◆ 石井監督になってから急浮上J1は残り1試合となったが、先日のナビスコカップを制覇した鹿島はここまで17勝11敗5分けで勝ち点「56」。年間順位は5位で、2ndステージは2位。数字上は2ndステージ制覇の可能性を残しているが、得失点差は首位の広島と「12差」があることを考えると逆転するのは難しい。年間順位は「5位以下」が確定しており、天皇杯もすでに敗退しているので、2年連続でのACL出場権獲得はかなり難しくなっている。
7月21日(火)にセレーゾ監督が解任されて2ndステージの4節のFC東京戦(H)からクラブOBの石井監督が指揮を執っているが、石井監督になってからリーグ戦は10勝3敗と好成績を残しており、ナビスコカップは見事に頂点に輝いた。チャンピオンシップの出場権とACLの出場権を獲得することはかなり難しくなったが、チームを短期間で立て直した手腕は高く評価されており、「石井監督の続投は確実」と報じられている。
名古屋やG大阪と同様で数年前までは「世代交代の遅れ」を指摘する声が多かったが、MF柴崎岳を中心とする「92年組」が順調に成長。大卒2年目のFW赤崎、加入2年目のMFカイオ、手倉森ジャパンの守備の要であるDF植田直のみならず、五輪代表候補のDF伊東幸とMF豊川、2ndステージの10節のG大阪戦(H)で鮮烈なデビューを飾ったユース出身で1年目のMF鈴木優など各ポジションに才能のある選手を擁している。
結局、ベテランでレギュラーを張っているのはGK曽ヶ端とMF小笠原の2人だけとなった。セレーゾ監督のときは2013年が5位で、2014年が3位。(決して悪い成績ではなかったが、)常勝を義務付けられた鹿島にしてはやや物足りない成績で今シーズンは不安定な試合が多かった。セレーゾ監督は道半ばで解任されてしまったが、MF土居やDF植田直などを我慢して起用し続けたこともあって急速に世代交代が進行した
◆ 海外移籍の可能性がある柴崎岳の後釜となるボランチ候補は・・・。2014年にJリーグのベストイレブンに輝くなどMF柴崎岳がチームの顔に成長。どちらかというと若いチームに生まれ変わった。さらなる成長が見込める選手が多いので補強ポイントはあまり多くないが、ナビスコカップ優勝を果たした後、獲得リストに挙がっている選手がメディアで報じられており、日本人では湘南のDF遠藤航とMF永木、鳥栖のGK林彰とMF藤田直、神戸のMF森岡、仙台のGK六反の名前が挙がっている。
MF永木を除くとアギーレJAPAN以降に日本代表に招集された経験のある選手たちである。他クラブでバリバリの主力として活躍している選手ばかりなので本気度の高さを感じるが、逆に鹿島の選手の中で流出の心配があるのはボランチのMF柴崎岳。「ドイツのフランクフルトが獲得を狙っている。」とも報じられている。今回の2連戦は日本代表メンバーから外れたが、満足いくオファーが届く可能性が出てきた。
アギーレJAPANのときに日本代表デビューを飾ったが、この1年間で結構な数の国際試合を経験している。もともと上昇志向の強い選手だったが、同級生となるFW武藤嘉の活躍も刺激になっているはず。Jリーグと欧州リーグでは様々な部分で差があるので、「国内トップクラス」と言えるレベルに達した選手が海外移籍を希望するのは自然なことであり、無理に引き留めるのは双方にとってマイナスになることが多い。
「リストに挙がっている。」と報じられた選手の中ではMF永木とMF藤田直はボランチが本職で、MF森岡とDF遠藤航はボランチでもプレーすることができる。近い将来のMF柴崎岳の欧州移籍を見据えて、できればこのタイミングで「Jリーグで上位クラスの実力を持つボランチ」を確保したいところであるが、MF永木とDF遠藤航とMF森岡に関しては多くのクラブが関心を示しており、大争奪戦になりそうな情勢である。
2016年のACLの出場権を獲得することが難しくなったことが争奪戦で不利に働く可能性はある。また、当然、MF柴崎岳が抜けると戦力的にも営業的に痛いのは確かであるが、36歳のMF小笠原はまだまだ元気で、ロンドン五輪代表のMF山村和、U-18日本代表で東京世代のMF久保田、元日本代表のMF青木剛、成長が期待される92年組のMF梅鉢が控えているので、どうしようもない事態に陥ることは考えにくいか。
◆ キーパーは補強ポイントの1つであるが・・・。(MF柴崎岳の動向次第のところもあるが、)「36歳のMF小笠原の後釜を確保する。」という意味でもボランチは補強ポイントの1つと言えるが、その他ではキーパーも補強ポイントとなる。黄金世代で36歳のGK曽ヶ端は2007年10月からフルタイム出場を続けてきたが、開幕戦の清水戦(H)でベンチスタートとなって記録がストップ。序盤は軽率なミスが多くてGK佐藤昭にポジションを譲った試合も少なくなかった。
広島ユース時代はFW前田俊やMF高萩などと同期だったGK佐藤昭は29歳。人間性も高く評価されている選手で、セカンドキーパーとしては大きな問題はないが、鹿島のようなタイトルを期待される常勝クラブのレギュラーを務めるのはスペック的に厳しいものがある。すでに「鳥栖のGK林彰に興味を示している。」と報じられているが、以前にも「GK林彰に興味を示している。」と報じられているのでかなり熱心である。
海外志向が強いキーパーなので「今後、数年は安泰」とまではいかないが、GK林彰を獲得できると「次代のキーパー」という積年の悩みが幾分かは解消される。メインターゲットの1人となるがGK曽ヶ端という豊富な経験を持つ生え抜きがいることは大物キーパーを獲得しようとしたときの大きな障害となる。代表クラスのキーパーが「セカンドキーパーになる可能性がある。」という環境を好き好んで選ぶとは思えない。
当然のことながら、実力勝負の世界ではあるが、キーパーは一度、ポジションを失うとなかなか挽回するのは難しいポジションである。やや衰えが見られるようになってきたとは言っても、2001年から毎年少なくとも20試合以上に出場しており、2008年から2014年までは7年連続でフルタイム出場を果たしたキーパーである。GK曽ヶ端がスタメンで活躍できるうちは大物キーパーの獲得は難しいかもしれない。
◆ 伸び盛りの選手が多くて補強の必要性は乏しい攻撃陣過去を振り返ってみても他のJリーグのクラブに主力が流出するケースはほとんどなかった。若手から中堅世代に有望株が多いので市場価値の高い選手は目白押しと言えるが、環境面も優れたクラブである。欧州移籍の可能性があるMF柴崎岳を除くと主力級の流出を心配する必要はほとんどないと言える。なので、補強ポイント自体はあまり多くないが、ボランチとキーパー以外では左SBが補強ポイントの1つとなる。
今シーズンもDF山本脩が頑張ったが、攻撃力のあるDF鈴木隆は信頼を勝ち取ることはできず。結局、DF山本脩が不在のときは右SBのレギュラーであるDF西大伍を回すことになった。昨オフはC大阪のDF丸橋に関心を示していたが、左利きの左SBがいると幅が広がる。昨今のJリーグは左SBが人材不足気味。優秀な選手を獲得するのはかなり難しいが、「計算できる左SBを確保すること」は最低限の目標となる。
中盤から前目のポジションはFW金崎の加入、FW赤崎とMF土居とMFカイオの成長、MF中村充の復活、プロ1年目のMF鈴木優の台頭もあって競争は熾烈。山形に期限付き移籍中のFW高崎については石井監督がターゲットタイプをあまり必要としないサッカーをしているので戻ってきても出番は限られるだろう。長期離脱から復帰した後は怪我がちでほとんどチームに貢献できなかったFWダヴィの去就は微妙か。
攻撃的なポジションは現有戦力でも十分に戦えるメンバー構成で、かつ、さらなる成長が期待できる選手がほとんど。補強の必要性は乏しいが、人脈を生かしてスペシャルなブラジル人選手を獲得できるチャンスがあるのであればそこにお金を費やすのは悪くない。逆に分厚い選手層に阻まれてほとんど出場機会を得られなかったMF豊川やFW杉本太あたりは経験を積ませるために他クラブに修行に出すのがベターか。
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