■ 第6節J2の第6節。1勝2敗2分けの栃木SCと、3勝1敗1分けのジェフ千葉が栃木県グリーンスタジアムで対戦した。栃木SCは松田監督になって4年目のシーズンで、千葉は木山監督になって初めてのシーズンとなる。昨シーズンの対戦は、2試合ともに引き分けに終わった。
ホームの栃木SCは「4-2-2-2」。GK武田。DF山形辰、大和田、當間、ユ・デヒョン。MF菅、チャ・ヨンファン、高木和、菊岡。FW棗、廣瀬。ブラジル人のFWサビアはベンチスタート。東京Vから加入のMF菊岡が怪我から戻ってきて初スタメンとなった。昨シーズンは35試合に出場して自己最多の8ゴールを挙げている。
対するアウェーの千葉は「4-4-1-1」。GK岡本。DF大岩、竹内、山口智、山口慶。MF伊藤、佐藤健、レジナルド、深井、兵働。FW藤田祥。新外国人のMFレジナルドは2試合連続スタメン。セリエAのシエナなどでプレーした経験がある。MF兵働が1トップ下で自由に動き回る形となる。U-23日本代表のDF大岩は、前節の徳島戦で2ゴールを挙げる活躍を見せた。
■ 終了間際に決勝ゴール試合は前半18分にアウェーの千葉が先制する。新外国人のMFレジナルドが右サイドから鋭いクロスを入れると、ファーサイドのFW藤田祥が左足でうまく合わせて先制する。FW藤田祥は開幕戦以来のゴールで、今シーズン3ゴール目となった。しかし、前半21分に栃木SCも左サイドでフリーキックを得ると、MF菊岡のボールを新加入のMFチャ・ヨンファンが決めて同点に追いつく。MFチャ・ヨンファンはJリーグ初ゴールとなった。前半は1対1で折り返す。
後半は千葉のペースとなる。攻撃の中心となったのはMFレジナルドとDF大岩のコンビで、二人で右サイドを制圧して、チャンスを作っていく。後半37分には、栃木SCのDF山形辰がペナルティエリアでハンドを犯してPKを獲得するが、FW藤田祥のキックをGK武田がスーパーセーブを見せて勝ち越しならず。FW藤田祥は、PK以外にも何度も決定機を迎えたが、決めることはできなかった。
すると、後半ロスタイムに栃木SCが左サイドでフリーキックを獲得。DFチャ・ヨンファンがゴール前に上げたボールをFW棗が頭で落とすと、途中出場のFWサビアが豪快に右足で決めて終了間際に逆転に成功する。FWサビアは今シーズン初ゴールとなった。試合は、2対1で栃木SCが勝利し、2勝2敗2分けとなった。一方の千葉は、3勝2敗1分け。ホームでは3戦全勝と取りこぼしが無いが、アウェーでは0勝2敗1分けと、今年もアウェーで勝ててない。
■ 初スタメンのMF菊岡がアシスト甲府、大分に敗れて、開幕連敗スタートとなった栃木SCだったが、ここ4試合では2勝2分けで、トータルでも2勝2敗2分けとイーブンの成績に戻して、12位まで順位を上げてきた。栃木SCは、FWリカルド・ロボが抜けた穴を埋める必要があるが、川崎Fからレンタル移籍のFW棗がフォワードのファーストオプションになって、FW棗の高さからチャンスが生まれている。決勝ゴールのシーンも、FW棗がアシストした形になったが、シンプルさが求められる松田監督のサッカーには必要なタイプなので、継続して活躍することが期待される。
MF菊岡が怪我から戻ってきたのも大きかった。今シーズンの補強の目玉で、J2では屈指のチャンスメーカーなので、彼にかかる期待は大きいが、ようやくスタメンで出場できる状態に戻ってきて、さっそく、同点ゴールをアシストする活躍を見せた。栃木SCのサイドは、MF荒堀のような縦への突破を武器にする選手や、MF高木のようにサイドで起点を作るプレーを得意にする選手や、MF河原のようにサイドから切れ込んでいってシュートを狙うプレーを得意にする選手を置くことが多くて、MF菊岡のような選手はいなかった。
したがって、毛色の違う選手なので、ハマるか、ハマらないかは、しばらく様子を見てみないと分からないが、ハマれば、栃木SCのチーム力を大きく向上させることのできる選手といえる。今シーズンは、FW棗、MF荒堀、MFチャ・ヨンファン、DFユ・デヒョンなど、若い選手が増えてきて、運動量や走力のある選手が多くなった。中堅となったMF菊岡がどこまで彼らをコントロールできるかに注目したいところである。
■ 不安要素のセンターバック一方、栃木SCはセンターバックに怪我人が出ており、もっとも不安なポジションになっている。オフにDF大久保を引き抜かれたのが痛かったが、新加入のDF柳川が長期離脱中で、この試合の前半途中にDF大和田も負傷して交代となった。1節の甲府戦と2節の大分戦で守備が不安定だったが、経験豊富なDF大和田を起用したことで、改善の兆しを見せていたので、ここから、DF大和田が戦列を離れるようなことがあると、大きなダメージとなる。
この試合は、サブにディフェンス登録の選手が誰もいなかったので、ボランチのMFチャ・ヨンファンをセンターバックに下げて、MF小野寺をボランチに入れて対応した。MFチャ・ヨンファンは、緊急事態にもかからわず、まずまずのプレーを見せて勝利に貢献したが、できればボランチで起用したい選手なので、若手の台頭に期待したいが、ディフェンス登録の選手は、サイドバックが専門の選手が多いので、新戦力の台頭を望むのは難しい。MFチャ・ヨンファン、DFユ・デヒョンという韓国の大卒コンビがチームに馴染んできて、いい試合ができるようになってきたので、中央の守備は心配の種となる。
■ MFレジナルド一方の千葉は、MFレジナルドを右サイドハーフで起用したが、好プレーを見せた。ブラジル国籍のアタッカーなので、もっとセルフィッシュなタイプかと思っていたが、想像以上にチームプレーができる選手で、どちらかというと、「もっと積極的にシュートを狙ってほしい。」と感じるほど、周りに気を使うタイプのサイドアタッカーで、周りの選手を生かすのが上手である。
もっとも恩恵を受けたのは、U-23日本代表のDF大岩で、この試合は右サイドバックで起用されたが、MFレジナルドとDF大岩のコンビネーションが抜群で、DF大岩がサイドを駆け上がってクロスを送るシーンが目立った。ルーキーのDF大岩は、本職はセンターバックだが、強いキックを蹴ることできる選手で、可能性を感じるクロスが多かった。ミスキックもほとんどなくて、右足のクロスはプロの世界でも大きな武器になるだろう。
千葉は、右サイドハーフがウイークポイントになっていたので、MFレジナルドの加入で戦力アップを果たしたが、右サイドに攻撃が偏っていて、左サイドのMF深井がいい形でボールを持つことができず、試合から消えてしまった。MF深井のコンディションに問題があったのかもしれないが、バランスよく両サイドから攻撃できるようになると、破壊力が増すので、今後は、ボランチの役割が重要になるだろう。
その一方で、使い方が難しくなったのがMF兵働である。トップ下でプレーしたが、トップ下タイプの選手ではないので苦戦した。右サイドからいいクロスが入って来るようになったので、MF兵働のような選手を起用するよりも、FW荒田のような選手がゴール前にいた方が、相手も脅威に感じるだろうし、FW藤田祥の負担を減らすこともできる。MF兵働をボランチに下げるというのも1つのアイディアであるが、山形から加入のMF佐藤健もうまくバランスを取ってプレー出来ているので、ここまでは悪くない。MFレジナルドの加入によって、MF兵働をどこポジションで使えばいいのか、木山監督も頭を悩ませることだろう。
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