■ アルアイン戦2010年のリーグ戦王者の名古屋グランパスが、UAEのアルアインと対戦。この試合は3月15日(火)に開催が予定されていたが、震災の影響で延期になっていた。
2年ぶりのアジアの舞台となった名古屋であるが、初戦はアウェーで中国の杭州緑城に0対2で敗戦。さらに、先日の水曜日に行われたホームでのFCソウル戦も1対1のドロー。1敗1分けのスタートとなった。FCソウルが2勝1分け、杭州緑城が1勝1敗1分と勝ち点で差をつけられているので、アルアインに勝って杭州緑城に勝ち点で並びたい大切な試合となる。
名古屋は<4-2-2-2>。GK楢崎。田中隼、闘莉王、増川、阿部。MF中村直、小川、金崎、藤本。FW永井、ケネディ。FW玉田は怪我のため欠場。FW永井はソウル戦でプロ初ゴールをマークしている。18歳のMF吉田がベンチ入り。
■ ホームで快勝序盤は名古屋の動きが重く、アルアインが優勢。たびたびチャンスを作られる。しかし、前半27分に右サイドでボールを受けたMF藤本がタメを作って中央のFWケネディにボールを送ると、FWケネディが絶妙のトラップで相手をかわしてMF金崎にスルーパス。MF金崎がGKをかわして左足で冷静に決めて名古屋が先制する。
先制されたアルアインは、その後もいい連携から何度かビッグチャンスを作って名古屋のゴールを脅かすが、シュート精度を欠いて追いつくことはできない。すると、前半のロスタイムに左サイドバックのDF阿部がクロスを上げると、飛び込んできたMF金崎がうまく頭で合わせて2点目を挙げる。前半は2対0で名古屋がリードして折り返す。
追加点でで楽になった名古屋は後半16分にも追加点を挙げる。左サイドでコーナーキックを獲得すると、フリーになっていたDF闘莉王が飛び込んでくる。DF闘莉王はうまくシュートに持ち込めなかったが、その裏にポジションを取っていたDF増川がニアサイドにクロス。このプレーが相手のオウンゴールを誘って3対0と突き放す。
とどめは後半32分。MF藤本がドリブルで仕掛けてゴール前の絶好の位置でフリーキックを獲得すると、MF藤本が得意の左足で直接決めて4点目を挙げる。MF藤本は移籍後初ゴール。その後もチャンスを作った名古屋が終わってみれば4対0で圧勝し、グループ3戦目にして初勝利を挙げて、1勝1敗1分けの勝ち点「4」。グループで3位に浮上した。
■ 久々のゴールラッシュゼロックスは鹿島アントラーズにPK戦の末に勝利したが、90分間での勝利は今シーズンはゼロで、本来の戦い方が出来ていなかった名古屋であるが、難敵と思われたアルアインに完勝。次週の第4節はアウェーでFCソウルと対戦するが、この試合で勝てば2勝1敗1分けで並び、対戦成績が1勝1分けとなるため、FCソウルを上回ることができる。グループリーグ突破の道が開けてきたといえる。
前半の内容はあまり褒められたものではなくて、再三、ピンチを作られたが、相手のシュートミスやGK楢崎のセーブにも助けられて2対0で折り返すと、心理的なプレッシャーからも解放されたのか、一転、後半は名古屋のペースとなった。結果が残せていなかったMF金崎、MF藤本といった選手がゴールを奪えたことも大きく、若手のMF吉田、MF磯村という若手を試すことができたのも大きく、収穫の多い試合となった。
移籍後の初ゴールを挙げた日本代表のMF藤本は、前半こそ、なかなかチャンスに絡めなかったが、スペースの出来た後半は何度もらしいプレーを見せて、実力を示した。<4-2-2-2>に変更になったが、ボランチの位置でバランスを取っている時間もあって、そのときは、持ち味を出せなかったが、やはり、前目のポジションに入って攻撃に重きを置ける展開になると、「違い」を出すことはできる。
■ 金崎夢生 2ゴールの活躍大きかったのは、前半のMF金崎の2ゴールであり、決定機を逃し続けたアルアインを尻目に、確実にネットを揺らしたMF金崎の活躍が輝く試合となった。<4-2-2-2>になったことで、MF金崎はサイドハーフになったが、右ウイングのときと比べると、周囲にスペースがあるので、個人技を発揮しやすい環境といえる。
右ウイングに入るときは、縦に仕掛けるのが仕事となるが、右サイドバックのDF田中隼との関係がスムーズではないので、右サイドが交通渋滞を起こしてしまうことも多かったが、サイドハーフになると、右サイドに張るだけでゃなく、もっと自由にプレーできるので、MF金崎もプレーしやすそう。2つのゴールともに、いいタイミングでゴール前に顔を出してネットを揺らした。
MF金崎はロンドン世代であり、日本代表でも5試合に出場している。昨年10月のアウェーの韓国戦でも途中出場しており、ザッケロー二監督の期待も大きいが、やや伸び悩み気味で、直近の日本代表はおろか、五輪代表にも召集されていない。ドリブルで突破するまでは問題ないが、その先のラストパスやシュートでアイディアを欠くシーンが多く、攻撃的なセンスがあるのか、無いのか、よく分からない状態になっていたが、この試合のようにゴールシーンに絡めるようになると、鬼に金棒となる。
1989年の早生まれなので、MF香川、FW永井、GK権田といったメンバーと同じで一番上の学年になるので、少なくとも五輪代表では、中心になってプレーしなければならない選手である。いろいろな事情はあると思うが、攻撃力は捨てがたく、代表に絡んできてほしいところである。
■ 気がかりなのはFWケネディ気になるのは、FWケネディの動きであり、アシストは記録したが、去年までの迫力はなくて、なかなかゴール前で仕事ができていない。相手チームのマークも厳しいが、コンディションの問題もあって、冴えないプレーが続いており、まだ、今シーズンゴールはない。
2トップにしろ、3トップにしろ、FWケネディがフォワードの軸となるのは間違いない。特に、今シーズンは、FW巻佑樹が湘南ベルマーレにレンタル移籍しているので、代わりがいない状況である。高さのあるFW巻がいないことは、攻撃のオプションが減ったという意味でも、今後、響いてくる試合がありそうであるが、それ以上に、FWケネディのパフォーマンスが上がってこないと、波に乗ることはできない。
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