■ 最後のアピール立ち上がり、ブルガリア代表にあっさり先制されるも、その後、日本代表は落ち着きを取り戻す。攻撃陣は最終メンバー入りに向けて、当落線上の選手がほとんどで、懸命のアピールを行った。試合は、ロスタイムに勝ち越しゴールを奪われたが、ジーコジャパンとしては、久々に見所の多い面白い試合だった。
この試合はトップ下には遠藤が入ったが、遠藤がうまく前線とボランチとのリンクマンとなって、攻撃を活性化した。ボランチからの縦パス→ポストプレー→ダイレクトの落とし→前を向いてMFがボールをもつ、というチームとしての連動性が見て取れたのは大いなる収穫であった。
もう一つ、チーム全体でいうと、ディフェンスラインがこれまでよりも、かなり高く設定されていた点にも注目したい。「コンパクトにサッカーができない」というのが、ジーコ日本代表の悩みだったが、これは本大会までには解消されそうで、楽しみである。
■ 圧巻の玉田個人ではなんといっても玉田。こんなに、やる気に満ちていて素晴らしい出来の玉田は初めて見た。いつも、こんなプレーを見せてくれたら、代表のレギュラーは安泰である。
下がってボールを受けたときに、簡単にはたくところと、対面のDFを抜きにかかるかの判断が正確で、ドリブルで仕掛けたときの打開率は、8割を超えていただろう。玉田が、ドイツW杯で、この日のようなプレーが出来れば、世界中に衝撃を与えられるだろう。
オーストラリアやクロアチアといった、馬鹿でかいDFを相手にしたとき、玉田のドリブルとスピードが大きな武器になるだろう、ということを確信した。
■ 復調気配の小野伸二もう一人、小野伸二も良かった。ようやく、以前の小野のプレーが戻ってきたなという印象。ワンタッチコントロールで、相手DFFをかわすプレーは、相手のプレスが強くなればなるほど、有効になるだろう。スタメンなのか、スーパーサブなのか、ジーコは、どう考えているのだろうか?
ただ、チーム全体で見ると、小笠原と小野が入って4バックになってからの時間帯は、守備のダイナミズムが失われたように思う。ストレートにいうと、小笠原がいまひとつだった。小笠原という選手は、サブから使っても、それほど効果的だとは思えないが・・・。
■ 玉田への期待巻のゴールで追いついた後、FW佐藤寿人やMF長谷部誠を投入したが、それほど効果はなかった。その要因の1つは、攻撃の軸となっていたFW玉田が完全にスタミナを失っていて、攻撃に絡めなかったことだと思われる。
おそらく、ジーコ監督も、玉田のスタミナが切れていたことは十分に理解していただろう。けれども、玉田が、いいイメージでドイツに行くために、なんとしても、この試合でゴールを決めて欲しかったんだろう。それは、ジーコが玉田に特別な期待をかけている証拠であり、大きな期待をかけるだけのポテンシャルをもつことを、この試合の玉田は、十二分に示した。
■ FWの椅子をめぐる枠これで、FWの座をめぐる争いは、いっそう激しくなった。柳沢、高原、大黒、久保の4人が当確だといわれていたが、おそらく、ジーコの頭の中のメモでは、違ったメンバーが書かれているのだろう。柳沢、高原、玉田は当確で、大黒 or 佐藤、巻 or 久保の争いになってきているのではないかと推測する。ここにきて、当確と見られていた、FW久保やMF稲本、MF松井にも落選の可能性が出てきた。
本日は、親善試合なので、特別、勝敗に関しての、特に興味はなし。この試合は、FW玉田の素晴らしいプレーを感嘆しながら見るための試合だった。このまま、地道に合宿を重ねていけば、ドイツでは、日本らしいサッカーができそうだという、息吹が感じられて良かった。
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