■ 組み合わせ抽選会2014年に開催されるブラジルW杯のアジア最終予選の組み合わせ抽選会がマレーシアで開催された。最終予選には10チームが残っており、最新のFIFAランキングによって、第一シードが、オーストラリアと韓国で、第二シードが、日本とイランで、第三シードが、ウズベキスタンとイラクで、第四シードが、ヨルダンとカタールで、第五シードが、オマーンとレバノンとなった。
長らく、FIFAランキングのアジア最上位に位置していた日本だったが、ここに来て、オーストラリアと韓国に抜かれて、第2シードとなった。したがって、同じ第二シードのイランと対戦する可能性はなくなった。抽選会には、イランのマハダビキアと日本の宮本恒靖がドローワーとして参加したが、以下のようなグループ分けと日程になった。
A組 1 韓国
2 イラン
3 ウズベキスタン
4 カタール
5 レバノン
B組 1 豪州
2 日本
3 イラク
4 ヨルダン
5 オマーン
【日程】
2012/06/03 オマーン(H)
2012/06/08 ヨルダン(H)
2012/06/12 オーストラリア(A)
2012/09/11 イラク(H)
2012/11/14 オマーン(A)
2013/03/26 ヨルダン(A)
2013/06/04 オーストラリア(H)
2013/06/11 イラク(A)
■ オーストラリアと同グループアジア予選なので、どういう組み合わせになっても、突破が難しくなるような組み合わせになることは考えにくいが、今回は、恵まれた組み合わせとなった。三次予選は、ウズベキスタン・北朝鮮・シリア(※ 失格)というグループだったので、相当に厳しいグループとなったが、最終予選は、一転して、理想に近いグループ分けとなった。
第二シードに落ちたことで、オーストラリアか、韓国のどちらかと同じグループに入ることになったが、第一シードでも、韓国か、イランのいずれかと、同じグループになったので、大きな差はない。あえて言うと、ザック・ジャパンになってから、2勝1分け(PK勝ちを含む)と負けなしの韓国がもっとも戦いやすい相手であり、もし、日本と同じグループになったら、韓国側には相当にプレッシャーがかかったと思うが、韓国の場合、日本戦になると、特別な意識で臨んでくるので、一筋縄ではいかない。
同じグループとなったオーストラリアは、アジアカップの決勝でも苦しめられたが、主力の高齢化が進んでおり、勢いは感じられない。ロングボール中心のサッカーになることは確実なので、高さ対策が重要で、絶対的な高さを誇るDF闘莉王を代表に復帰させるのかが、注目ポイントになるが、オーソドックスなサッカーをしてくるチームなので、いやらしさはない。3戦目にアウェーでオーストラリアと対戦するが、ホームで連勝できれば、引き分けでもOKという試合になるので、試合の日程も悪くない。
■ ジーコ率いるイラク第3シードは、ウズベキスタンとイラクが入ったが、ジーコ監督率いるイラクと同組となった。ウズベキスタンは、言うまでもなく、先日、ホームで敗れている相手なので、リベンジする機会がなくなったのは残念だが、再戦となれば、ウズベキスタンはいいイメージで試合に入ってくることができるので、イラクの方が戦いやすいチームであることは間違いない。
ただ、油断は禁物である。イラクは伝統的にフィジカルの強いチームであり、技術もしっかりしている。2007年にはアジアカップを制しており、国際大会の経験も積んでいる。2位以内に入ればW杯出場となるが、4戦目のイラクとのホームゲームが、予選の8試合の中では、もっとも重要な試合となる。パス回しのできるチームなので、嫌らしいチームであるが、ホームで戦うことができるので、日本が優勢で試合を運ぶことができるだろう。
■ ヨルダンとオマーン第四シードは、ヨルダンとカタールで、B組にはヨルダンが入った。ヨルダンとは、アジアカップ2011のGLの初戦で対戦したが、このときは大苦戦し、終了間際にDF吉田のゴールで追いついたものの、堅実な守備に苦しめられた。ヨルダンには、GKシャフィという身体能力の高いGKがいて、日本代表はいつも苦しめられている。
同じく、第五シードは、レバノンとオマーンで、B組にはオマーンが入った。オマーンにも、プレミアリーグのウィーガンでレギュラーとして活躍するGKアル・ハブシがいて、守備の堅さに定評がある。日程を見ると、最終予選の初戦でオマーン(H)、2戦目でヨルダン(H)と対戦するが、似たタイプのチームと続けて戦うことになった。GKが強力なので、簡単にゴールを奪える相手ではないが、共に攻撃力のあるチームではないので、焦らず戦うことができれば、問題はないだろう。
問題は焦らずに戦うことができるか、である。失点する可能性はそれほど高くないので、得点を奪うことに力を注ぐことができるが、両チームともアウェーの日本戦はドローでもOKという戦いをしてくるは確実である。引いて守ってくる相手を崩すのは容易では無いので、「0対0で時間だけが進む。」という展開になることも予想される。そんな中で、どこまで我慢できるか。セットプレーも重要になるだろう。
■ 混戦が予想されるグループAグループBは、世界中のほとんどの人が、「オーストラリアと日本で決まり」と思うだろう。現実は、そう簡単に進まないだろうが、恵まれた組み合わせとなった。理想をいうと、オマーンではなくて、レバノンの方が戦いやすい相手なので、レバノンと同じグループになった方が、日本は楽になったと思うが、欲を言ったらキリがない。
逆に、グループAは、混戦必至である。日本が第一シードのままだったならば、日本・イラン・ウズベキスタン・カタール・レバノンという組み合わせも考えられたが、想像したくない組み合わせである。イランは、アジア3強といわれるオーストラリア、日本、韓国に次ぐ実力を持ったチームで、攻撃力がある。特に、テヘランでのアウェーゲームで、勝ち点を獲るのは、至難の業である。メルボルンやソウルで戦うよりも、はるかに大変である。
ウズベキスタンが難敵であることは、言うまでもない。MFジェパロフ、FWゲインリッヒという軸の選手が円熟期を迎えており、W杯初出場のチャンスを迎えている。ウズベキスタンにとっては、厳しいグループに入ったが、グループAを首位で通過しても驚きはないほど、戦力は充実している。アウェーの日本戦のような戦いができれば、韓国にも、イランにも互角以上の戦いができるだろうが、日本戦で監督の目指すコレクティブなサッカーができたのは、スターがいなかったからという側面もある。アジアカップでは、攻撃力をフルに発揮してベスト4に進出したが、スター選手が監督の意図したことを忠実に実行できるか。
不気味なのは、第四シードのカタールである。2022年に自国でのW杯を控えているが、「2022年にW杯に初出場する。」という事態だけは、避けたい。よって、2014年のブラジルW杯か、2018年のロシアW杯のどちらかに出場して、メンツを保たないといけない。オイルマネーを持った国なので、何をするか分からない怖さがある。日本としては、カタールと同組になることを避けられたことが、一番の収穫かもしれない。
第五シードのレバノンは、最終予選に進出した10チームの中で、もっとも力の劣るチームで、実績も乏しい。ただ、アジア三次予選では、韓国・クウェート・UAEという厳しいグループを、2位で通過した。レバノンにとっては、最終予選に進出できたこと自体が快挙といえるが、ホームゲームでは韓国を破って、チョ・ガンレ監督を解任に追い込んでいる。他の国にとっては、勝ち点を計算できる相手といえるが、韓国にとっては因縁の相手であり、できれば、対戦を避けたい相手だっただろう。今回、韓国は厳しいグループに入った。
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