■ 第8節J1の第8節。3勝3敗1分けで勝ち点「10」のセレッソ大阪が、ホームのキンチョウスタジアムでジュビロ磐田と対戦した。磐田は4勝1敗2分けで勝ち点「14」。森下監督が就任した磐田は、静岡ダービーでライバルの清水エスパルスに敗れて、今シーズン初黒星を喫したが、次の横浜Fマリノス戦は1対0で勝利した。この試合で勝つと、2位に浮上することができる。
ホームのC大阪は「4-2-3-1」。GKキム・ジンヒョン。DF酒本、茂庭、藤本、丸橋。MF山口螢、扇原、キム・ボギョン、ブランキーニョ、清武。FWケンペス。U-23日本代表のMF山口螢、MF扇原、MF清武は揃ってスタメン出場。DF丸橋が怪我から戻ってきて、久々のスタメン出場となった。MF柿谷、FW播戸らがベンチスタートとなった。
対する磐田は「4-2-3-1」。GK八田。DF駒野、曹秉局、藤田、宮崎。MF小林、山本康、山田、松浦、ペク・ソンドン。FW前田。U-23日本代表候補のFW山崎はベンチスタート。MFロドリゴ・ソウト、MF菅沼、FW阿部らがベンチスタートとなった。日本代表候補のMF山田は横浜FM戦で決勝ゴールを挙げている。
■ C大阪が勝利!!!試合の序盤は磐田のペースとなる。U-23韓国代表のMFペク・ソンドンが積極的にシュートを放って、チームに勢いをもたらす。しかし、先制したのはホームのC大阪で、前半20分に右サイドでボールを持ったMFキム・ボギョンから裏のスペースに走ったMFブランキーニョにパスが渡って、MFブランキーニョの折り返しをMF清武が決めて先制ゴールを奪う。MF清武は今シーズン2ゴール目となった。前半は1対0とC大阪がリードして折り返す。
1点リードのC大阪は、後半2分にMFキム・ボギョンがペナルティエリア内で仕掛けてこぼれたボールをMF扇原が得意の左足で決めて2点目を挙げる。MF扇原は今シーズン初ゴールとなった。さらに後半38分にも、MF清武から右サイドのMFキム・ボギョンにパスが渡ると、MFキム・ボギョンはドリブルで仕掛けてから左足で決めて3点目を奪う。U-23韓国代表のMFキム・ボギョンは、今シーズン6ゴール目となった。
3点差となった磐田は、後半42分に相手のクリアボールをMF山田がダイレクトで鮮やかな左足ボレーを決めて1点を返すと、ロスタイムにもDF曹秉局がヘディングシュートを決めて1点差に迫る。しかし、追いつくことはできず。結局、ホームのC大阪が3対2で勝利して今シーズン4勝目。リーグ戦の連敗を「2」でストップさせた。一方の磐田は、今シーズン2敗目で、2位浮上はならなかった。
■ ゴールを量産するMFキム・ボギョン新潟(H)、鹿島(A)に敗れて連敗中だったC大阪がホームで勝利を飾った。序盤こそ、磐田のプレッシャーの前にリズムをつかめなかったが、前半20分にMF清武のゴールで先制すると、試合の主導権を握った。ただ、前半はMF山田をマークしきれず、MF山田をフリーにする場面も目立ったが、後半になると修正して、MF山田とDF駒野のところを封じることに成功した。1点差に迫られたことは課題と言えるが、内容的には申し分ない試合だった。
勝利の立役者となったのは、3ゴール全てに絡む活躍を見せたMFキム・ボギョンで、自らの左足で3点目のゴールを決めただけでなく、1点目のMF清武と2点目のMF扇原のゴールもお膳立てした。これで、6ゴール目となったが、得点ランキングも2位に浮上し、開幕からゴールを量産している。今シーズンは、主に右サイドハーフでプレーしているが、右サイドで相手と1対1になると、高確率でシュートまで持っていくことができるので、相手にとって脅威の存在となっている。
C大阪は、今シーズンからソアレス監督が就任したが、クルピ前監督の頃と比べると、2列目トリオのポジションチェンジは少なくなっている。したがって、昨シーズンまでと比べると、2列目の選手やFWケンペスが孤立するシーンが増えているが、MFキム・ボギョンは、味方と接近してパスワークで崩すよりも、独力でドリブルで仕掛けて決定機を作るプレーの方が得意なので、今年のやり方の方がMFキム・ボギョンには合っているように思える。
チームメイトのMF清武が、今夏、ブンデスリーガのニュルンベルクに移籍する可能性が高くなっているが、MFキム・ボギョンも同様で、今夏に、海外のクラブに移籍する可能性が出てきた。C大阪にとっては、一大事と言えるが、MFキム・ボギョンも、弱点のほとんど見当たらない選手で、攻撃だけでなく、守備でも貢献できる選手である。彼も、ブンデスリーガならば、ほとんどのクラブでも、レギュラーとして、活躍することができるだろう。
■ コンディションが上がってきたMF清武MFキム・ボギョンと並んで、攻撃の中心のMF清武は、前半20分に先制ゴールを決めて、今シーズン2ゴール目を挙げた。MF清武は、怪我で出遅れていたこともあって、MFキム・ボギョンほど、スーパープレーを見せられていないが、徐々にコンディションも上がってきている。3月頃と比べると、そのパフォーマンスは雲泥の差であり、状態は確実に良くなってきている。
MF清武については、MFキム・ボギョンと比べると、ゴールへの期待感は弱まるが、試合を作ることもできるし、味方を生かすプレーも上手い。もともと、怪我の多い選手なので、怪我だけが心配されるが、彼も海外に進出する準備は整っているといえる。
C大阪というクラブは、海外移籍を推奨するクラブで、近年でも、MF香川、MF乾の二人がドイツに飛び立っている。MF香川のときは、育成費のみで、移籍金は発生しなかったが、MF乾のときは、幾分かの移籍金を獲得している。移籍金を獲ろうとすると、どうしても、シーズン途中に海外に送り出すことが多くなるので、チームつくりは大変だが、億単位の移籍金を獲ることが出来れば、穴埋めのときの難易度も下がってくる。
■ 調子が上がってこないFW前田遼一一方の磐田は、終盤に追い上げたが、届かなかった。初めて日本代表候補に選ばれたMF山田はイージーミスもあったが、スーパーゴールを決めるなど存在感を示したが、エースのFW前田の調子が上がって来なくて、ここ4試合連続でシュートゼロと低調である。今シーズンは、2ゴールを挙げているが、8試合全てでフル出場してシュートが8本だけなので、シュートが打てていない。
FW前田は、身体能力で勝負するストライカーではないので、年齢的な衰えが出にくいタイプに思えるが、昨年の途中あたりから、連続して得点王を取っていた頃の凄さは、なくなってきている。今シーズンから、1トップが基本となって、FW前田の負担が増していることは事実だが、FW金園がいない中で、FW前田が爆発しないと、上位に行くことはできないので、もう少し存在感を発揮したいところである。
今シーズンの磐田は、運動量が多くなって、守備の意識も高まっている。黄金時代の後、ずっと守備に課題を抱えていたので、立て直しに成功した森下監督の手腕は見事と言えるが、攻撃を犠牲にしているところもあるので、今後は、攻撃の形をどう作っていくかが、課題となる。FW前田の状態が上がってくれば、得点力は高まると思うが、MF松浦、MFペク・ソンドン、MF菅沼、MF山崎といった2列目の選手のレベルアップも不可欠といえる。
関連エントリー 2010/01/19
「Jリーグ史上最強のチームはどこか?」を考える。 2010/09/15
【磐田×湘南】 11年ぶりの同期生対決 2nd (生観戦記 #10) 2011/09/29
韓国サッカーとは、どのように付き合っていくべきか? 2011/11/17
クルピ監督の退任とセレッソ大阪の未来について 2011/12/20
乾貴士はドイツでどんな評価をされているのか? 2011/12/26
【天皇杯:C大阪×清水】 進化を続けるMFキム・ボギョン 2012/03/30
MF清武弘嗣はブンデスリーガで活躍できるか? 2012/04/20
サッカーライター・湯浅健二さんのこと
- 関連記事
-