは得策ではない。特にFWエヴァンドロはサイズを生かした突破ができるので「個の力」はあるが守備での貢献度が低くて周囲との連携もイマイチ。フォワードの軸に据えるのは危険である。
期待したいのは金沢から移籍してきたFW田中パウロ淳一。ここまではベンチスタートが続いているが、3節の北九州戦(H)のMFレオナルド・ロシャの決勝ゴールは彼のドリブルがきっかけだった。ドリブルに関してはリーグ屈指。プレシーズンのときに存在感を発揮していたMF田中達が怪我で離脱していることもあって個人技で相手選手を引き寄せることができるFW田中パウロ淳一は優先して起用したい選手である。
16位 : ギラヴァンツ北九州 1勝2敗0分け 1得点/2失点→ 2017年には待望の新スタジアムが完成予定。今シーズンは「J1ライセンス」を取得できる見込みなので「J1昇格」への機運が一気に高まっているがここまで1勝2敗。2節はホームで昇格組の山口に0対1で敗れて、3節は2試合連続で0対4と大敗してチーム状態が最悪だったFC岐阜に0対1で敗戦。開幕は山形に1対0で勝利して好スタートを切ったが3試合で勝ち点「3」なので出だしで躓いてしまった。
オフの補強は非常に良かった。盤石とも言えた。MF本山、FW池元、DF刀根、DF石神直といった即戦力クラスを多数獲得した一方で主力の流出はスーパーサブ的な存在だったFW渡くらい。顔ぶれ的には「文句なしでクラブ史上最高」と言えたが、2月のニューイヤーカップの頃からすっきりしない試合が多かった。札幌とのプレシーズンマッチを含めて「いい内容のサッカーを見せた試合」はほとんどないと言える。
新加入選手がまだ期待に応えられていない。もっとも期待されたFW池元は2トップの一角でスタメン起用されているが「らしいプレー」はほとんど見られず。地元出身のDF刀根はCBの一角で起用されているが軽率なミスが多くてピンチに絡むことが多い。大きなプラスになるはずだった新加入選手が揃って力を出し切れていないので全体の印象としては「昨シーズンと大きくは変わっていない。」と言える。
期待値が非常に高かった分、試練の序盤戦になっているが、「チームを進化させよう。」と柱谷監督がいろいろ試しているのは確かである。J2の中ではパスの本数が多くてパス成功率の高いチームだったが、特にサイドハーフの2人が自分の持ち場を離れるシーンが多くなって相手の守備陣を混乱させようとしている意図は感じられる。まだ結果にはつながっていないがより高いレベルを目指しているのは確かである。
サイドハーフの2人が自由なポジションを取るようだと攻守のバランスは崩れやすくなる。特に守備に回った時に問題が生じやすくなるが一方で得点チャンスが増える可能性はある。2014年は5位で、2015年は7位だったが、現実的な話をすると5位や6位でプレーオフに進んだとしても昇格できる可能性は非常に低い。リスクは高まるが柱谷監督は本気で「今シーズンのJ1昇格」を目指してチャレンジしていると思う。
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