■ 大混戦になっている自動昇格争いJ2は第29節が終了したが、首位を独走する大宮の勝ち点は「67」。2位の磐田との差は「16」で、3位の東京Vとの差は「18」。残りは13試合。「安全圏なのか、逆転可能な差なのか?」の目安となると言われる「勝ち点差>残り試合数」に達した。愛媛FCに敗れて連勝は「8」でストップしたが、安定した戦いを続けてきた大宮がここから大失速することはまず考えられない。「自動昇格の1枠は大宮で決まり」と言える。
問題は残りの1枠である。2位の磐田が勝ち点「51」、3位の東京Vが勝ち点「49」、4位のC大阪と5位の福岡が勝ち点「48」。1勝差の中に4チームが入っており、6位に急浮上した愛媛FCが勝ち点「44」。その下は7位の千葉と8位の長崎が勝ち点「43」で並んでおり、9位の金沢は勝ち点「42」。よって、2位の磐田から9位の金沢までが「3勝差」。現時点では「9位の金沢までが自動昇格争いに加わっている。」と言える。
勢いがあるのは東京Vと福岡である。ともにリオ世代の若手の成長が目覚ましいが、中堅からベテランの活躍も目立っている。若手・中堅・ベテランという三世代がいい具合に噛み合っている。福岡が昇格すると2011年以来で、東京Vが昇格すると2008年以来となるので、かなり久々のJ1復帰となるが、どちらのチームも近年は昇格争いに加わることができないシーズンが多かった。今シーズンに賭ける思いは強い。
■ J1昇格への切り札と言えるのはFWウェリントン井原監督を迎え入れた福岡は開幕3連敗で最下位からのスタートだったが、この状況から短期間でリカバーした。3バックなのか、4バックなのか?攻撃の中心を誰にするのか?が定まらないままで開幕を迎えたので開幕3試合の内容は非常に悪かった。前途多難に思えたが、百戦錬磨の井原監督の修正力は見事だった。DF濱田を中心とした3バックは強力で、復帰組のMF鈴木惇とMF末吉の活躍も目立つ。
攻撃陣ではシーズンの前半戦はJ1の仙台から加入したFW中原貴の活躍が目立った。驚異的な高さを武器に攻撃の中心として頑張った。夏に入ってやや調子を落としているが、五輪代表のFW金森がワンランク上のレベルに到達しており、簡単には止めることができない選手になった。同じく五輪代表の常連であるDF亀川とGK中村航の活躍も目立っており、最近の福岡は五輪代表トリオがチームを引っ張っている。
昇格への切り札と言えるのが夏に加入したFWウェリントンである。昨シーズンは湘南で20ゴールを記録してJ2のMVP級の働きを見せたFWウェリントンの補強は大きなパワーとなるだろう。太めの体型で来日しており、かなりの時間が経過した今現在でもふっくらとしている。キレやスピードはあまり感じられないが、徐々にコンディションが上がってきている。早くも2ゴールを挙げていて「攻撃の軸」に収まりつつある。
■ 有望な若手が目白押しの東京ヴェルディ若手の有望株が目白押しの東京Vは29節の徳島戦(A)で敗れて連勝が「5」でストップしたが、5連勝したことで一気に3位まで順位を上げることができた。アウェイの地で横浜FCに6対1で大勝した28節の試合は圧巻だったが、ここに来て若い選手が一段と力をつけている。左SBのDF安在が五輪代表に選出されたが、FW杉本竜やFW高木大やMF南やMF三竿健なども五輪代表に招集されてもおかしくない実力を持っている。
中でも目立つのは19歳のFW高木大である。5連勝中は5試合で5ゴール。連勝が止まった29節の徳島戦(A)は出場停止だったが、彼の穴は大きかった。短期間で欠かせない存在になった。今夏に高木三兄弟の次男であるMF高木善が東京Vに復帰したが、兄のMF高木善が戻ってきてからFW高木大がゴール量産するようになった。サポーターも復帰を大歓迎したが、彼の復帰を最も喜んだのは三男だったと思われる。
東京Vユース出身で1年目のMF三竿健の活躍も目立っている。29節を終えた時点でスタメンから外れたのは3試合だけ。ボランチのポジションというのは東京Vに限らず大半のチームは優秀な人材を何人も抱えている。20歳前後の選手が出場機会を得るのはかなり難しいポジションの1つと言えるが、ベテランの域に入ったMF中後との関係は良好。19歳とは思えないほどの老獪なプレーでチームを支えている。
今シーズンの東京Vはスタメンの半数程度がユース出身の若手である。20位と低迷した2014年は「チームが若すぎるのではないか?」と指摘する声は多かったが、今シーズンはGK佐藤優、DF井林、MF中後、FW平本など要所には経験豊富な中堅からベテランを配置している。経験のある選手がチームの幹となって、ユース出身の若い選手がその周りで伸び伸びとプレーできるという非常にいい流れになっている。
■ 4連勝でついにプレーオフ圏内に浮上した愛媛FC4連勝で一気に6位まで順位を上げてきた愛媛FCの頑張りも目に付く。オフに粉飾決算の問題で大きな批判を浴びたことがマイナスに作用するかと思われたが、シーズン中に2度も4連勝を達成するなど波に乗ったときは手強いチームである。2位の磐田との差も「7」のみ。プレーオフに出場した経験がないどころか、本格的にプレーオフ出場権争いに参加するのも初めてである。初昇格に向けて県民の後押しも期待できる。
粉飾決算の問題で揺れたチームなので無茶な経営はできないが、今夏の補強は効果的だった。残留争いに加わっていたわけではないので「大きな動きはないだろう。」と思っていたが、浦和のMF小島秀を完全移籍で獲得して、清水のMF内田健と東京VのMF安田晃を期限付きで獲得した。「左利きの選手」と「司令塔タイプのボランチ」という2つの補強ポイントをしっかりと押さえた見事な補強だったといえる。
今シーズンの愛媛FCは左利きの選手は2人だけ。キーパーのGK大西とJ1の神戸から加入したMFカン・ユングだけだったが、左WBのレギュラー候補だったMFカン・ユングは怪我で長期離脱した。結局、「左利きのフィールドプレーヤーが全くいない。」というちょっといびつなチーム編成になっていたが、左足のキックに定評のあるMF内田健を獲得。さっそく左WBの位置で起用されて早くも2ゴールを挙げている。
それまでは右利きのMF三原向が左WBの1番手だった。彼のパフォーマンスも決して悪くはなかった。むしろ、積極的な飛び出しは大きな武器の1つになっていたが、左WBのポジションに精度の高い左足を持っている選手がいると攻撃のバリエーションは格段に増える。クラブタイの4連勝でついにプレーオフ圏内の6位に浮上した愛媛FCがこれからどういう戦いを見せるのか?というのは大きな注目ポイントと言える。
★ 現在の投票数 → 540票
→ 投票したいチームの名前を選択してから「投票」のボタンをクリックしてください。
→ 必ず6チームを選んでから投票してください。
→ 「コメント」のところは何も書かなくてもOKです。(投票可能です。)
→ 記事内容に関係のないコメント(政治的な内容も含む。)はご遠慮ください。
関連エントリー 2015/06/07
「2015年のJ2で注目すべきアタッカー10人」を選んでみた。 2015/06/07
「2015年のJ1で注目すべきアタッカー10人」を選んでみた。 2015/07/01
こんな選手を手倉森ジャパンに・・・ (その1) 2015/07/01
こんな選手を手倉森ジャパンに・・・ (その2) 2015/07/02
「リオ世代の有望株を敢えて○○人だけ挙げるとしたら・・・。」について考えてみる。 2015/07/22
【長野×Y.S.C.C.横浜】 新たに誕生したフクアリ級の素晴らしいスタジアムに行ってきた。 (生観戦記) (上) 2015/07/22
【長野×Y.S.C.C.横浜】 新たに誕生したフクアリ級の素晴らしいスタジアムに行ってきた。 (生観戦記) (中) 2015/07/23
【長野×Y.S.C.C.横浜】 新たに誕生したフクアリ級の素晴らしいスタジアムに行ってきた。 (生観戦記) (下) 2015/08/12
【J2】 史上最高レベルの熾烈な争いになっている残留争い2015の大展望 (前編) 2015/08/13
【J2】 史上最高レベルの熾烈な争いになっている残留争い2015の大展望 (後編)
- 関連記事
-