■ 準々決勝天皇杯の準々決勝。大宮、FC東京を下して準決勝に進んできたJ2王者のベガルタ仙台が、ホームのユアテックスタジアムで川崎フロンターレと対戦。リーグ戦ではまたしても2位に終わった川崎Fは悲願のタイトル獲得へあと3つ。
ホームの仙台は<4-2-2-2>。GK林。DF菅井、渡辺、エリゼウ、朴柱成。MF千葉、田村、関口、梁勇基。FW中島、中原。FW平瀬、FWマルセロ・ソアレスはベンチスタート。MF富田は欠場。
対するアウェーの川崎Fも<4-2-2-2>。GK川島。DF森、寺田、伊藤、村上。MF谷口、中村憲、田坂、レナチーニョ。FW鄭大世、黒津。FWジュニーニョは怪我のため欠場。リーグ戦の終盤はスタメンを外れることが増えていたMF谷口がスタメン復帰。FW黒津が代役でスタメン。
■ 平瀬が決勝弾序盤から攻守の切り替えの早い目まぐるしい展開になるが、前半35分にFW中島が決めてホームの仙台が先制する。前半は1対0の仙台リードで終了。
後半に入ってから、仙台はカウンターから何度もチャンスを作るが、川崎Fの日本代表GK川島がファインセーブを見せてゴールを許さない。1対0のまま進んで仙台が逃げ切りかと思われた後半44分に、川崎Fがクロスボールに対して飛び出した仙台GK林が触れずに流れたボールを、MF村上が左足で決めて同点に追い付く。1対1で試合は延長戦に突入する。
後半中盤から足が止まり始めて劣勢になっていた仙台であるが、延長後半3分に左サイドでボールを持ったMF関口がニアにクロスを送ると、飛び込んだ途中出場のFW平瀬が頭で決めて勝ち越しに成功。2対1とする。
残り12分間は川崎Fが攻め込んだが、決定機は作れず。仙台が2対1で勝利し、ベスト4進出。タイトルも見えてきた。
■ ベスト4入り勢いに乗る仙台は大宮、FC東京に続いて川崎Fも撃破。J1勢に3連勝し、チーム史上初のベスト4に進出。天皇杯に優勝すればACLの出場権獲得となるが、アジアのステージも見えてきた。
ホームで戦える利点もあったが、試合は終始、仙台ペース。1対0とリードした後半途中にスタミナの切れ始めたFW中原とFW中原を交代させて、FWマルセロ・ソアレスとFW平瀬を投入。この交代があまりうまくいかず、MF梁とMF関口の運動量も落ち始めたこともあって、後半の終盤は川崎Fに攻め込まれて追いつかれたが、延長後半に途中出場のFW平瀬が値千金のゴールを決めた。
初タイトルを目指してモチベーションが高かったはずの川崎Fに対して、ラインを下げてゆっくりした展開に持ち込むかと思われたが、予想に反して、序盤から打ち合いを演じた。川崎Fの得意とする流れになって危うい感じもしたが、真っ向勝負で価値のある勝利を得た。
もちろん、タイトルとACL出場権のかかる天皇杯も大切であるが、仙台にとってより重要なのはは2010年のリーグ戦である。勝ち進んでいること以上に、J1勢とも闘えるという自信をつかんだことの意味の方が大きい。
■ ベテランの決勝ゴール決勝ゴールを決めたのはベテランのFW平瀬智行。元日本代表で鹿島時代にタイトル獲得経験の豊富なFW平瀬が大一番で大きな仕事をした。
FW中原、FW中島がこの日はスタメンに入ってベンチスタートとなったが、見事に結果を残した。ニアサイドへのクロスに対して上手く相手とのポジション争いを制して、最高のコースにヘディングシュートを流し込んだ。それまでの時間、再三、ファインセーブを見せていた川崎FのGK川島もどうすることも出来なかった。
仙台は2トップが基本。2トップには前線からの積極的な守備が求められて、非常に負担が激しいポジションである。2トップが試合途中でベンチに退くケースがほとんどで、FW中島、FW中原、FWマルセロ・ソアレス、FW平瀬とタイプの異なる同レベルの選手が揃ってるのが仙台の1つの強みである。逆に言うと、「特出した誰か」がいないのが弱みではあるが、スタミナを気にせずに前半からペースを上げていくことの出来るメリットがある。
この試合は途中から入ったFWマルセロ・ソアレスのフィット感がイマひとつで、これが同点に追いつかれる1つの要因になったので、使い分けは難しくリスクも伴うが、少なくとも2009年シーズンは使い分けが上手くいった。かつてのような得点力はなくなったものの、味方を使うのがうまいFW平瀬の貢献度は高く、彼の経験はJ1で戦っていく上、大きなものである。
■ ブレーキになった黒津川崎Fは、FWジュニーニョの代わりにスタメンに入ったFW黒津がブレーキになった。何度かシュートチャンスを迎えたが思い切りが悪く、攻撃のリズムを崩す要因の1つになった。延長戦の開始直後には決定的なヘディングシュートもあったが、枠をそれてしまった。
2007年は日本代表候補にも選ばれたFW黒津であったが、FW鄭大世がブレーク。ここ2年半ほどはベンチ暮らしが続いている。「黒津なら、どのクラブに行ってもレギュラーを取れるのでもったいない。」という声も聞かれる。昨年に続いて、「出場機会を求めて今オフも移籍先を探るのではないか?」といわれているが、ここ最近のプレーをみていると、移籍先で華々しい活躍を見せるのはやや厳しいのではないかとも感じられる。
■ タイトルならずシーズンの終盤まで、ACL、リーグ戦、ナビスコ、天皇杯の4冠の可能性を持っていた川崎Fであるが、ACLはベスト8、リーグ戦とナビスコは準優勝、天皇杯がベスト8と、またもやタイトルには届かなかった。4つの大会の成績をトータルで見ると素晴らしいものであり、特に不満を覚えるような成績でもないが、またしてもタイトルに届かなかったことがマイナスイメージとして残る。
ヘンな流れを振り切るには、1つタイトルを取るしかないが、1つタイトルを取り逃すことで次のハードルがさらに高くなっていく。
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