■ 最終テストマッチ来週の水曜日に行われるW杯アジア最終予選のオーストラリア戦を1週間後に控えて、ヨーロッパのフィンランドと対戦。フィンランド代表の監督は、サンフレッチェ広島やヴィッセル神戸で優秀な成績を残したスチュアート・バクスター氏。
そしてフィンランド代表の中心はMFリトマネン。センセーショナルな攻撃サッカーを見せた90年代中盤んのアヤックスの10番を背負ったスーパースターである。すでに37歳となり、欧州のトップシーンからは離れることになったが、経験と実績はフィンランドの中ではダントツである。
■ 岡崎の2ゴール日本は欧州組は不参加。したがって、国内組のみの先発となった。
GK都築。DF内田、中澤、闘莉王、長友。MF遠藤、橋本、岡崎、中村憲、香川。FW玉田。GK楢崎とGK川口のいないゴールキーパーには、浦和の都築を起用。DF闘莉王とMF遠藤が復帰し、MF橋本が久々のスタメンとなった。
試合は前半15分に右サイドのDF内田のミドルパスを受けたMF岡崎が左足で決めて先制。さらに前半32分にもMF中村憲のパスからMF岡崎が決めて2点目を挙げる。
前半43分には、中盤でプレスをかけて相手のミスを奪うと、ボールを奪ったMF香川が相手2人をドリブルでかわして左足でゴール。3対0で前半を折り返した。
■ 5対1の快勝後半開始はややリズムが悪く、セットプレーからポロカラにゴールを奪われて2点差に迫られるが、後半12分にショートコーナーからDF中澤がヘッドで決めて4対1とする。
その後、MF今野、FW巻、MF安田らバックアッパーを投入。後半42分には左サイドハーフで起用されたMF安田が右足でゴールを決めて5対1とする。
結局、フィンランドに勝利した日本は、オーストラリアとの大一番に向かうことになった。
■ 勢いをつけるための試合細かい部分でのミスはあったが、レギュラー当落線上のMF岡崎とMF香川が前半にチャンスをものにして3点リードを奪った。MF松井、MF大久保、MF中村俊、MF長谷部といった欧州組の中盤の選手が戻ってきたときポジションを守るのは簡単ではないが、少なくとも、岡田監督を悩ませるだけのプレーは見せた。
岡田ジャパンの傾向として、試合の立ち上がりは勢いよく攻め込むが、徐々に失速してムードが悪くなるとパターンが多かったが、この試合は前半15分と前半32分といういい時間帯にMF岡崎が2ゴールを決めて試合の流れを呼び込んだ。
■ 2ゴールの岡崎先日のイエメン戦で初ゴールを挙げたMF岡崎が2ゴールの活躍。2ゴールともに右サイドのポジションから裏のスペースに走り込んで思いきりよくシュートを放った結果、生まれたゴールだった。
岡田ジャパンになってから<4-2-3-1>で中盤の右と左にストライカータイプの選手を起用するケースがあるが、FW大久保を含めてあまりフィットし切れていなかったが、このタイプではFW岡崎がファーストオプションになりつつある。
左MF香川の位置でボールを引きつけて左右の両サイドバックの攻撃参加を促し、両サイドからのボールを右サイドの位置から中央に入り込んでMF岡崎がシュートを狙うパターンが確立されてきた。
ただ、難しいのは、右サイドのポジションはMF中村俊の指定席であり、MF中村俊を外すことは考えにくい。となると、MF中村俊を左サイドに回すのか、MF岡崎を左サイドに回すのか、いずれにしても、ここまで作ってきた形が崩れてしまうのは間違いなく、どれだけ、選手たちが本番で対応できるかが問題になる。
■ ボランチの橋本英郎①イエメン戦のMF青木、バーレーン戦のMF稲本に続いて、この試合はMF橋本が先発。久々の代表マッチで、前半はやや流れに乗り切れなかったが、後半は効果的な攻撃参加を見せるなど、活発な動きを見せた。
チームメイトであるMF遠藤が復帰戦ということもあってやや抑え気味にプレーしていたことも功を奏し、MF橋本は守備的な仕事だけでなく、攻撃的な仕事も行って、なかなか固定しきれない守備的なボランチの有力候補に躍り出た。
■ ボランチの橋本英郎②MF長谷部とMF遠藤がダブルボランチに並ぶケースが一番多いが、他の中盤の選手も含めて、主役級のタレントが集まっているので、リズムが悪くなると途端に個人技が目立ち始めて悪循環に入りやすい岡田ジャパンであるが、この黒子タイプの選手が中盤に1人加入することで、チームとしての広がりをもたらす可能性がある。
守備専のボランチでは、中盤で細かくショートパスをつなぐ岡田ジャパンのサッカーになじめないケースも考えられるが、岡田ジャパン以上に中盤で丁寧にボールを回すG大阪の中盤を支えるMF橋本だけに、その心配は皆無である。
身体的な能力ではMF青木やMF稲本に劣るのは否めないが、非常にバランス感覚に優れた選手であり、イレギュラーな状況に置かれた場面での対応力は日本人の中でも屈指の存在である。オーストラリア戦はMF長谷部の起用が有力であるが、今後に向けて、面白いカードを手に入れたといえる。
■ 自分の仕事を果たしたサブ組1週間後に真剣勝負の舞台が控えていることもあって、DF闘莉王とMF遠藤は後半途中に退いたが、その後に投入された選手がいずれも自分の仕事を果たした。この部分では、チームとして成熟していることを感じさせた。
特に、これまでの岡田ジャパンではいま一つであったMF今野。MF遠藤に代わって後半32分に投入されると、守備の強さと活動範囲の広さでMF中村憲の攻撃的な良さを引き出すことになった。試合終盤にリードしている展開や同点でドローでもOKという場面は、今後、予選の中で出てくるはずであるが、現状、逃げ切りのための戦略が確立されていないだけに、キーマンとなる可能性はある。
■ ゴールキーパーの不安懸念されるのは、またしてもセットプレーで失点を喫したことである。期待されたGK都築は見せ場は少なく、逆にミスが目立つ結果となった。失点シーンはしっかりとパンチ出来ていれば問題なかったが、相手の高さに競り負ける形で不十分なクリアしか出来なかった。
GK楢崎とGK川口がいない中、GK川島とGK都築がプレーしている。ともにJリーグでの実績は申し分なく、実力的には、GK楢崎やGK川口と比べて大きく見劣りするわけではないが、国際舞台ではJリーグとは違った雰囲気であり、このままでは全幅の信頼を置くことはできない。
この試合はGK都築に経験を積ませるためにGK都築を先発させたが、オーストラリア戦を考えるならば、GK川島を先発させた方が無難であった。本番では、難しい決断を迫られることになった。
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