■ 開幕カード③昨シーズンは最終節の奇跡的な逆転劇でJ1に踏みとどまったジェフ千葉。オフには、MFアレックス、MF中後、DF福元らを獲得し、パワーアップを図った。
対するはACL王者のガンバ大阪。悲願のACLとリーグ戦のダブルタイトル獲得に向けて、FWレアンドロ、FWチョ・ジェジン、DF高木和道らを補強し、鹿島アントラーズとともに優勝候補の一角と目される。
ともにオフに期待の新戦力を迎えているが、プレシーズンで結果は出ておらず、不安が残る形で開幕を迎えた。
■ レアンドロがスタメンホームのジェフ千葉は<4-4-1-1>。GK櫛野。DF坂本、池田、ボスナー、青木良。MF下村、アレックス、工藤、谷澤。FW深井、巻。柏から獲得したMFアレックスはボランチでの起用。鹿島から獲得したMF中後はベンチスタート。MFミシェウ、FW新居もベンチスタート。
アウェーのガンバ大阪は<4-4-2>。GK藤ヶ谷。DF加地、山口、パク、安田。MF明神、遠藤、橋本、寺田。FWルーカス、レアンドロ。怪我のためゼロックス・スーパーカップを欠場していたFWレアンドロはぶっつけ本番でスタメン起用。同じく怪我で離脱していたFWチョ・ジェジンもベンチ入り。センターバックでDF山口とコンビを組むのはDF高木でもDF中澤でもなく、韓国代表経験のあるDFパク・ドンヒョク。
■ レアンドロの先制ゴールこの試合は前半からG大阪のペース。ゼロックス・スーパーカップでの鹿島戦とは違って、チーム全体の動きが良く、攻守の切り替えの早いサッカーを見せる。
順調なスタートを切ったG大阪だったが、前半25分にDF加地が負傷退場。思わぬ誤算となったが、ここで西野監督はDF加地に代えてFWチョ・ジェジンを投入。この思い切った起用がこの試合では成功した。
前半37分に、FWルーカス → FWチョジェジン → FWルーカス → FWレアンドロの外国籍トリオの連携からFWレアンドロがゴール前で押し込んで先制。G大阪の1点リードで前半を折り返す。
■ 明神のゴールでダメ押し前半終了間際にFW巻とFW深井がゴール前で同点の絶好のチャンスをつかんだものの決め切れなかったジェフ千葉。後半にMFミシェウ、MF中後、FW新居といったベンチメンバーを活用して追いつきたいところだったが、後半1分にセットプレーからMF明神のゴールを許し2点ビハインドとなる。
後半18分に千葉は攻撃的MFで機能していなかったMF工藤を下げて若いMF米倉を投入。反撃に出たいところだったが、後半22分に再びセットプレーからFWチョ・ジェジンに決められて3対0となる。
結局、千葉は最後までリズムをつかめずに無得点。開幕戦の勝利はならなかった。
■ プラン・ミスのジェフ千葉ジェフ千葉はスタメン起用も考えられたMF中後がベンチスタート。柏から移籍のMFアレックスを除く他の10人は、昨シーズンからチームに所属したメンバーがスタメンで継続性を重視したがうまくいかなかった。
ミラー監督のサッカーでは、素早い「守」から「攻」への切り替えが求められるが、うまくいかない試合のほとんどは、奪ったボールを確実につなぐことができずに安易に縦に蹴りこんでしまって相手にボールを渡してしまうことが多いが、この試合の前半も、その典型的な悪い流れとなった。
最終ラインの4人とダブルボランチの計6人の中で、相手に厳しいマークを受けた時でも慌てずに正確に味方につなぐ能力を持つのは、この試合ではMFアレックスのみ。ビルドアップのトレーニングが十分になされていればオートマチックにボールを回すことも出来るが、そこまで成熟しておらず、MFアレックス以外の5人はG大阪に前からプレッシャーをかけられて簡単にボールを失った。
■ 孤立した巻誠一郎同じく千葉の悪いリズムのときの典型であるが、1トップ気味に構えるFW巻が孤立し、十分なサポートが出来なかった。トップ下に近い位置に入ったFW深井は自由にポジションを移して攻撃の形作りに奔走したが、その分、FW巻との関係が希薄になった。
昨シーズン、左サイドで大活躍したMF谷澤も思うような形でボールを受けられずに見せ場は作れず、右攻撃的MFで起用されたMF工藤は判断ミスが多くブレーキになった。
唯一の光明はMF工藤の交代で入ったMF米倉のプレー。MF工藤、MFミシェウ、MF谷澤、FW深井と千葉のアタッカー陣はボールを持った時に目立った仕事をするタイプなだけに異なる特徴を持つ。チームの連携が成熟されていない中で、貴重な駒となるかもしれない。
■ レアンドロの効果ゼロックスで鹿島に完敗し先行きを不安視されたG大阪だったが、この試合でその全てを払しょくした。DF加地の怪我は気がかりだが、期待のFWレアンドロとFWチョ・ジェジンの二人が共にゴールを挙げるなど、最高の形で開幕戦を飾った。
DF加地に代わって途中出場したFWチョ・ジェジンの高さや強さが生かされるシーンはセットプレー以外ではなく、G大阪の攻撃のユニットの中にどう組み込んでいくのかは未知数で、FWチョ・ジェジンのスタイルがG大阪の中で生かされるのかどうかは分からない、FWレアンドロは初めての公式戦とは思えないほど、チームメイトとの連携が良かった。
プレシーズンのC大阪戦やゼロックスの鹿島戦では、FW山崎やFWルーカスが前線で起用されたが、どちらかというとチャンスメーカータイプの選手であり、何が何でも自分でゴールを奪おうとする意識は高くなく、チームとしてどういう形でゴールを奪おうとするのかはっきりせずに、ぼやけてしまっているような感じを受けたが、FWレアンドロのゴールへ向かう意識の強さ(=エゴイストな部分)がうまく中盤と噛み合って攻撃が機能した。
■ パク・ドンヒョクのプレーG大阪の収穫の1つといえるのがスタメンで起用されたDFパク・ドンヒョクのプレー。ゼロックスで思うようなパフォーマンスでなかったDF高木とDF中澤との熾烈なポジション争いが続けられているが、この日のパフォーマンスでポジション取りに大きく前進した。
DF山口のパートナー探しを行ってきたG大阪は、昨シーズン、DF水本を獲得したがフィットせず、成長を見せたDF中澤をレギュラーで起用してきたが、世界基準を目指すのであればやや手薄であった。ただ、この日のDFパク・ドンヒョクのプレーを見ると、不安材料の1つが解決したといえるかもしれない。
- 関連記事
-