■ 高卒ルーキーのFWブワニカ啓太がゴールゲットホームで甲府と対戦した千葉は後半開始から投入された高卒1年目のFWブワニカ啓太がいきなり同点ゴールをゲットした。鮮烈なJリーグデビューを飾ったが同じように上位候補に挙げられる甲府を相手に悪くない戦いを見せた。後半のアディショナルタイムにMF野津田のPKを止めたGK鈴木椋に助けられたところもあるが内容も結果もまずまずの開幕戦になった。就任2年目の尹晶煥監督にとっては勝負の1年になる。
千葉は今オフも積極的な動きを見せたが経験豊富なCBのDF鈴木大を獲得できたのは大きい。J2でプレーするのは自身初となるが五輪代表や日本代表やスぺイン2部も経験した百戦錬磨のCBである。課題だった守備陣は彼の加入で安定するだろう。攻撃陣は尹サッカーの肝となるサイドハーフの選手がカギを握る。期限付き移籍のMF岩崎、山形から加入したMF末吉塁がまずまずのプレーを見せたのは収穫と言える。
京都を離れた後、出番に恵まれないMF岩崎にとっても勝負の1年になる。定期的に五輪代表に召集されており、五輪代表でいくつかのゴールを記録しているがこのままだと東京五輪のメンバーに選ばれるのは無理である。大きなアピールが必要となるがコンディションはかなり良さそうだ。最大の武器であるスピード感を取り戻しているように思える。左サイドハーフで起用されているが分かりやすい結果を残したい。
■ ついにJ2リーグが開幕J2の開幕節は2月27日(土)と2月28日(日)に行われた。全国各地で計11試合が行われたが新潟・東京V・京都・岡山・群馬・大宮・長崎・FC琉球の8クラブが勝ち点「3」を獲得した。山形・千葉・町田・甲府・松本山雅・山口の6クラブはドロー、秋田・水戸・金沢・磐田・栃木SC・相模原・北九州・愛媛FCは黒星スタートとなった。アウェイで北九州と対戦して4対1で大勝した新潟が昨シーズンに続いて首位発進となった。
前評判の高かったクラブが順当に勝ち点「3」を獲得した試合が多かったが最大のサプライズはFC琉球 vs 磐田になる。前半1分にMF池田廉のゴールで先制に成功したFC琉球がそのまま逃げ切って昇格候補に挙げられる磐田を撃破した。昨シーズンのホームの磐田戦(H)は2対2のドロー。後半35分にFW上原慎のゴールで勝ち越した後、後半41分にFWルキアンに決められて勝利を逃したが磐田相手の初勝利となった。
■ 今シーズンから「4-1-2-3」を採用秋葉監督になって2年目の水戸は今シーズンから「4-1-2-3」を採用している。MF平野佑をアンカーの位置で起用してその前にMF森勇人とMF木村祐を並べる形を試しているが大宮との開幕戦はFW深堀のゴールで先制しながら後半に2失点して逆転負けとなった、後半の頭から登場した「大宮のメッシ」と言われる18歳のMF柴山に翻弄されて勝ち点「0」からのスタートになったが前半は上位候補の大宮を圧倒した。
前半8分に生まれた先制ゴールは鮮やかだった。大宮がカウンターを仕掛けたがFW中野誠のスルーパスをCBのDF住吉ジェラニレショーンがカット。そのボールがうまく下がり目の位置にいたFW安藤瑞のところに渡ってカウンターが発動した。絵に描いたような逆カウンターから最後はFW安藤瑞の絶妙なスルーパスを受けたFW深堀がキーパーとの1対1を落ち着いて決めて開始早々の8分に水戸が先制ゴールを奪った。
「4-1-2-3」というのは近年のJリーグのトレンドになっているが高い位置でボールを奪いやすくてカウンターも仕掛けやすい。逆にアンカーの選手の脇のスペースを利用されやすいのでインサイドハーフでプレーするMF森勇人とMF木村祐の役割は重要になってくるが他にもMF奥田晃、MF金久保順、MF新里涼、MF鈴木喜、MF平塚などがインサイドハーフでプレーできる。2.5列目のポジション争いは面白くなるだろう。
■ 完勝スタートを切った東京ヴェルディJ2がいよいよ開幕した。永井秀樹監督になって3年目となる東京Vはホームの味の素スタジアムで愛媛FCと対戦したが3対0で大勝。好スタートを切った。前半37分にFW小池純のシュートで先制に成功すると前半45分にもFW小池純が決めて追加点を奪った。2017年と2018年は愛媛FCで主力として活躍したFW小池純は古巣である愛媛FCを相手に2ゴールの大活躍だったが2020年も愛媛FC戦(A)でゴールを決めている。
さらに後半21分には相手のクリアミスからMF山本理が決めてダメ押しの3点目を奪った。徳島に移籍したMF藤田譲瑠チマに代わってアンカーの位置で起用された19歳のMF山本理は今シーズンのJ2のブレイク候補の1人に挙げられるが攻守の要として開幕戦から存在感を発揮した。東京Vは昨シーズンの開幕戦はアウェイで徳島に0対3で大敗しているが今シーズンの開幕戦は全く逆のスコアで完勝した。
敗れた愛媛FCは「降格候補の1つ」に挙げている。アカデミー・ヘッド・オブ・コーチングという役職だった和泉氏を監督に据えて21位からの巻き返しを図るが厳しい船出となった。川井監督が退任した愛媛FCは昨シーズンまでとは違って縦に速いサッカーを志向しているが道半ばである。次節はホーム開幕戦。千葉との対戦になるが最低でも勝ち点「1」は獲得したい。出遅れてしまうと挽回するのはかなり難しくなる。
10位 : MF 谷内田哲平 (京都サンガ)→ 帝京長岡高出身のテクニシャン。プロ1年目の2020年はJ2で23試合に出場した。さらなる飛躍が期待されるが新たに就任した曹貴裁監督は教え子であるMF松田天、MF武富、MF白井康、MF中川寛の4人を獲得している。MF福岡慎やMF川崎颯などにも同じことが言えるが十分な出場機会が得られない可能性はある。逆にMF谷内田が曹貴裁監督の要求に応えることができた場合は選手としての格が一気に高まる。
9位 : MF 松田詠太郎 (大宮アルディージャ)→ 横浜FMユース出身。いきなりJ3のSC相模原にレンタル移籍となったが目立った活躍を見せたこともあってすぐに横浜FMに呼び戻された。J1でも15試合に出場して4アシストを記録した。縦への仕掛けが武器となるが大宮にはいないタイプのサイドアタッカーなので重宝される可能性は高い。基本はシャドーの位置になると思うが岩瀬監督が3バックを採用する場合は右WBや左WBで起用される可能性もある。
20位 : MF 岩崎悠人 (ジェフ千葉)→ 超・高校級のストライカーと評されて鳴り物入りで京都に加入したがプロ入り後は伸び悩んだ。札幌ではほとんど試合に絡めず、湘南でも成績を残せなかった。今度はJ2の千葉に期限付き移籍することになったがサイドハーフの選手にハードワークを求める尹サッカーに合いそうな選手である。「ゴール前の肝心なところでエネルギーが残っておらずにラストの精度が落ちる。」という欠点を改善できるか?
19位 : DF 藤谷壮 (ギラヴァンツ北九州)→ 神戸で出場機会に恵まれなかったので「期限付き移籍で神戸を離れること」は考えられたが完全移籍になるとは驚きだった。しかも、移籍先がJ2の中で資金力の乏しいクラブの1つである北九州となったのも驚きだった。DF藤谷壮の移籍はJリーグのオフの移籍市場で実現した移籍の中でも最大級の驚きだったが退路を断ってやるしかない状況である。DF福森健とDF藤原奏が抜けた右SBの定位置を確保したい。
7位 : アルビレックス新潟 ・・・ 7.56位
→ 8番手評価の大宮との差はわずか「0.14」だった。わずかに大宮を上回って新潟が7番手評価となった。やはり大きいのはMF本間至の残留になる。一時は徳島への移籍がほぼ確実となったが急転直下でチームに残った。FW谷口海、MF高宇洋、MF藤原奏という有望株に加えて得点力の高いFW鈴木孝の獲得にも成功した。MF渡邉新やMF中島元やDF新井直などが抜けてしまったが昇格を狙える戦力になった。
6位 : ヴァンフォーレ甲府 ・・・ 6.43位
→ 徳島と福岡がJ1に昇格したので3位の長崎、4位の甲府、5位の北九州あたりが繰り上がって「有力な昇格候補」に挙げられてもおかしくなかったが甲府は主力の退団や流出が目立つオフになった。MF武田将、MF太田修、FWドゥドゥ、DF今津、MF松田力などが抜けている。高評価しにくい状況になっているが安定感はある。FWウィリアン・リラとFWパウロ・バイヤの2人が活躍するようだと自動昇格圏が見えてくる。
14位 : 東京ヴェルディ ・・・ 14.60位
→ 年末年始はクラブ内部の経営問題でゴタゴタした。ネガティブなニュースの多いオフになったが主力の流出はそこまで多くなかった。MF藤田譲瑠チマとMF井上潮が流出したが流出は最小限にとどまった。DFンドカ・ボニフェイス、MF加藤弘、MF梶川などを獲得したが平均予想順位は14.60位。そこまで高い評価ではない。ゴタゴタ劇の印象は良くないが逆境に立たされたクラブが快進撃を見せることは意外と多い。
13位 : ブラウブリッツ秋田 ・・・ 13.86位
→ 2020年のJ3を独走して初昇格を達成した秋田の平均予想順位は13.86位。18名(=15.4%)が19位以下と予想したが7名(=6.0%)が6位以内と予想している。前評判はまずまず高いと言える。2021年のJ2のダークホース的な存在に挙げられる。2020年のJ2は昇格1年目の北九州が主役になったが同じ昇格組の秋田が主役になることは十分に考えられる。FW武やMF普光院などを獲得したオフの補強はほぼ完璧だった。
22位 : SC相模原 ・・・ 20.55位
→ 117名が参加した2021年の順位予想バトル(J2編)の平均予想順位が22クラブの中で最も低くなったのは昇格組のSC相模原で20.53位だった。2020年のJ3の最終節で長野を上回って初昇格を達成したが多くの人がSC相模原を降格候補に挙げている。SC相模原を19位以下と予想したのは103名。88.0%が降格圏と予想しているが下馬評を覆すことは出来るか?SC相模原を1桁順位と予想した人は1人のみだった。
21位 : 愛媛FC ・・・ 20.53位
→ 22番手評価となったSC相模原との差はわずか0.02。稀に見る僅差の勝負になったが何とか競り勝って21番手評価となった。愛媛FCを最下位の22位と予想した人は50名。SC相模原を22位と予想した人は48名だったのでSC相模原よりも多かった。SC相模原と全く同じで88.0%に相当する103名が愛媛FCを19位以下と予想している。2006年からずっとJ2で戦ってきたが「初のJ3降格の最大の危機」を迎えている。