■ 期待外れの試合先日のブルガリア戦では、FW玉田、FW巻、MF遠藤、MF村井、MF阿部らメンバー入りかどうかの当落線上の選手達が先発メンバーとなって、久々にダイナミックな攻撃的なサッカーを仕掛けた日本代表。敗れはしたものの、内容のあるサッカーでドイツ大会へ向けて、上々の滑り出しを見せた。
土曜日のキリンカップ・スコットランド戦でも、内容のあるサッカーで勝利をつかむことが期待されたが・・・。
先発出場は、FW巻に代わってFW久保、MF阿部に代わってMF小笠原、MF村井に代わってMF三都主、DF田中に代わってMF小野が入り、<4-2-2-2>のフォーメーションでスタートした。
■ 問題が山積みの攻撃陣スコットランドは、ブルガリアほど個々の技術がないため、単純にサイドに展開してクロスを上げてゴール前に飛び込む戦法。守備陣は、DF中澤とDF宮本を中心によく守って、ほとんど決定機はなかった。中澤の調子は、報道されているほど悪くはない。中澤に関しては、本番でも大丈夫だろう。
問題は攻撃陣である。
ブルガリア戦の後に、コンディションを初戦のオーストラリア戦でピークにもっていくために、過度なトレーニングをつんだため、この試合では、疲労がピークだったのだろうと推測する。そうでないと、これだけ運動量が乏しく、モチベーションの低い試合を、国内ラストマッチで披露するとは考えられないし、説明が出来ない。とにかく、この日の攻撃陣のプレーはひどかった。
■ 小笠原・久保・玉田名指しで批判する。まず、MF小笠原のプレー姿勢に失望した。小笠原は常々、「海外組が帰ってきたら、彼らが即レギュラーで起用されるのはおかしい。」と言ってきた。その考え方は、間違ってはいない。しかし、今日の小笠原のプレーをベンチで見ていた長谷部や阿部はこう思っただろう。「どれだけ、ボクらが活躍しても、結局、あの人は安泰なのかよ」と。
これまで、ベンチでずっと悔しい思いをしてきたのなら、この日、ベンチに座っていた長谷部や阿部の気持ちがよく分かるはずである。この日の小笠原には、日の丸を付けてプレーをする資格はなかった。
そして、久保。怪我の再発を恐れて、「慎重にプレーしなさい。」という指示が出ていたのなら、この日の低調なプレーでも納得できるが、代表の試合はリハビリの場ではない。11人全てが、100%のコンディションで戦っても、それでもなお、ドイツ大会でグループリーグを突破できるとは限らない。コンディションが整わないのであれば、勇気をもって辞退すべきだ。
はっきり言って、僕は、ドイツ大会で、久保の腰の具合と心中するつもりは無い。巻が、必死の形相で戦う姿勢を、ベンチで久保はどう思って見ていたのだろうか?
最後に玉田。ブルガリア戦で見せた闘争心は影を潜めて、90分を通して、ほとんどピッチ上で彼の存在を確認できなかった。自身にとって一番大切な試合で、これだけのパフォーマンスしか出来ないのであれば、メンタル的に問題があるとは言わざるえない。
■ 少なくない収穫この試合では、完全にお荷物になった選手が3人もいながら、それでも、欧州の中堅国相手に、終始、試合の主導権が握れたことは、素直に評価したい。これは、イコール、それ以外の選手のがんばりによるものである。
まず、ディフェンスラインの4人の集中力とプレー意欲は素晴らしかった。ブルガリア戦の偶発的な2失点で、「守備が不安定」と書いてしまう日本サッカーマスコミのレベルの低さへの怒りも感じられた。
攻撃時に、加地と三都主がワイドな位置から積極的に上がっていって、実質2バックになる超攻撃型のサッカーは、明らかに世界の主流のサッカーとは異なるが、これは、中盤の選手のキープ力と構成力があってこそできる戦術であり、日本オリジナルのサッカーである。
確かにカウンターへの対応には不安が残るが、それはもう割り切っていくしかない。みんなで引いて守るサッカーよりも、よほど感動が得られるだろう。
もうひとつ良かったのは、2列目の選手が後ろを向いてボールを受けたとき、まわりの選手へのサポートが非常に速かったこと。おそらく、ジーコはこのキリンカップ前からの合宿で、口を酸っぱくして、「サポート。」「サポート。」と言って、選手全員に徹底したのだろう。
ブルガリア戦でもそうだったが、相手に引かれたときでも、何とか中盤の選手の技巧とアイディアでシュートシーンにまで持っていけるようになった。これは、トルシエの時にはなかったことで、ジーコになってから進歩した部分である。ジーコのサッカーに戦術や決まりごとが無いといっている人は、もう一度、よく、試合を見直したほうがいいだろう。
■ 気を取り直して考えよう。気を取り直して考えよう。このキリンカップはただの国際親善試合にすぎない。日テレにつられて、勝敗に一喜一憂する必要は無い。
この試合の日本代表には、リフレッシュした状態で決戦の日を待つ、MF中田英寿、MF中村俊輔がいなかった。そして、この試合では最低のパフォーマンスを見せた小笠原と玉田も、きっとドイツのピッチでは自身のベストのパフォーマンスを披露してくれるはずだ。信じて期待しよう。
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