※ 2021年3月6日(土)の時点。
ロアッソ熊本 ・・・ C+
→ 後半戦に大失速してまさかの8位に終わった熊本は大木監督になって2年目のシーズンになる。「J2復帰」というのが最大にして唯一の目標になるが新卒の選手が補強の中心になった。6人の大学生を獲得しており、ともに秀岳館高出身でブラジルからの留学生であるDFレオ・ケンタとMFターレスも獲得した。どちらも日本国籍ではないがそもそもとして外国人選手は他にいないので外国人枠の問題は生じない。
Jリーグで実績のある選手の補強は少なかったがGK佐藤優(千葉)とMF水野泰(藤枝MYFC)を獲得した。一方、他クラブに流出したのはFW谷口海(→新潟)とMF中原輝(→山形)の2人になる。両選手とも攻撃の中心であり、顔だった選手なので当然のことながらダメージは大きいが「欠かせない主力が2人くらい抜けるのはJ3のクラブにありがちな話」である。昨今はJ3からJ2のクラブに個人昇格を果たす選手が増えている。
J3の得点王に輝いたFW谷口海の穴を埋めるのは相当に大変ではあるが短い出場時間にとどまったものの28試合で11ゴールを挙げたFW浅川がいるので致命的な穴にはならないと思われる。2020年はFW高橋利とのポジション争いだったがスタメンで起用されたのは6回のみ。プレー時間は1,068分のみだったが11ゴールを記録した。得点力ではFW谷口海にも負けていないので18ゴール以上を記録しても不思議はない。
※ 2021年3月5日(金)の時点。
カマタマーレ讃岐 ・・・ C+
→ J3に降格して3年目になるが過去2年間はいずれも下位だった。2019年は14位で、2020年は16位。J3でも結果を残せないもどかしいシーズンになった。望月一仁監督が退任してGMだった上野山信行氏が監督に就任したがトップチームを率いるのは初めてとなる。G大阪の育成部門や強化担当として手腕を発揮してきた上野山GMのトップチームの監督就任は「どちらかというと消去法的な選択である」と言える。
監督のなり手が見つからなかった末の監督人事だと思うが「成績不振→上野山信行氏の退任」というのは避けたい。監督としての手腕は未知数と言えるがチームを作り直す上で上野山GMは不可欠な存在である。最低限の結果を残さないと、再度、同氏の退任でゼロからのスタートを余儀なくされる。下位からの巻き返しを図るシーズンになるが今オフも補強は若手主体となった。期限付き移籍でたくさん選手を獲得した。
昨オフは大学生をたくさん獲得した。FW栗田・マーク・アジェイやMF川﨑一などはJ3で力を示したので「大学生主体の補強」というのを継続させても良かったが一転して大学生の補強はゼロだった。コロナの影響でスカウティングが難しかったことも少なからず関係していると思われる。讃岐U-18からMF武下がトップ昇格を果たしたが新卒の選手は彼のみとなる。サイドハーフやサイドバックでの起用が考えられる。
※ 2021年3月6日(土)の時点。
FC岐阜 ・・・ B+
→ 降格1年目の2020年は6位に終わったFC岐阜は育成力に定評のある安間監督を招聘した。「J2でも十分に活躍できそうな選手」をたくさん抱えているので草刈り場になる可能性はあったが幸いにして主力の流出は最小限にとどまった。DF柳澤亘(→水戸)が流出して期限付き移籍だったDFイヨハ・理・ヘンリー(→鹿児島)とGKパク・ソンス(→大邱FC)が抜けてしまったが大半の主力選手はチームに残った。
FW川西、DF甲斐、MF粟飯原、MF富樫佑などがチームに残ったのは大きい。新たに加入したのはMF本田拓(山形)、DF服部康(松本山雅)、MF吉濱(山口)、DF舩津(群馬)など。実績のある選手をたくさん獲得できたので「戦力アップに成功した。」と言える。経験豊富なMF本田拓はJ3でプレーするのは初めてになる。フォワードとCBの両方でプレーできるDF服部康をどのポジションで起用するのか?も注目点になる。
不安視されるのはフォワード陣になる。FW高崎(→サイゴンFC)が抜けてFW前田遼が現役を引退した。1トップになるのか?2トップになるのか?3トップになるのか?は分からないが「CF系の選手で実績のある選手はほぼいない状況」である。J3では屈指の資金力を持っているのでJ2 or J3で実績のあるフォワードの獲得も期待されたが大きな補強はなかった。新加入のFW山内(山形)もJリーグでの実績は乏しい。
※ 2021年3月5日(金)の時点。
藤枝MYFC ・・・ A-
→ 石崎監督が退任した藤枝MYFCは新しいスタートを切った。FC岐阜ならびに栃木SCで監督を務めた経験のある元・日本代表の倉田監督を招聘してJ2昇格を目指すことになった。藤枝市出身で現役時代は本田技研などでプレーした倉田監督は2010年にFC岐阜を率いて14位だった。2015年はシーズン途中で栃木SCの監督に就任したが18試合で2勝10敗6分け。立て直すことが出来ないままで栃木SCはJ3に降格した。
その後は中国で指導者としての実績を積んできたが今オフも選手の入れ替えは激しかった。石崎監督が就任した富山にFW吉平翼とMF姫野とMF安藤由を引き抜かれたのは痛かった。教え子3人を引き連れてチームを離れた石崎監督が率いる富山との試合は新たな遺恨カードとして注目を集めるだろう。2020年に覚醒したストライカーのFW吉平翼は30試合で11ゴールを記録したので痛い流出と言えるのは間違いない。
※ 2021年3月5日(金)の時点。
長野パルセイロ ・・・ C-
→ 初昇格に王手をかけながら最終節(=34節)で岩手に敗れて3位に終わった長野は横山監督になって3年目となる。2019年は9位、2020年は3位。J2からの降格チームがない2021年は「初昇格の大きなチャンス」である。当然のことながら、上位候補の1つに挙げられているがオフの移籍市場はやや苦戦した。DF浦上(→甲府)、FW吉田伊(→秋田)、GK小澤(→水戸)、DF遠藤元(→讃岐)などがチームを離れた。
期限付き移籍だったMF佐相(→大宮)もレンタル終了となったので出場機会を得ていた選手がたくさん抜けてしまった。J2のクラブへの個人昇格も考えられたMF三田尚やMF坪川やFW佐野翼などの引き留めに成功したのは良かったが他にもGK阿部(→FC東京)、GK立川(→湘南)、DF岩沼(→マルヤス岡崎)などもチームを離れた。大きくメンバーが入れ替わったキーパーのポジション争いが注目点に挙げられる。
※ 2021年3月3日(水)の時点。
福島ユナイテッド ・・・ A-
→ JFL時代に福島を率いた時崎監督が復帰した福島はオフの補強に成功したと言える。「クラブ史上最高のオフになった。」と言っても過言ではないだろう。10アシストを記録したMF池田昌(→湘南)が流出して長きに渡って10番を背負ったMF橋本拓(→三重)も退団してチャンスメーカーだったMF田村亮(→FC安養)も抜けてしまったがJ2のクラブへの個人昇格が考えられたエースのFWイスマイラの引き留めに成功した。
33試合で13ゴールを挙げたFWイスマイラの残留はサプライズだった。さらに32試合で7ゴール3アシストのFWトカチは期限付き移籍から完全移籍に切り替わった。J3で脅威となった助っ人コンビが揃ってチームに残ったのは大きい。MF池田昌、MF橋本拓、MF田村亮の3人の穴をどう埋めるのか?が注目点になるがFWイスマイラとFWトカチにはさらなる成長が期待できる。J3のダークホース的な存在に挙げられる。
4人の大学生を獲得しているが期待が集まるのはDF田中康(立命館大)になる。京都U-18出身で立命館大のときも年代別の日本代表に召集されている。右SBが基本ポジションになるがスピードがあって技術も高い選手である。マルチプレーヤーとしても知られているので右SHやボランチや左SBやトップ下で起用される可能性もある。DF前田椋(→宮崎)が抜けたので右SB/WBで起用される可能性が現時点では高い。
■ 高卒ルーキーのFWブワニカ啓太がゴールゲットホームで甲府と対戦した千葉は後半開始から投入された高卒1年目のFWブワニカ啓太がいきなり同点ゴールをゲットした。鮮烈なJリーグデビューを飾ったが同じように上位候補に挙げられる甲府を相手に悪くない戦いを見せた。後半のアディショナルタイムにMF野津田のPKを止めたGK鈴木椋に助けられたところもあるが内容も結果もまずまずの開幕戦になった。就任2年目の尹晶煥監督にとっては勝負の1年になる。
千葉は今オフも積極的な動きを見せたが経験豊富なCBのDF鈴木大を獲得できたのは大きい。J2でプレーするのは自身初となるが五輪代表や日本代表やスぺイン2部も経験した百戦錬磨のCBである。課題だった守備陣は彼の加入で安定するだろう。攻撃陣は尹サッカーの肝となるサイドハーフの選手がカギを握る。期限付き移籍のMF岩崎、山形から加入したMF末吉塁がまずまずのプレーを見せたのは収穫と言える。
京都を離れた後、出番に恵まれないMF岩崎にとっても勝負の1年になる。定期的に五輪代表に召集されており、五輪代表でいくつかのゴールを記録しているがこのままだと東京五輪のメンバーに選ばれるのは無理である。大きなアピールが必要となるがコンディションはかなり良さそうだ。最大の武器であるスピード感を取り戻しているように思える。左サイドハーフで起用されているが分かりやすい結果を残したい。
■ ついにJ2リーグが開幕J2の開幕節は2月27日(土)と2月28日(日)に行われた。全国各地で計11試合が行われたが新潟・東京V・京都・岡山・群馬・大宮・長崎・FC琉球の8クラブが勝ち点「3」を獲得した。山形・千葉・町田・甲府・松本山雅・山口の6クラブはドロー、秋田・水戸・金沢・磐田・栃木SC・相模原・北九州・愛媛FCは黒星スタートとなった。アウェイで北九州と対戦して4対1で大勝した新潟が昨シーズンに続いて首位発進となった。
前評判の高かったクラブが順当に勝ち点「3」を獲得した試合が多かったが最大のサプライズはFC琉球 vs 磐田になる。前半1分にMF池田廉のゴールで先制に成功したFC琉球がそのまま逃げ切って昇格候補に挙げられる磐田を撃破した。昨シーズンのホームの磐田戦(H)は2対2のドロー。後半35分にFW上原慎のゴールで勝ち越した後、後半41分にFWルキアンに決められて勝利を逃したが磐田相手の初勝利となった。
■ 今シーズンから「4-1-2-3」を採用秋葉監督になって2年目の水戸は今シーズンから「4-1-2-3」を採用している。MF平野佑をアンカーの位置で起用してその前にMF森勇人とMF木村祐を並べる形を試しているが大宮との開幕戦はFW深堀のゴールで先制しながら後半に2失点して逆転負けとなった、後半の頭から登場した「大宮のメッシ」と言われる18歳のMF柴山に翻弄されて勝ち点「0」からのスタートになったが前半は上位候補の大宮を圧倒した。
前半8分に生まれた先制ゴールは鮮やかだった。大宮がカウンターを仕掛けたがFW中野誠のスルーパスをCBのDF住吉ジェラニレショーンがカット。そのボールがうまく下がり目の位置にいたFW安藤瑞のところに渡ってカウンターが発動した。絵に描いたような逆カウンターから最後はFW安藤瑞の絶妙なスルーパスを受けたFW深堀がキーパーとの1対1を落ち着いて決めて開始早々の8分に水戸が先制ゴールを奪った。
「4-1-2-3」というのは近年のJリーグのトレンドになっているが高い位置でボールを奪いやすくてカウンターも仕掛けやすい。逆にアンカーの選手の脇のスペースを利用されやすいのでインサイドハーフでプレーするMF森勇人とMF木村祐の役割は重要になってくるが他にもMF奥田晃、MF金久保順、MF新里涼、MF鈴木喜、MF平塚などがインサイドハーフでプレーできる。2.5列目のポジション争いは面白くなるだろう。