■ 2ndステージの第4節2ndステージの第4節。7勝10敗3分けで勝ち点「24」のヴァンフォーレ甲府(14位)と、5勝12敗3分けで勝ち点「18」の松本山雅(15位)が山梨中銀スタジアムで対戦した。14位の甲府と15位の松本山雅の差は「6」。第2グループ(横浜FM・神戸・鹿島・名古屋・湘南・鳥栖・仙台・柏・甲府)と第3グループ(松本山雅・山形・新潟・清水)の差が広がりつつある中で「J1残留」が目標となる両チームの直接対決となった。
ホームの甲府は「3-4-2-1」。GK河田。DF土屋、畑尾、津田。MFマルキーニョス・パラナ、下田、橋爪、阿部翔、稲垣、阿部拓。FWバレー。守備の要であるDF山本英は怪我のため欠場。代わって大卒2年目のDF畑尾が3バックの中央に入った。シーズン途中に甲府に電撃復帰したFWバレーは怪我に苦しんでいるが、8試合で4ゴールと大事なところでゴールを決める活躍を見せている。MF阿部拓も4ゴールを挙げている。
対するアウェイの松本山雅は「3-3-3-1」。GK村山。DF飯田、安藤淳、酒井隆。MF岩間、田中隼、岩沼、岩上、工藤浩、喜山。FWオビナ。夏の移籍市場で獲得したDF安藤淳とMF工藤浩は4試合連続スタメンとなった。MF岩間とMF喜山でWボランチを組むケースが多かったが、この日はアンカーの位置にMF岩間が入って、MF喜山の位置は普段よりも高めとなった。FWオビナはここまで4ゴールを挙げている。
■ 1対0でアウェイの松本山雅が勝利試合の序盤はどちらかというとホームの甲府ペースとなる。佐久間監督になってから5勝1敗3分けと結果が出ており、ここでホームで松本山雅に勝利することができると目標である「J1残留」が見えてくるが、好調のMF阿部拓を中心に攻め込んでいく。しかし、前半42分に松本山雅が右サイドのスローインを獲得すると、ロングスローからファーサイドに流れたボールを左WBのMF岩沼が豪快に決めて松本山雅が先制する。
甲府は後半6分という早い段階でMF堀米勇を投入。左利きのMF堀米勇はいい位置でボールを受けて攻撃の流れが少し良くなる。最低でもドローに持ち込みたい甲府は後半16分に抜群のスピードを持つ大卒2年目のMF松本大を投入。右WBのMF松本大の縦への仕掛けから何度かゴール前のシーンを作るが、DF飯田を中心とした松本山雅の守備陣の頑張りもあって決定機には至らず。もどかしい展開になる。
後半21分に松本山雅はキーパーのGK村山が足を攣って途中交代。J1では初出場となるGK白井が投入されるというアクシデントが発生するが、J2も含めたリーグ戦は2013年以来の出場となるGK白井は落ち着いたプレーを見せた。結局、1対0でアウェイの松本山雅が勝利。J1昇格後は初めてとなる連勝を飾った。アウェイで勝利するのは3節の清水戦(A)以来で今シーズン2回目。甲府との差は「3」と急接近した。
■ ヒーローになったのは岩沼俊介2ndステージの第3節を終了した時点で甲府が14位で松本山雅が15位だったが、その差は「6」。下の4チーム(松本山雅・山形・新潟・清水)とその上のグループの差が広がりつつあったが、ここで松本山雅が勝利したことでその差はぐっと縮まった。松本山雅にとっては勝ち点「3」を上積みできたことも大きいが、残留争いのライバルの1つになりうる甲府を残留争いのグループに引き込むことができたのも大きい。
松本山雅はこれで2連勝。1stステージの終盤から泥沼の7連敗を喫したが、2ndステージの2節の広島戦(A)で0対6で大敗した試合を除くと拮抗した試合が多かった。連敗がなかなか止まらなかったが、「どうしようもないほど最悪のチーム状態」というわけではなかった。ただ、大型連敗を止めるというのはかなりのエネルギーが必要となる。2連勝となった松本山雅はとりあえずとして最初の危機は脱したと言える。
決勝ゴールを決めたのは左WBのMF岩沼で、これがJ1初ゴールとなった。2007年から2012年までは札幌でプレーして、2013年に松本山雅に加入したが、J1でプレーするのは札幌時代の2008年と2012年に続く3シーズン目。キャリアの多くはJ2生活だったが、J1での初ゴールは見事なシュートだった。ゴール前に選手が密集していたのであまりシュートコースは無かったが、豪快なシュートがネットに突き刺さった。
2試合連続完封勝利となった松本山雅はこれからも粘り強く戦っていくしかない。相手を圧倒できるほどのチーム力は無いので、勝利するときはこの日のような展開が多くなるだろう。2ndステージの2節の広島戦(A)のようなノーチャンスの試合が多くなると危険な兆候と言えるが、負け試合であったとしても終盤まで勝ち点を獲得できるチャンスがあるのであれば結果が出なかったとしても悲観する必要は全くない。
■ エースのFWバレーは不発・・・。一方の甲府は勝つと一桁順位の可能性もあった。残留争いから抜け出すことができるのか否か、かなり大事な試合だったが、思うような展開にはならなかった。前半の立ち上がりからボールを保持する時間は長かったが、ポゼッションしながら多くのチャンスを作ることができるチームではないので、「ボールを保持することが出来た。」というよりは「ボールを持たされる展開になった。」と表現するのが適切と言える。
この日は守備の要であるDF山本英が怪我のため欠場。大卒2年目のDF畑尾が3バックの中央で起用されたが、相手のCFのFWオビナのところをつぶし切れなかった。松本山雅がやや変則的なフォーメーションを採用したことも関係しているが、中央に構えるFWオビナに良いボールが入って来て、ワンタッチで近くにいる味方選手にパスを出して松本山雅の攻撃がテンポアップするシーンは何度かあった。
攻撃では2ndステージの3節の湘南戦(A)で2ゴールを挙げたFWバレーに期待がかかったが、この日は不発。好調のMF阿部拓は持ち味の馬力を生かしたプレーを何度か見せたが、松本山雅の守備を崩し切ることはできなかった。途中出場のMF堀米勇とMF松本大が入ってからは甲府が押し込むシーンが増えたが、決定的なチャンスは試合を通して2回ほど。攻撃に関しては物足りなさが残った。
「この先の展開が全く読めない」と言うしかないJ2の残留争いほどではないが、J1の残留争いも熾烈を極める。2ndステージの3節を終えた時点では15位が松本山雅で、16位が山形で、17位は新潟で、18位が清水となっているが、「一度も降格経験がない。」という新潟と清水が降格ゾーンにいるのは甲府や松本山雅や山形にとってはかなり不気味で、第三者的には今年もかなり面白い残留争いになってきた。
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