■ 第12節J2の第12節。1勝3敗1分けで18位のコンサドーレ札幌が、昇格1年目のガイナーレ鳥取と対戦。札幌はここまでの5試合で1ゴールのみと攻撃陣に元気がない。鳥取は2勝2敗1分け。アウェーで北九州と横浜FCに勝利している。
ホームの札幌は<4-2-3-1>。GK李昊乗。DF日高、河合、山下、岩沼。MF芳賀、宮澤、古田、高木、近藤。FW三上。サガン鳥栖から移籍のDF日高が右サイドバックでスタメン。MFアンドレジーニョは欠場し、MF高木がトップ下。新外国人のDFチアゴ、MFブルーノはベンチスタート。
対する鳥取は<4-1-4-1>。GK井上。DF丁東浩、喜多、戸川、奥山。MF服部、実信、小井手、キム・ソンミン、美尾。FW梅田。DF加藤が欠場し、DF奥山が左サイドバックでスタメン。韓国出身で19歳のMFキム・ソンミンがスタメン出場。元日本代表のFW岡野はベンチスタート。
■ 札幌が快勝試合は前半6分に札幌が先制する。右サイドでMF古田がボールを持つと、右サイドの奥のFW三上にミドルパス。このボールを鳥取のGK井上が飛び出してクリアしようとするが、ややスタートが遅れてFW三上にアタックできず。ボールを受けたFW三上が無人のゴールに流し込んで札幌が先制する。FW三上は今シーズン初ゴール。
その後は、アウェーの鳥取がボールを支配して攻め込んでいく。1トップのFW梅田のポストプレーが効果的で、そこにMFキム・ソンミン、MF美尾らが絡んできて、何度かいい形を作る。しかし、前半は1対0の札幌リードのままで終了する。
後半も立ち上がりから鳥取がボールを持って攻め込んでくるが、徐々に札幌も鳥取の攻撃に慣れてきて、鳥取が攻めきれなくなってくる。すると、後半15分に札幌がカウンター。右サイドをきれいに崩してオーバーラップしてきたDF日高のクロスを上げると、ファーサイドのFW三上が頭で決めて追加点を挙げる。FW三上は2ゴール目。
これで、完全に意気消沈した鳥取に対して、残りの時間は札幌が試合を支配する。追加点こそならなかったが、そのまま2対0で札幌が勝利し、今シーズン2勝目を挙げた。一方の鳥取はシュートこそ17本と、札幌の9本を大きく上回ったが、うまく崩し切れず。2勝3敗1分けとなった。
■ 札幌は2勝目昇格初年度ながら、いいスタートを切っている鳥取を札幌ドームに迎えた札幌だったが、序盤から気合の入ったプレーを見せて、2対0で勝利。期待のFW三上が2ゴールを挙げるなど、久々にいい試合を見せて、今シーズン2勝目を飾った。
前半の早い時間に先制点を奪った後は、やや引き気味になって鳥取にボールを持たれる時間が増えたが、最後のところでは、DF河合とDF山下のセンターバックコンビが無難に対応しており、被シュート数こそ多かったが、危ないシーンはそれほどなく、貫録勝ちだった。
DF日高、DF山下、DF河合、DF岩沼の4バックは、DF岩沼を除くと新加入選手で、C大阪から移籍のDF山下もほとんど実績のない選手なので、シーズン前は不安視されていたが、6試合で4失点。DF山下もここまでの6試合はフル出場。開幕戦の愛媛FC戦こそ、散々な出来だったが、その後は、ベテランのDF河合にも助けられて、落ち着いたプレーを見せている。
■ FW三上陽輔 2ゴールの活躍攻撃陣も、期待の新人のFW三上が2ゴールの活躍。1点目はDFラインの裏に飛び出して、GKを冷静にかわしてから無人のゴールに流し込み、2点目は右からのクロスをうまく頭で合わせた。1点目、2点目共にセンスを感じさせるファインゴールだったといえる。
FW三上はコンサドーレのユース出身のルーキーであるが、高校3年生だった昨シーズンから、試合に出場しており、10試合で3ゴールをマーク。開幕戦こそ、出番がなかったが、再開後は先発出場が続いており、期待が大きい選手であるが、ここまでゴールなし。1トップを任されており、プレッシャーも大きかったと思われるので、本人にとっても一安心のゴールとなった。
ドリブルでの突破や、ミドルシュートに秀でたものがあるので、1.5列目や2列目で持ち味を発揮するタイプなので、1トップというのは気の毒な気もするが、石崎監督は、「十分に1トップでもやれる。」と判断しているのだろう。ここまでは我慢して起用しており、やっと結果に結びついた。圧倒的な高さや強さがあるわけではないので、難しい部分もあるが、自分なりのプレーを見せて、新たな1トップ像をピッチで表現してもらいたいところである。
■ MF高木がトップ下札幌は、1トップ下のMF高木純平も好プレーを見せた。右サイドのMF古田はアシストこそしたが、あまり持ち味を出せなかったが、MF高木は運動量豊富で、攻撃でいい流れを作っていた。
8節、9節、10節は、右サイドバックでプレーしたが、11節のロアッソ熊本戦からDF日高が戻ってきて、右サイドバックで起用されるようになったので、MF高木のポジションも移動することになったが、攻撃が硬直しがちな札幌にとっては、トップ下の位置でかき回せるMF高木は前目で使いたいところであり、この試合は十分に期待に応えた。
■ 攻めきれずにノーゴール対する鳥取は、ボールを持つ時間は長かったが、なかなか崩し切れなかった。ゴールを奪うチャンスがあったのは、前半30分あたりから後半10分あたりまでの「25分間」くらいで、このときに、もう少し相手に圧力を加えられれば、ネットを揺らすシーンを作れたかもしれないが、圧力は加えられず。流れを失いかけている時間帯に追加点を奪われて万事休すとなった。
鳥取は、<4-1-4-1>の布陣で、1ボランチのMF服部の前に、MF実信、MF小井手、MFキム・ソンミン、MF美尾の4人を置いているが、この日は、MF実信のプレーが今一つで、ミスが目立った。4人ともに、技術のある選手なので、ボールが持てるので支配率は上がるが、ゴール前が薄くなりがちである。1トップのFW梅田は奮闘していたが、FW梅田だけでは厳しく、もう少しフォワードに近い位置でプレーできる選手が求められる。
物足りなかった中盤に対して、左サイドバックで起用されたDF奥山は鋭いドリブルで攻撃にアクセントを加えた。もともと中盤の選手で、DF加藤が欠場したため出番が回ってきたが、慣れないポジションにもかかわらず、守備に追われることなく高い位置をキープし、攻撃的な良さを出すことに成功した。
■ FW岡野は見せ場を作れずコンサドーレ札幌にはFW中山雅史が所属しており、ガイナーレ鳥取にも、MF服部年宏、FW岡野雅行がいるので、両チームの対戦は、日本代表としてワールドカップに出場した選手が3人もいるという豪華なカードであるが、FW中山はベンチ外となったが、MF服部はスタメンフル出場、FW岡野も後半36分からピッチに立った。
2点ビハインドの状況で、全体の運動量が低下しており、厳しいシチュエーションでの投入となったので、FW岡野も持ち味を発揮できなかったが、このクラスの選手になると、プレーしている姿、走っている姿をを見られるだけでも価値がある。末永く、プレーしてもらいたいところである。
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