■ プレシーズンマッチJ1は3月2日に開幕を迎えるが、開幕を2週間後に控えた2月16日(土)にベストアメニティスタジアムでサガン鳥栖とFC東京がプレシーズンマッチを行った。ともに昇格して2シーズン目となるが、1年目の2012年は鳥栖が5位で、FC東京は10位だった。
ホームの鳥栖は「4-2-3-1」。GK赤星。DF丹羽、呂成海、坂井、金民友。MF高橋、ジョナサン、水沼、池田、野田。FWロニ。チームの要のFW豊田とMF藤田はコンディション不良で欠場で、MFジョナサンとFWロニがスタメンで起用された。新卒選手では、2012年も強化指定選手としてJ1のピッチに立ったDF坂井はスタメン出場で、福岡大学から加入のMF清武はベンチスタートとなった。
対するアウェーのFC東京は「4-2-3-1」。GK権田。DF徳永、森重、チャン・ヒョンス、太田。MF米本、田邉、石川、ヴチチェヴィッチ、河野。FW平山。こちらも主力のMF東、MF長谷川アーリアジャスール、MF高橋らは欠場で、中盤から前のポジションはサブメンバーが中心となった。さらには、加入が決まったばかりのFW李忠成もベンチ外となった。
■ FC東京が逆転勝利試合の序盤はFC東京のペースとなるが、前半31分に鳥栖は中盤でボールを受けたMF高橋がドリブルで相手をかわしてから左足でDFラインとGKの間に絶妙のミドルパスを送ると、新外国人のFWロニが相手キーパーと激突しながらループシュートを決めて鳥栖が先制。前半は1対0とホームの鳥栖がリードして折り返す。
後半は立ち上がりは鳥栖のペースとなって、何度かチャンスを作るが、追加点を奪うことはできない。すると後半30分にペナルティエリア内でFW平山が粘ってチャンスを作ると、最初のMFヴチチェヴィッチのシュートはゴールライン上でクリアされるが、相手のクリアボールを拾ったMF石川が右足でシュートを放つと、ゴール前のMF河野がコースを代えてゴールイン。FC東京が1対1の同点に追いつく。
さらに後半35分にも左サイドのCKを得ると、ショートコーナーからMFヴチチェヴィッチの高速クロスを入ったばかりのFW渡邉千が胸で押し込んでFC東京が2対1と勝ち越しに成功する。直前にピッチに送り出されたFW渡邉千は非常に難しいクロスだったが、うまく合わせてネットを揺らした。結局、試合は2対1でアウェーのFC東京が逆転勝利を飾った。
■ 1トップで起用された平山相太J1のチーム同士の対戦は2対1でFC東京が逆転で勝利した。前半からボールを保持していたのはアウェーのFC東京の方で、1トップに入ったFW平山を起点にしてチャンスを作りかけたが、なかなか決定機には至らず、停滞感も漂っていたが、後半30分にFW平山の頑張りから同点ゴールが生まれると、さらに、ショートコーナーからFW渡邉千の逆転ゴールが生まれた。
この日は、FW平山が1トップで起用されたが、出来はまずまずだった。彼の高さが生きるようなシーンはほとんどなくて、足元に入ってくる来るボールが多かったが、比較的、うまくボールをおさめて、中央で起点となった。FWルーカス、FW渡邉千、FW平山、FW李忠成の4人で1トップのポジションを争う形になっているので、ハイレベルな争いになったが、まずまずのアピールは出来た。
ただ、ゴールという結果を出さないとダメな立場なので、もう少し貪欲さや泥臭さも欲しかった。足元のプレーも巧みにこなす選手なので、ポポヴィッチ監督の目指すサッカーに合った選手だと思われるが、FW李忠成も加入してきて、常時、ベンチ入りできる保証もない。ポテンシャルは誰もが認めている選手なので、もう一歩、殻を打ち破って、相手にとって怖い選手になってほしいところである。
ベンチ入りできるかどうか、ギリギリの立場なのは、東京Vから移籍して2年目を迎えるMF河野も同様であるが、こちらは、ラッキーなゴールだったが、結果を残した。昨年は怪我もあって9試合の出場にとどまったが、個の力は抜群で、能力が高いのは間違いない。攻撃に変化を加えることのできる選手で、また、コンディションも良さそうなので、今年は真価を発揮してほしいところである。
■ 気になったカメラワーク一方の鳥栖は、MFジョナサン、FWロニ、DF坂井と新戦力が3人もスタメンで起用された。軸のFW豊田が欠場したので、まず、1トップのFWロニに注目が集まったが、先制ゴールを決めるなど、まずまずのパフォーマンスを見せた。ゴールシーンでGK権田と接触して、直後に交代となったが、アタッカーとしての能力は高そうで、最初の試合で結果が出たのは、本人にとっても、チームにとっても大きい。
ボランチに入ったMFジョナサンは、184センチのサイズが武器で18歳という若さも魅力である。ボランチの1人は藤田で決まりなので、パートナーがMF末吉になるのか、MF高橋になるのか、MFジョナサンになるのか、ポジション争いが熾烈になっているが、3人ともタイプは異なるので、面白い争いになっている。この試合を見る限り、MF高橋がリードしているように思うが、MFジョナサンにもチャンスはある。
新顔の3人の中で、開幕スタメンの座を勝ち取りそうなのは、鹿屋体育大学出身のDF坂井である。DFキム・クナンがいなくなって、DF小林久とDF木谷とDF金正也のレギュラー争いかと思われたが、DF呂成海とパートナーを組んで、いいプレーを見せた。特に目立つのは、左足の正確なフィードである。左利きのCBでこれだけいいキックを持っている選手は日本人ではほとんどいないので、大きな武器である。
プレシーズンマッチとは思えないほど、激しい局面が多くて、見どころは多かったが、気になったのは、スカパーのカメラワークである。とにかくボールに寄り過ぎで、最終ラインの選手がボールを持って、前方にパスを出そうとしているときも選手に寄っているので、ボールを蹴る瞬間に前の選手がどういう動きをしているのか、全く分からない状況で、カメラワークは最悪に近かった。
カメラの位置というのは、スタジアムによって変わってくるが、ベストアメニティスタジアムの場合、それほど悪い印象はこれまでなかったので、今シーズンからカメラマンが変わったのか、カメラの位置が変わったのか、原因は分からないが、このカメラワークでは、サッカーの試合を楽しむことはできない。開幕までに改善を期待したいところである。
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