■ 平山のゴールで勝利アジア大会のグループリーグの第2戦で、日本代表はシリアと対戦し、1対0で勝利した。後半33分に、本田のクロスをヘディングで決めた平山のゴールが、決勝点になった。
これで、グループリーグ突破は決定的と言いたいところだが、グループ2位でも予選落ちの可能性があるレギュレーションなので、次の北朝鮮に敗れると、得失点差の争いになって、突破はかなり難しくなる。引き分けでもOKなので、したたかに戦ってもらいたい。
■ 持ち味を十分に発揮した日本相手のシリアが、ある程度、攻めてきたので、パキスタン戦と違って日本も攻撃のときにスペースが合って、このチームが目指すムービングサッカーが披露できたと思う。反町監督が試合後に、プランどおりの試合だったと自画自賛していたが、そのとおりで、このコンディションで、このメンバーだったことを考えると、今、出来る100%の力が出せたと思う。
この試合は、<4-1-4-1>で、平山の1トップで、トップ下に谷口と増田を起用する新しい布陣だった。右サイドバックに辻尾、左サイドバックに一柳、右サイドハーフに高萩、トップ下に谷口と4選手が、本来のポジションではない位置での起用となったが、それぞれの選手が持ち味を発揮した。
■ 高いポテンシャルを発揮した辻尾と一柳右サイドバックの辻尾は、本来はフォワードの選手だが、清水エスパルスでも右サイドバックの練習をしているらしく、心配された守備面も問題なくこなした。また、フォワード出身らしく、縦に抜けるスピードに魅力があり、アップダウンを繰り返すだけのスタミナも備えている模様で、将来的には、サイドバックを本職として生きていくのかどうかは分からないが、馬力のあるサイドバックで、面白い存在だと思う。
一柳は、今大会の日本の選手のなかで、一番目立っている選手。不慣れなサイドバックというポジションながら、積極的なプレーを見せている。守備だけでなく、攻撃に絡んでいて、器用な一面を見せている。つなぎのパスでミスをするシーンもあるが、前向きにフィードをしようする意欲が感じられて、チームにいい影響を与えている。この世代は、水本・青山に続く第3のCBが手薄だったが、一柳が強烈にアピールしている。
■ 武器のある強み決勝ゴールは、本田→平山のホットラインから生まれた。本田の左足と平山の頭は、このチームの大きな武器である。武器を持たないチームは、得点を奪うためにより多くのステップを踏まなければならないが、このチームは、”いかにして左サイドで本田をフリーにするか”ここまでを考えればいい。プレッシャーの少ない状態で本田がボールをもてば、高確率で精度の高いクロスが入ってきて、そのボールを、中央にいる平山がゴールを決めるというシーンが容易にイメージできるからである。
谷口のトップ下起用も面白かった。もう1人の攻撃的MFの増田がテクニックとスピードを生かして攻撃に変化を加える存在なので、タイプが全く異っていてバランスも取れるし、これまではターゲットが平山一枚だった前線にもう一枚高さが加わることになる。1.5列目タイプとしては、カレン・前田らも控えるが、現段階では、谷口の起用がベストだと思う。
アンカーの位置に入った本田については、おそらく評価が分かれるだろうが、ボクは、面白いプレーを見せたと思う。青山(広島)に比べると展開力で劣りつなぎのパスでミスが多かったが、機動力と前進力は青山にはない魅力である。経験不足のきらいはあるが、面白い素材だと思う。アンカーの位置では、まずはバランスを取ることを求められることが多いのだが、あれだけリスクを背負って、前に飛び出していくプレーヤーも珍しい。
■ 楽しみな家長の起用方法今後の見所としては、家長の起用法ということになる。一番可能性が高いのが、一柳に代えて左サイドバックで起用することだが、一柳のプレーも光っているので、家長をスーパーサブとしてベンチに温存する可能性も考えられる。果たして、本田との競演は実現するのか、楽しみなところだが・・・。
ひとつ、気になるのが、平山が(怪我などで)試合にでられなくなったら、どうなるのかという点である。ムービングサッカーが出来ているのは前線で平山が安易にボールを失わないからであるが、その核がいないときに、代わりになれる選手がいるのか、不安に思う。
■ 提言最後に、ひとつだけ。今大会には、23歳以下+オーバーエイジ3人の選手の参加が認められているのだが、日本は、五輪代表の強化のために21歳以下で大会に臨んでいる。この考えも悪くはないが、素直に規定に従って、大会に臨んでも良かったのではないかと思う。
五輪代表は、(順調にいけば、)2008年の夏まで、約2年の強化時間が与えられている。このメンバーであれば、アジア予選で敗れることはありえないので、今大会の出場は遠慮してもらって、22歳・23歳の選手が中心で大会に挑んでも良かったと思う。
この世代(83年・84年生まれ)は、狭間の世代になるので、前の世代(81年・82年生まれ)や後ろの世代(85年・86年生まれ)に比べると、圧倒的に国際経験が不足している。順調にA代表に入って活躍している選手もいるが、UAEユースやアテネ五輪のあと、国際試合から遠ざかっている選手も多い。冠のついた大会に、こういう選手たちを出場させて、経験を積ますことも、十分に強化につながるように思うが・・・。
例えば、こんなメンバーで。
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