左サイドバック/左ウイングバック → リオ世代の左アウトサイドは「右サイドほどは充実していない。」と言える。所属クラブでレギュラーポジションを獲得した経験のある選手はほとんどおらず、リオ世代の中ではもっとも手薄なポジションの1つである。本大会ではDF長友(インテル)やDF酒井高(シュツットガルト)などをオーバーエイジで招集する可能性は十分に考えられる。
現時点でもっともレギュラーに近いのはDF山中(千葉)である。2012年11月のU-19アジア選手権、2014年1月のU-22アジア選手権、2014年9月の仁川アジア大会のいずれもDF山中がレギュラーの左SBだった。この3つの大会を合わせると計13試合を戦っているが、そのうちの10試合でDF山中が左アウトサイドのスタメンで起用されている。
魅力は何と言っても左足のキックである。俗に言う「キックだけで飯が食えるレベル」で、左足の強烈なシュートを持っている。試合経験が乏しくて判断力などに難を抱えていたが、今シーズンはレンタル移籍先の千葉である程度の出場機会を得ている。怪我で最後の2試合はDF秋野にスタメンの座を譲ったが、アジア大会では質の高いプレーを見せた。
仁川アジア大会のメンバーの1人で、決勝トーナメントの2試合(=パレスチナ戦と韓国戦)でスタメン起用されたDF秋野(柏)もレギュラー候補と言える。DF山中と同じ柏の下部組織出身で、DF秋野が1年後輩となる。本来の中盤の選手なので、組み立てに貢献することができる点が強みとなる。彼が左サイドで起用されたときはポゼッション力が高くなる。
その他の有力選手というとDF安在(東京V)である。リオ世代の左サイドの選手の中で、所属クラブでレギュラーを確保している数少ない選手の1人である。東京Vは「Wあんざい」が両SBを務めることも多くて、右SBがDF安西で、左SBはDF安在となる。左足のキックの精度が高くて、左足で蹴ったクロスは独特の軌道を描いて決定機を作り出す。
「本大会までまだ2年ある。」ということを考えると、U-19日本代表のDF内田裕(G大阪)にもチャンスありと言える。スピードのあるDF藤春がいて、韓国出身のDFオ・ジェソクが左サイドに回ることもあるので、G大阪のトップチームではなかなか出場機会が巡って来ない点がネックとなるが、「この世代ではもっとも才能のある左SB」と評価する人は多い。
現段階で左利きの選手で五輪代表候補と言えるのはこの4人となるが、右アウトサイドが主戦場となるSBを左アウトサイドにコンバートすることも十分に考えられる。右アウトサイドはそれなりに充実していて、左アウトサイドはやや人材難であることを考えると現実的な方法と言える。DF室屋(明治大学)とDF亀川(湘南)などが候補となるだろう。
ともに身体的な能力が高くて、1対1の対応力などが評価されているバランス型のSBなので、右サイドでも、左サイドでも、遜色なくプレーすることができるプレースタイルと言える。五輪の本大会は登録メンバーが18人と非常に少ないので、こういった左右両サイドを同レベルでこなす選手や複数ポジションをこなす選手の価値は非常に高くなる。
今のところは千葉のDF山中が頭1つ抜けていて、柏のDF秋野、明治大学のDF室屋、湘南のMF亀川、東京VのDF安在らが背中を追う形になっているが、その後に続く選手というのは候補選手の名前を次々に挙げることができた右サイドと比べると左サイドはかなり劣る。残念ながら、質も、量も、やや物足りなさを感じるポジションである。
なので、活きのいい新戦力の台頭が期待されるが、DF佐藤和(名古屋)は継続的にこの世代の代表チームに選ばれてきた選手で、鹿島ユース出身で「94ジャパン」でもプレーしたDF鈴木隆(栃木SC)は左利きで攻撃力の非常に高い選手である。DF鈴木隆はやや伸び悩んだ時期もあったが、J2で経験を積んでおり、180センチというサイズも魅力の1つとなる。
その他では本職は中盤であるが、「96ジャパン」のときは左右のSBで起用されることが多くて、今回のU-19アジア選手権のメンバーに選ばれているDF坂井大(大分U-18)、札幌の下部組織出身でJ2の富山にレンタル移籍中のDF前貴之(富山)、福岡の下部組織出身で18歳のDF光永(福岡)などの成長にも期待したいところである。
表4. リオ世代のアジアの公式戦の成績と左アウトサイドのスタメン
大会名 | 日程 | 区分 | 対戦相手 | 勝敗 | スコア | スタメン左SB(左WB) |
AFC U-19選手権UAE2012 | 2012/11/03 | GL1戦目 | イラン | × | 0対2 | 山中亮輔 |
2012/11/05 | GL2戦目 | クウェート | ○ | 1対0 | 山中亮輔 |
2012/11/07 | GL3戦目 | UAE | △ | 0対0 | 山中亮輔 |
2012/11/11 | 準々決勝 | イラク | × | 1対2 | 山中亮輔 |
AFC U-22選手権2013 | 2014/01/12 | GL1戦目 | イラン | △ | 3対3 | 山中亮輔 |
2014/01/14 | GL2戦目 | クウェート | △ | 0対0 | 亀川諒史 |
2014/01/16 | GL3戦目 | オーストラリア | ○ | 4対0 | 山中亮輔 |
2014/01/20 | 準々決勝 | イラク | × | 0対1 | 山中亮輔 |
仁川アジア大会 | 2014/09/14 | GL1戦目 | クウェート | ○ | 4対1 | 山中亮輔 |
2014/09/17 | GL2戦目 | イラク | × | 1対3 | 山中亮輔 |
2014/09/21 | GL3戦目 | ネパール | ○ | 4対0 | 山中亮輔 |
2014/09/25 | ラウンド16 | パレスチナ | ○ | 4対0 | 秋野央樹 |
2014/09/28 | 準々決勝 | 韓国 | × | 0対1 | 秋野央樹 |
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