■ 第9節J1の第9節。1勝4敗3分けで勝ち点「6」の湘南ベルマーレと、3勝2敗3分けで勝ち点「12」のセレッソ大阪がShonan BMWスタジアム平塚で対戦した。8節を終了した時点で湘南は16位と降格圏に位置するがホームでは1勝3分けと負けなしが続いている。一方のC大阪は開幕3連勝を飾ったが、ここ5試合は0勝2敗3分けで勝利なしと苦しんでいる。
ホームの湘南は「3-4-2-1」。GK阿部。DF鎌田、宇佐美、大野。MFハン・グギョン、永木、古林、高山、菊池、梶川。FW大槻。エースストライカーのFWキリノは怪我で欠場で、大卒2年目のFW大槻がスタメンで起用された。FW大槻は2012年はJ2で18試合に出場して5ゴールを挙げている。3バックの中心のDF宇佐美はC大阪の下部組織出身で、FW柿谷の2学年上となる。
対するアウェーのC大阪は「4-2-2-2」。GKキム・ジンヒョン。DF酒本、茂庭、山下、丸橋。MFシンプリシオ、扇原、山口螢、枝村。FW杉本、柿谷。8節の大分戦で退場処分を受けたDF藤本は出場停止で、DF山下が4節の仙台戦以来のスタメンとなった。不調のFWエジノはこの日もベンチスタートで、ロンドン五輪代表のFW杉本が2試合連続スタメンとなった。FW柿谷は8試合で4ゴールを挙げている。
■ C大阪が久々の勝利!!!試合はアウェーのC大阪のペースで進んでいく。立ち上がりから湘南のDFラインの裏を積極的に狙ってチャンスを作っていく。前半はゴールを決めることはできなかったが、後半2分にDF丸橋のロングフィードからFW柿谷がボールをおさめてFW杉本にヒールでパスを送って、最後はFW杉本の優しいパスを受けたMF山口螢が決めてC大阪が先制に成功する。MF山口螢は今シーズン3ゴール目となった。
その後もC大阪が試合を優位に進めるが、なかなか決定機に決められない。湘南は柏U-18出身で「Jリーグでもっとも背の低い選手」として話題になったルーキーのMF中川を投入するなど、流れを変えようとするが、後半34分にC大阪は途中出場のMF楠神のパスを起点にMF扇原の落としたボールをFW柿谷が決めて2点目を挙げる。FW柿谷は今シーズン5ゴール目となった。
さらに後半43分にもカウンターからFW杉本→MF山口螢→FW柿谷とパスが回って、最後はFW柿谷が決めて3点目を挙げる。FW柿谷は2ゴールで、MF山口螢は1ゴール1アシストとなった。結局、試合は3対0でC大阪が勝利して、3節のFC東京戦以来となる勝ち点「3」を獲得した。一方の湘南はなかなかチャンスを作ることが出来ず、ホームでは初黒星となった。
■ 存在感を発揮した杉本健勇苦しんでいたC大阪がアウェーで勝利をおさめた。今シーズンは2節の甲府戦で2ゴールを挙げたのが最多のゴール数で、それ以外の試合は0点 or 1点に終わっている。得点力が不足していて、8試合で7ゴールとフラストレーションのたまる展開になっていたが、今年になって初めてスッキリした形で勝ち点「3」を奪った。5月はナビスコカップもあって過密日程になるが、いいスタートを切った。
この日は2トップの一角で起用されたFW杉本の活躍が目立った。8節の大分戦に続いて2試合連続スタメンとなったが、後半2分のMF山口螢の先制ゴールをアシストした以外にも、C大阪のチャンスのほとんどに絡んだ。ゴールを決めることはできなかったが、運動量が多くて、ボールも良くおさまって、判断も正確で、空中戦になったときも高い確率で勝利を収めた。
今シーズンはFWエジノとのポジション争いになっているが、1年前あるいは1年半前のFW杉本と比べると、明らかに良くなってきている。東京Vにレンタル移籍した経験とロンドン五輪に出場した経験が大きかったが、淡白なプレーも減ってきて、泥臭いプレーも出来るようになってきた。サイズがあって、足元の技術が高くて、身体能力も高いので、大器と言えるが、まずまず順調に伸びてきている。
もちろん、フォワードなので、ゴールという結果は必要である。中盤のエリアで相手に競り勝つシーンは増えているが、ゴール前で高さを生かすシーンというのはほとんどない。サイズがゴール前でも生きるようになると、フル代表入りも見えてくるが、まだ、そういう段階には来ていない。ただ、大型フォワードが大成するまでに時間が必要なのは仕方がないので、一歩一歩、前に進んでほしいところである。
■ 2列目で起用される山口螢それ以外の選手では、MF山口螢の活躍が光った。この日は1ゴール1アシストの活躍だったが、2トップを上手くフォローして、2つのゴールに絡んだ。大きかったのは先制ゴールで、FW杉本のラストパスも絶妙だったが、忠実に3人目の動きをして、決定機を確実にものにした。ここ最近、なかなか先制ゴールが奪えずに苦労していたので、チームにとって大きなゴールとなった。
昨年の夏にMFシンプリシオが加入してからは、ボランチではなくて、2列目で起用されるケースが多くなっているが、攻撃の部分でもチームに貢献している。ロンドン五輪代表では守備的な役割を担うことが多かったので、「守備的な選手」というイメージが強くなっているが、今シーズンは、ゴールに絡むことが多くて、プレーの幅を広げてきている。
武器となるのは豊富な運動量と圧倒的なスピードで、日本人の中盤の選手の中では、運動量とスピードは最上位と言える。MF香川、MF乾、MF家長、MF清武、MFキム・ボギョン、MF倉田といった歴代のC大阪のシャドーの選手たちと比べると、テクニックでは見劣りするが、ダイナミックなプレーは不可欠で、思い切りのいいプレーでチームに貢献している。
MF扇原やMF柴崎などと同様に「次代を担うボランチ」として、日本代表入りを期待されて久しい。当然、ボランチとしてもフル代表に選出される能力を有していると思うが、ここ最近のプレーを見ていると、2列目として考えた場合でも、フル代表レベルまで到達する可能性を秘めている。9試合で6ゴールを挙げているFW柿谷に注目が集まっているが、MF山口螢の成長具合も素晴らしいものがある。
■ 高さと強さが不足した最終ライン一方の湘南は、今シーズンに入ってホームでは1勝3分けと負けが無かったが、初黒星となった。初先発となったFW大槻のプレーは悪くはなかったが、孤立するシーンが多くて、2シャドーのMF梶川やMF菊池との関係は今一つだった。試合を通して単独で相手のCBコンビと対峙するような形になったので、J1デビュー戦のFW大槻にとっては、酷なシチュエーションとなった。
8節の磐田戦は4失点で、この日も3失点ということで、失点数が増えているが、この試合に関しては、3バックの人選が良くなかったように感じる。コンディション的な問題があったのかもしれないが、ベンチには183センチのDF島村が控えており、彼を起用して187センチのFW杉本をケアする役目を与えたならば、全く違った展開になったと思うが、投入されることはなかった。
DF鎌田とDF宇佐美の2人はクイックネスのあるCBなので、FW柿谷やMF山口螢などの飛び出しを警戒して、こういうチョイスになったと思うが、FW杉本のことを甘く見過ぎてしまったように感じる。DF鎌田が172センチで、DF宇佐美が171センチなので、FW杉本とは15センチ以上の差があって、こうなると、FW杉本は楽にプレーすることができる。
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