右SB/右WB編→ 今シーズンのJ1で「基本システムが開幕からずっと3バック」なのは浦和・広島・甲府・湘南・松本山雅・山形の6チームで、4バックが基本となるのはG大阪・鹿島・柏・横浜FM・FC東京・鳥栖・仙台・新潟の8チーム。(ただし、横浜FMと新潟は最初から3バックを採用した試合もある。柏もACLで3バックを採用している。)そして、名古屋と神戸と清水はシーズン途中に4バックから3バックに変更している。
異質なのは川崎Fである。川崎Fは3バックを採用するのか、4バックを採用するのか、試合が始まってみないと分からないチームで、流れが悪くなると前半の早い時間帯でも躊躇なくシステム変更を実施する。同様にフィッカデンティ監督率いるFC東京も流れが良くないときや後半の終盤の逃げ切り体制に入るときは3バックを採用するが、スタートから3バックを採用することは稀。基本は4バックのチームである。
Jリーグもほんの4・5年前までは「ほとんどのクラブが4バック」を採用しており、『3バックを採用するのはJ1では広島くらいだ。』という時期もあったが、流れは大きく変わったと言える。昇格組の3チームがいずれも3バックを採用していることもあって、J1で3バックを採用するチームは多くなった。左右のアウトサイドの選手を評価する作業は難しくなっているが、いつも通りで一緒くたにまとめて評価する。
まずは右サイド編である。1位候補は山形のMFキム・ボムヨン、浦和のMF関根貴、広島のMFミキッチの3人か。MFキム・ボムヨンはレギュラー格のMF山田拓など右WBの選手が怪我で相次いで離脱したこともあってシーズン途中で左WBから右WBに移ったが、尽きることが無い運動量と迫力満点の突破と力強い守備で山形の右サイドを支えている。昇格1年目の山形のストロングポイントになっている。
浦和のMF関根貴は当初は控え扱いだったが、4節の松本山雅戦(H)で初スタメンを飾ると、以後、ほとんどの試合でスタメン起用されており、すでに4ゴール。1stステージ制覇に大きく前進した13節の鹿島戦(H)の後半38分に決めた逆転ゴールは特に印象的で、今のJリーグでもっとも注目と期待を集めている若手選手の1人と言える。(※ 鹿島戦(H)のゴールは左WBに移った後のゴールだったが・・・)
言うまでもなく、浦和というチームは移籍組が多い。スタメンは加入前に他クラブで主力として活躍していた選手がほとんどで、浦和ユース出身など生え抜きの選手は少ない。サポーターが強い思い入れを持って応援してくれるような選手が少なくなりつつある中、浦和ユース出身で、20歳と若くて、将来性抜群のMF関根貴の存在はクラブにとっても非常に大きい。彼の右サイドからの突破はリーグ屈指と言える。
1月6日で35歳になったMFミキッチは今シーズンは非常に元気である。欠場したのは1試合だけ。広島は左右のWBは選手層が厚いので、昨シーズンまではベンチスタートになるケースもあったが、ここまではほとんどの試合でスタメン起用されており、12節を終了した時点でのクロス数はFC東京のDF太田宏と並んでリーグ1位。大ベテランの域に入っているが、スピードも運動量も衰え知らずである。
この3人の間で優劣を付けるのは非常に難しいが、チーム成績やプレーのインパクト等を考慮すると浦和のMF関根貴を1位に選ぶのがベターか。WBのポジションは柏からMF橋本和を獲得しており、開幕当初はMF関根貴も微妙な立場だったが、持ち味である突破力と積極性で信頼を勝ち取った。これだけ果敢に仕掛けることが出来る選手は少ないので、当然のことながら、五輪代表入りも大いに期待される。
2位は山形のMFキム・ボムヨンとする。昨シーズンの終盤に左WBのレギュラーポジションを確保したが、身体能力の高さで勝負するタイプでテクニックは並程度。「守備はOK。攻撃は課題。」という印象だったが、今シーズンは攻撃面でもチームに大きく貢献している。MF宮阪がスタメン落ちしていることもあって、右足のプレイスキッカーを任されるときもあるほど。半年ほどで大きく成長した選手と言える。
続く3位は広島のMFミキッチ。4位候補は川崎FのDFエウシーニョ、松本山雅のMF田中隼、柏のDFキム・チャンス、名古屋のMF矢野貴あたりとなるが、川崎FのMFエウシーニョがもっともふさわしいだろう。前述のとおり、川崎Fは3バックと4バックを併用しており、DFエウシーニョのポジションも定まっていないが、高度な川崎Fのパスワークにも対応できる技術を持っており、すんなりとチームに溶け込んだ。
5位には松本山雅のMF田中隼を選択する。直接的にゴールに絡む回数は多くないが、彼が右サイドにいるだけでチームは落ち着く。こちらのサイドを崩されるシーンはほとんどなくて、守備に回ったときも安心して任せることができる。若い頃から運動量の多さに定評があったが、32歳になった今も運動量は衰え知らず。「ひたむきさ」を全面に押し出す松本山雅のサッカーの象徴的な存在と言える。
以下、6位・7位は柏のDFキム・チャンスと名古屋のMF矢野貴の争いで、8位・9位・10位の候補はFC東京のDF徳永、横浜FMのDF小林祐、鳥栖のDF丹羽竜、新潟のDF川口尚、鹿島のDF西大伍あたり。この中では新潟のDF川口尚に注目したい。昨シーズンは新加入のDF松原健にポジションを奪われてしまったが、今シーズンは五輪代表のDF松原健から右SB(or 右WB)のポジションを奪い返した格好になっている。
「課題」と言われていた守備面で安定感が出てきて、持ち味である縦への推進力でサイドを制圧する試合も増えている。先日、発表されたハリルジャパンの国内合宿のメンバーを見ると、右アウトサイドを本職とする選手はゼロだった。「何人かの有力選手が海外リーグでプレーしている。」というのが最大の理由と言えるが、手薄なポジションになっているので、DF川口尚のさらなる成長に期待したい。
独断と偏見で選んだここまでの1位から10位まで(右アウトサイド部門) 01位 : 関根貴大 (浦和レッズ)
02位 : キム・ボムヨン (モンテディオ山形)
03位 : ミキッチ (サンフレッチェ広島)
04位 : エウシーニョ (川崎フロンターレ)
05位 : 田中隼磨 (松本山雅)
06位 : キム・チャンス (柏レイソル)
07位 : 矢野貴章 (名古屋グランパス)
08位 : 小林祐三 (横浜Fマリノス)
09位 : 丹羽竜平 (サガン鳥栖)
10位 : 川口尚紀 (アルビレックス新潟)
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