■ 茨城ダービー水戸ホーリーホックと鹿島アントラーズの対戦。同じ茨城県をホームにもつ茨城ダービーだが、まだ、Jリーグのステージでの対戦はない。開幕まで、あと1週間を切り、両チームとも最終調整の場となった。
試合は、序盤こそ、水戸の守備陣が鹿島の攻撃を封じていたが、前半中ほどに柳沢のパスを受けた野沢がミドルシュートを決めて先制すると、さらに、前半終了間際にもオフサイドラインの裏に飛び出した柳沢のパスを受けたマルキーニョスがシュートを決めて2対0。
後半にも、柳沢のヘディングシュートと中後のゴールで追加点。結局、鹿島が力の差を見せ付けて、4対0で勝利した。
■ あまり良くない鹿島スコアこそ4対0となったが、鹿島の仕上がりはかなり良くない。オリベイラ監督を迎えてまだチームが固まっておらず、試合を重ねていけば徐々に良くなるだろうが、このまま開幕を迎えるとなると、序盤戦の苦戦は必至だろう。
注目された新外国人の3人については、清水から移籍のFWマルキーニョスは、この試合でも運動量豊富に動いて決定的なシュートチャンスを演出していった。柳沢とのコンビも全く問題はなかった。
DFファボンについては、ブラジル人らしいセンターバックだという印象をもった。強さと高さは目を見張るものがあるが、軽率なプレーも多く、不安定な印象をもった。前線へのフィードに積極的に絡もうとする姿勢は見えたが、そのパスに危険な感じを受けた。
問題はMFダニーロで、いまひとつだった。左利きのゲームメーカーとして、確かにボールをもったときのアイディアや技術は優れているが、運動量が少なくて、止まった状態でボールを受けたがるので、チームになじめていない。
昨シーズンの後半に鹿島が良かったのは、野沢や本山を中心に流動的な攻撃が出来ていたからだが、ダニーロの存在はブレーキになるかもしれない。能力は高いのは間違いないが、鹿島のサッカーに合う選手ではないと思う。
■ 新しいやり方鹿島のフォーメーションは、<4-1-3-2>。中盤は、中後の1ボランチで、野沢・本山・ダニーロが並ぶ形だったが、前述のように、まだスムーズな連携にはなっていなかった。FWのマルキーニョスと柳沢も下がってきてボールを触りたいタイプなので、結果として、バイタルエリアが混雑して、効果的な攻撃が出来なかった。
1ボランチとはいっても、守備のときは3人のうちの誰かが下がっていてMF中後をサポートしなければならないのだが、オートマチックには出来ておらず、バランスは良くなかった。むしろ、野沢が負傷で退場したあと青木が入って、純粋なダブルボランチになったあとの時間帯の方が、いい状態で試合を進めることが出来ていた。今の状態であれば、ダニーロを外して青木を起用した方がうまくいくのは間違いないが、おそらく、ダニーロを外すことはできないだろうから、しばらくは、1ボランチでいくことになるのだろう。
オリベイラ監督の指示なのだろうが、1つ面白いと思ったのは、攻撃的MF(主に本山)が下がって最終ラインに近い位置にスライドして、その分、左サイドバックの新井場のポジションを高い位置にまで押し上げてサイド重視の攻撃をしようという意図が見られたこと。サイドバックの攻撃力を生かすために、試行錯誤の状態ではあるが、イレギュラーな感じを作れていたので、面白かった。
■ 疑問に思う水戸の守備鹿島の攻撃はどんな風に崩したいのか、最後までよく分からなかったが、それでも、4失点を食らってしまった水戸の守備には、かなりの疑問を感じた。鹿島にボールが渡った瞬間に、10人が引いてしっかりとブロックを作って守ろうとする意識は見られたが、肝心の相手ボランチとCBのところにプレスがかけられていないので、鹿島は楽にボールを回すことが出来た。
鹿島の攻撃が単調だったこともあり、きっちりブロックが作れている状態ではそれなりに守りきることが出来たが、イレギュラーな状態を作られたときに、個人能力の差がモロに現れてしまった。自ら仕掛けて守備ができるようになあないと、J2でも上位クラスはかなりのタレントを揃えているので、このままだと苦戦は必至だろう。
プレシーズンマッチだったが、両チームとも、良い部分よりも悪い部分が目立ってしまった。
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